2026. 09. 16 (水)

気象災害の影響はその年の秋だけではない

  • 種子は昨年の天候を記憶している

キム・ビョンソク 国立食糧科学院長
[キム・ビョンソク 国立食糧科学院長]

「今年は果たして芽が出るのだろうか。」

今年の春、苗床の前に立つ農業者の不安は杞憂ではなかった。国立種子院と農村振興庁の共同調査によると、政府供給の種子は平均発芽率85%以上で概ね良好であった。しかし、一部の品種や農家の自家採種の種子は、芽が出る速度が例年より1、2日遅れ、発芽率も低下した。農業者にとって「いつ芽が出るか」は、一年の農作業の出発を決定づける問題である。

私たちは一般的に農業は春の田畑から始まると考えている。しかし、今年の春の遅れた芽は、すでに昨年の秋から始まった問題である。

収穫期の田畑は高温と頻繁な降雨により特に厳しい状況であった。長雨が続く中、収穫を控えた稲が倒れ、穂から芽が出る出芽障害が広がった。クモの巣病の発生面積は3万6000ヘクタール(㏊)で、前年の2倍以上に増加した。今年の夏には、慶南の梁山市の気温が摂氏42度を超え、国内の気象観測史上最高気温を記録した。このように、豪雨と猛暑が交互に訪れる気候は、農業が対処しなければならない新たな条件となっている。

さらに大きな問題は、気象災害の請求書がその年の収穫量の減少で終わらないことである。種子は昨シーズンの天候を記憶している。成熟期の高温と頻繁な降雨は、種子が十分に熟す過程を妨げ、その影響は翌年の春の発芽遅延や活力低下につながる可能性がある。一年の異常気象が翌年の農作業の出発点まで揺るがすのである。気候変動が農業に残す最も静かでありながら長続きする痕跡が種子に刻まれている。

国立食糧科学院の研究でも、穂から芽が出る出芽障害を受けた稲の種子は発芽率と活力が低下することが示されている。この問題は稲に限ったことではない。小麦も収穫期の高温と頻繁な雨により、穂から芽が出る障害が増加している。大豆や種イモも状況は大きく異ならない。

特に政府供給種の供給が十分でないため、自家採種に依存する作物ほど、種子品質の低下の影響が翌年の農作業まで続く可能性が高い。気候危機の影響は、畑で育つ作物にとどまらず、次の季節を待つ種子まで及んでいる。今や収穫量だけでなく、「次の農作業を始める力」まで見なければならない。

これまで私たちの研究は、より良い品種を作り、安定した栽培技術を開発・普及することに集中してきた。すべて必要なことであり、成果も明確であった。しかし、気候危機が日常化した今、研究の視野を「植えた後」から「植える前」まで広げる必要がある。どんなに優れた品種でも、種子が健康でなければ、その潜在能力を十分に発揮することは難しい。

今や良い品種を作るだけでなく、その潜在能力を完全に発揮できる健康な種子を安定的に確保する技術も備えなければならない。国立食糧科学院はこれを一つの研究ロードマップとして進めていく考えである。

第一に、在来の遺伝資源から答えを見つけ、未来の育種の資産として活用する必要がある。猛暑と長雨に耐えた在来種や野生近縁種は、そのものが耐性の貯蔵庫である。稲・小麦・大麦・大豆・ジャガイモの遺伝資源から、成熟期の高温適応性、耐水発芽性、種子活力などの災害対応形質を見出し、ゲノム解析とデジタル育種技術を活用して新しい品種開発の基盤に結びつける研究が重要である。関連成果を知的財産として蓄積することも、未来の育種競争力を高める土台となるだろう。

第二に、こうして確保した有用遺伝子が品種と種子生産技術を経て現場までつながる連携を強化する必要がある。災害に強い形質を実際の品種開発に適用すると同時に、採種から乾燥・保存までの種子生産全過程の気候リスク管理技術も高度化する必要がある。発芽率予測と活力診断技術を強化し、国立種子院や道・市町農業技術機関など関係機関と協力して、研究成果が農業者の苗床や畑までつながる種子安全網も整備していかなければならない。

農業は種をまく瞬間から始まるのではない。良い種を準備する瞬間から始まる。気候がどんなに変わっても、農業の出発点だけは揺るがしてはならない。農業者が毎年春になると「種がちゃんと芽を出すか」を心配しなくて済むようにすること、それが気候危機時代における国の農業研究機関である国立食糧科学院の責務である。

今後、国立食糧科学院は予測できない未来の気候環境の中でも国民の健康な食卓をしっかりと支える役割を果たすために、健康な種子とそれを支える遺伝資源、安定した生産・管理技術を備えることにさらに努力する。



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