サムスン電子が欧州の完成車市場を標的に、車載(自動車向け電子・電気部品)事業の拡大を加速させている。車載半導体からディスプレイ、バッテリー、インフォテインメント(IVI)に至るまで、サムスングループ全体のコア技術を結集し、強力なシナジーを創出する戦略だ。すでに成熟期に入った家電・テレビ部門を越え、車載事業がサムスンの新たな収益の柱として浮上している。
15日の業界関係者の話によると、車載事業はサムスングループの系列会社間で最も高いシナジー効果を発揮できる核心分野として評価されている。サムスン電子が2017年に買収した米ハーマン(Harman)を軸に、サムスン電子が車載半導体、サムスンディスプレイが車載ディスプレイ、サムスンSDIが電気自動車(EV)用バッテリー、サムスン電気(Samsung Electro-Mechanics)が車載用積層セラミックコンデンサ(MLCC)などの開発・供給力を強化し、欧州の完成車メーカーとの接点を急速に広げている。
車載事業は、サムスン電子の李在鎔(イ・ジェヨン)会長が最も注力してきた「未来の糧(成長エンジン)」の一つだ。李会長は2016年、車載分野をサムスンの「ネクスト成長動力」と位置づけ、韓国企業の海外M&A史上最大規模となる約80億ドル(約9兆4000億ウォン)を投じてハーマンの買収を主導した。その後、BMWやメルセデス・ベンツなど欧州の有力完成車メーカーとの協力を拡大。最近ではイタリアを訪れ、高級スポーツカー「フェラーリ」の経営陣と車載事業の協力案を議論するなど、トップ自ら陣頭指揮を執る姿が目立っている。
こうしたトップの意志を背景に、足元では系列会社ごとの成果が可視化されつつある。
まず、サムスン電子は車載メモリ市場で米マイクロン・テクノロジーを初めて抜き、グローバルシェア1位に躍り出た。現在、クアルコムやボッシュ、テスラ、デンソーなどに車載メモリを供給しているほか、昨年からは独BMWのEV向けに車載半導体の供給を開始し、欧州市場の攻略を本格化させている。
サムスンディスプレイはフェラーリに対し、車載用有機EL(OLED)ディスプレイ4種の単独供給を決定した。またサムスンSDIは最近、メルセデス・ベンツと大規模なEV用バッテリーの供給契約を締結。これにより、BMW、アウディ、ベンツという「ドイツ御三家(ビッグ3)」のすべてを顧客として確保することに成功した。さらに、サムスン電気は世界初となる車載用の超高容量MLCC製品を開発するなど、圧倒的な技術競争力を誇示している。
サムスンの車載事業における競争力は、ハーマンの業績からも裏付けられている。ハーマンの昨年の営業利益は1兆5000億ウォンと過去最高を記録。売上高も過去最高の15兆7833億ウォンに達した。これはサムスンに買収された直後の2017年の売上高(7兆1034億ウォン)と比較して2倍以上の成長だ。このうち車載分野が総売上高の半分以上を占めているとされる。ハーマンは今年も前年並みの堅調な成長が見込まれており、通期で初めてサムスン電子のテレビ・家電事業部の業績を上回るとの観測も出ている。
韓国の業界関係者は、「未来の自動車(モビリティ)時代には、半導体、ディスプレイ、バッテリー、そしてソフトウェアを網羅するトータルソリューションを提供できる企業が主導権を握るだろう」とした上で、「サムスンは全系列会社が車載エコシステムに参画する独自の事業構造を構築しているため、欧州のみならず中国メーカーとの協力拡大を通じて、今後の成長スピードはさらに加速する」と分析している。
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