2026. 09. 17 (木)

トランプの利益相反に足を引っ張られた仮想資産法

ドナルド・トランプ米大統領の写真AFP=聯合ニュース
ドナルド・トランプ米大統領 [写真=AFP=聯合ニュース]


米国の仮想資産産業の制度化が期待されていた『デジタル資産市場明確性法(CLARITY Act・クラリティ法)』が、上院の壁を越えられなかった。米上院は15日、法案審議を開始するための手続き投票を行ったが、賛成49票、反対50票で、可決に必要な60票を確保できなかった。最終投票も行われず、立法手続きが事実上中断されたことになる。

クラリティ法は、仮想資産を証券や商品などに区分し、証券取引委員会(SEC)と商品先物取引委員会(CFTC)の監督権限を整理する法案である。事業者の登録義務や資金洗浄防止体制も含まれている。米国の仮想資産業界が数年間求めてきた『規制の明確性』を初めて連邦法に盛り込む試みであった。

しかし、法案はドナルド・トランプ大統領とその家族の仮想資産事業を巡る利益相反の論争に足を引っ張られた。トランプ一家は仮想資産企業『ワールド・リバティ・ファイナンシャル』を運営し、ミームコインを発行するなど、大統領の政策に応じて価値が変動する事業に直接関与している。AP通信によれば、ワールド・リバティ・ファイナンシャルを通じてトランプ一家が得た収益は5億ドルを超えるという。大統領が仮想資産育成策を進める一方で、その市場から巨額の経済的利益を得る構造である。

民主党は、大統領を含む高位公職者の仮想資産保有・発行を厳しく制限すべきだと要求した。共和党は遅ればせながら連邦公職者のデジタル資産発行を制限する条項を補完したが、トランプ一家の既存事業との利益関係を遮断するには不十分だとの判断が優勢であった。一部の共和党議員も反対票を投じた。産業のルールを定めるべき法案が、大統領個人の利益を保護する装置として疑われた瞬間、超党派立法の基盤は崩れた。

今回の否決は、トランプ大統領が招いた側面が大きい。彼は『仮想資産大統領』を自称し、米国を世界の仮想資産の中心地にすると公言していた。しかし、大統領とその家族が直接コインを発行し、利益を得ているなら、どんな規制緩和も公益より私益のためだと疑われるのは避けられない。産業政策を推進するほど、より厳格に利益関係を分離すべきであった。革新を叫びながら市場の信頼を損なうのは矛盾である。

衝撃は米国にとどまらない。法案否決直後、ビットコインは一時5%以上下落し、イーサリアムやアルトコインの下落幅はさらに大きかった。コインベースの株価も急落した。クラリティ法の通過による機関投資家の流入やアルトコイン市場の活性化を期待していた投資家たちが失望売りを出したのである。年内の立法可能性も不透明になり、米国の仮想資産市場は再び行政と監督機関の解釈に左右される不確実な状況に戻った。

国内市場も影響を受けざるを得ない。米国の規制明確化は、停滞している国内仮想資産市場が期待していた最大の制度的好材料の一つであった。法案が頓挫したことで、国内取引の相当部分を占めるアルトコインの投資心理がさらに萎縮し、取引高の減少が続く可能性が高まった。国内のステーブルコイン関連株が投票前から共に下落したのも、このような懸念を反映している。

我が国政府もこれを他人事として見るべきではない。国内では仮想資産の発行・流通と取引所規律、ステーブルコイン発行主体を定めるデジタル資産基本法の議論が続いているが、核心的な内容はまだ確定していない。米国の失敗を理由に制度化を遅らせたり、産業育成というスローガンに押されて安全装置をおろそかにしてはいけない。市場を救うのは無条件の規制緩和ではなく、利益相反を遮断し、投資家が信頼できるルールを定めることである。クラリティ法の頓挫が残した最も明確な教訓である。



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