注目すべきは、王部長が韓国と北朝鮮を「二国家(兩個國家)」と表現した点である。中国の外交トップが公式に南北を指して「二国家」という表現を使用したのは今回が初めてである。
これまでの中国外交の表現は異なっていた。中国は南北を指す際、「南北双方(南北雙方)」や「関連当事者(有關當事方)」などと表現していた。昨年9月に北京で趙賢(チョ・ヒョン)外交部長と会った際も王部長は「朝鮮半島」という表現を使用していた。昨年3月に東京で開催された韓中日三国外相会談でも彼は「各方」という表現を用いていた。
「双方」や「各方」という表現は、南北がそれぞれ統一を目指している過去の状況を反映している。一方で「二国家」は南北が現実的に個別の国家であることを反映している。また、北朝鮮が「敵対的二国家関係」を主張していることから、北朝鮮の主張を連想させる表現でもある。北朝鮮はすでに2023年末から南北関係を「敵対的二国家関係」と定義しており、統一を目指す特別な関係を否定し、韓国を別の国家として位置づけている。
しかし、中国が北朝鮮の「敵対的二国家論」を公式に採用したと見ることはできない。王部長の発言は「二国家の平和共存」を強調する観点から出たものである。しかし、北朝鮮の用語の一部が中国外交の言語に取り入れられたことは明らかである。
特に今回の「二国家」という発言は、習近平(シー・ジンピン)中国国家主席が平壌を訪問してから二ヶ月後に出たことも注目される。習主席は6月8日から9日にかけて平壌を国賓訪問した。2019年以来7年ぶりの訪朝であった。習近平と金正恩(キム・ジョンウン)北朝鮮国務委員長は首脳会談で北中関係の戦略的協力を強調した。しかし、習主席は北朝鮮の核保有および非核化問題については一言も言及しなかった。中国の官営メディアは当時の首脳会談を北中関係が「新しい歴史的出発点」に立ったと評価した。
中国が北朝鮮との戦略的協力を強化する中で「二国家」という発言が出たことになる。11月には中国の深センでAPECが開催され、北米首脳会談の推進説が浮上している。この過程で中国がどのような役割を果たすのかが注目される時期である。習主席が北中首脳会談で非核化について一言も言及しなかった上に、王部長が「二国家」という表現を公式化したことは特異である。中国が朝鮮半島問題を扱う優先順位が「北朝鮮の非核化」から「二国家の平和的共存管理」へと移行しているという信号と読むことができる。今後、王部長や中国外交部が南北関係を言及する際に「二国家」という表現を再び使用するのか、そしてその際に非核化という言葉が共に登場するのかが次の注目ポイントとなる。
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