「現在、ロシアと韓国の関係はかなり悪化しています。しかし、良い環境が構築されれば、新たに発展できる潜在力が残っていると思います。」
7日、ロシアのプーチン大統領の就任式が行われ、通算で5期目となる任期が始まった。今後、韓国とロシアの関係性をどのように変えていくのだろうか。自らを『楽観主義者』と称したゲオルギー・ジノビエフ(Georgy Zinoviev)駐韓ロシア大使は、韓国とロシアの関係に改善の余地があると強調した。
去る3日、ソウル中区の駐韓ロシア大使館で行われた本紙とのインタビューで彼は、露宇戦争以後に悪化した韓露関係を認めながらも、文化観光など民間分野での協力が必要だと強調した。
2022年2月24日、ロシアのプーチン大統領は「特別軍事作戦」を行うと宣言。ウクライナへの軍事侵攻を始めた。韓国はロシアに対する西側諸国の制裁に参加し、ロシアは韓国を「非友好国」に指定した。交流が途絶えた。今年3月、ロシア当局は韓国人宣教師をスパイ容疑で拘禁し、韓国ではロシアのボリショイ・バレエ団の来韓公演が中止となった。両国間の葛藤はさらに深まった。幸い李度勲(イ・ドフン)駐ロシア大使が7日(現地時間)、プーチン大統領の就任式に出席するなど、関係改善に乗り出している。
ジノビエフ氏は、ロシアが北朝鮮と密接な関係にあることを隠さなかった。最近、ある韓国メディアとのインタビューで、北朝鮮との武器取引疑惑を否定した彼は、ロシアの特別軍事作戦に支持を表明する北朝鮮に対し、「(北朝鮮との)関係を発展させないことこそおかしい」と述べた。ロシアを支持する北朝鮮と密接な関係を築くことしかないというわけだ。ただ、ロシアが 国連安全保障理事会の対北朝鮮制裁に違反してはいないと主張した。
ジノビエフ氏は韓露関係が梗塞したことは認めながらも、ウクライナに武器を供給するなど他の西側諸国とは差があると評価した。彼は「露韓関係の悪化は内部的な問題があって発生したのではなく、外的要因で発生した」として「不信や対立で取り返しのつかない西側諸国の関係とは異なる」と語った。
韓米日同盟と朝中露対決構図が固まった今、外交・安保・通商分野で疎遠になった韓露関係に変化を作ることは現実的に容易ではない。ジノビエフ氏はハードル低い「文化・観光・芸術」分野から改善していこうと提案した。彼は「文化と人文分野で交流を徐々に回復できる」として「第一歩が何かは重要ではない」と付け加えた。
文化・観光分野交流活性化の最優先課題としては韓‐露の直行便の開設を挙げた。現在、韓国とロシアの航空便は中国などの経由地を経由しなければならず、往来が容易ではない。ジノビエフ氏は「両国の民間の交流を遮る最も大きな理由は直行便の不在」とし、直行便の運航から始めるのが最も効率的であるだろうと提案した。
民間領域では両国間の文化・芸術分野を活性化を挙げた。ジノビエフ氏は去る4月、ロシアのボリショイ・バレエ団の公演が中止になったことに対して遺憾を示した。彼は、文化交流に対して「政治化されてはならない」と声を高めた。去る3月、『プーチン支持派の芸術家』と呼ばれるロシアのバレリーナ、スヴェトラーナ・ザハーロワさん(44)の来韓公演『モダンス』が中止となったのに続き、4月にはボリショイ・バレエ団の来韓公演も相次いで中止となった。ジノビエフ氏は「韓国よりも関係が悪化した日本でも、先日ロシア文化祭が開かれた」と取り上げ、ロシア文化そのものを排斥しないでほしいと呼びかけた。
またコンピューターゲームなど若年層が好む文化協力方案も出した。彼は今年2月、ロシアのカザンで開かれた国際ゲーム大会に韓国チームも参加し、各国の観衆から大きな愛を受けたと説明した。さらに、モスクワで開かれる新興国間の協力や経済成長の促進が目的の集団であるブリックス(BRICS)傘下の協力機構行事に韓国の青年たちが参加したとし、若年層を中心に交流を強化しようと提案した。
最後に韓国がロシアイシューに接する際は『均衡ある視線』で見てほしいと訴えた。韓国では主に西側諸国のメディアが伝えた内容を中心にロシア関連の懸案に接しているとし、そうした点が非常に残念であると表明した。彼は「西側諸国のメディア報道だけを信頼するなら、ウクライナ戦争がいつ終わるのかを把握するのが非常に難しくなる」と指摘し、韓国が特定の観点に偏らず、多様な意見に耳を傾けてほしいと付け加えた。
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