日本政府は1日、いわゆる「出国税」と呼ばれる国際観光旅客税を、従来の1人当たり1000円から3000円へと3倍に引き上げた。航空機や船舶で日本から出国する旅客に対し、国籍を問わず一律で課されるもので、航空券や船舶運賃に上乗せされる形で徴収される。
ただし、経過措置として6月30日までに発券された航空券や旅行商品については、出発日が7月1日以降であっても旧税率(1000円)が適用される。また、2歳未満の乳幼児や、入国から24時間以内に出国する乗り継ぎ客などは、従来通り非課税対象に据え置かれた。
今回の税率引き上げにより、国際観光旅客税による税収は、年間約500億円規模から約1200億〜1300億円規模へと大幅に拡大する見通しだ。日本政府は、増収分の財源を観光地の混雑緩和やオーバーツーリズム(観光公害)対策、出入国手続きの迅速化(顔認証ゲートの拡充)、さらには邦人旅行者の保護などに充てる方針だ。
一方で、今回の増税をめぐっては日本国内から反発の声も上がっている。国籍を問わず一律に課される仕組みであるため、「外国人観光客をターゲットにしたインバウンド対策なのに、なぜ日本人まで負担しなければならないのか」「外国人観光客にのみ高い税率を適用すべきではないか」といった指摘が相次いでいるという。
こうした世論を意識してか、日本政府は出国税の改定と同時に、外国人を対象とした実質的な負担増の網を広げている。
同じく7月1日から、外国人を対象とする訪日査証(ビザ)の発給手数料が大幅に引き上げられた。数次(マルチ)ビザは従来の6000円から3万円へ、一次(シングル)ビザは3000円から1万5000円へと、それぞれ5倍に跳ね上がった。
もっとも、韓国や台湾、米国など、日本と相互ビザ免除協定を結んでいる国・地域からの一般観光客は、原則としてビザ発給が不要なため、今回の手数料引き上げによる直接的な影響は受けない。影響は中国や東南アジアの一部など、ビザ発給を必要とする国からの渡航客に限定される見込みだ。
さらに日本政府は、ビザ免除国・地域の渡航者を対象とした「電子渡航認可制度(JESTA)」の導入準備も進めている。JESTAは、観光や短期滞在目的で入国する外国人が、事前にオンラインで渡航許可申請を行い、一定の手数料を支払う仕組みだ。
出国税の引き上げについては「国籍を問わない公平性」を担保しつつ、ビザ手数料の改定やJESTAといった別制度を通じて、外国人インバウンドの管理体制と費用負担の適正化を強化していく。観光立国としての持続可能性と、国内世論の納得感を天秤にかけた、日本政府の苦肉の策とも言える制度設計が浮き彫りとなっている。
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