「今年年末の人事は本当に殺伐しそうですね。」
ロッテ主要系列会社の社員らの異口同音だ。毎年12月に断行されるロッテグループの定期役員人事をこれまで以上にいらいらしながら待っているという意味だ。
ロッテの殺伐とした人事は、ロッテ持主のファン・ガクギュ代表(副会長)が宣言した「緊急経営」体制で既に伏線が敷かれた。ファン副会長は先月30日、辛東彬(シン・ドンビン)会長とロッテ持主・系列会社代表取締役と主要役員150人余りが参加した経営懇談会で、「韓国内および世界経済の不確実性が深化しているだけに、未来に対する準備を徹底的にしなければならない」と非常経営体制への転換を要請した。
17日、複数のロッテ関係者たちによると、今年の人事は昨年より一週間早い来月11日頃になるとみられる。
例年より早い人事は広幅の入れ替えを予告する部分だ。系列会社の代表との主要役員が大幅に入れ替われると、それだけ内部組織の安定と来年の計画を立てる時間がさらに必要になるからだ。
また、ここ2年間余り辛東彬会長が「司法リスク」に巻き込まれたため、果敢な人事を断行しなかった点も、今年の人事の大規模な入れ替えを予見する理由だ。
ロッテのある関係者は「辛会長が国政壟断や経営不正事件と関連して最高裁で執行猶予を確定受け、これまで足を引っ張っていた法的な問題が解消されただけに、今年の『辛東彬式の役員人事』は世代交代と力量を中心に果敢になるだろう」と伝えた。
まず、昨年ロッテグループの4つの部門(BU)の首長のうち、食品・化学部門が交替され、今年、残りの2つの部門(流通・ホテルサービス)が交替するかどうかが関心事だ。
一応来年3月に任期満了される流通BU長イ・ウォンジュン副会長の交替が有力だ。流通部門の核心であるロッテショッピング(百貨店・マート・スーパー・ハイマートなど)の第3四半期の営業利益が半分に落ち、オフライン危機の崖っぷちに立たされた状況。これを打開するために、ロッテeコマースがAIとオムニチャネルの強化などに乗り出したが、予想より成果がのろい。
ロッテのある関係者は「流通BU長の交替は既成事実であるようだ。何よりも実績が非常に良くない。これにより、流通部門の系列会社の連鎖的な首長交換が行われれば、広幅以上の変化が避けられない」との内部の雰囲気を伝えた。
イ・ウォンジュン副会長の後任には社長級のロッテ百貨店カン・ヒテ代表とロッテハイマートのイ・ドンウ 代表が下馬評に上がっている。入社年度としては、イ代表が1年早く有力視されるが、伝統的に百貨店の代表が流通部門の要職を務めた前例からみると、人事最後まで見極めるのは難しい。
これらの誰か一人が流通BU長の座を占めることになると、連鎖的に流通部門の系列会社の首長が変動する可能性が大きい。内部的に少なくは3社、多くの5社の代表が変わるという観測だ。世代交代も自然に行われることになる。ただ、イ副会長の後任にロッテ持主社長級が就任する人事が断行されると、流通部門の系列会社の代表級人事も小幅にとどまる可能性がある。
ホテルサービスBU長は、ロッテ支配構造改編の核心である「ホテルロッテの上場」の責任を負わなければならないだけに、変動がないという観測が多い。2015年からホテルロッテ上場を主導してきたソン・ヨンドクホテルサービスBU長(副会長)の留任が予想される理由だ。特にホテルロッテの最大株主が日本のロッテホールディングスである状況で、辛会長の信任が厚いソン副会長に変わる重量感のある人物がいないということも一役買っている。
一部では、ロッテ持株発足の過程で系列会社分割・合併、上場などを指揮したイ・ボンチョル財務革新室長が現キム・ジョンファンホテルロッテ代表の座を移し、上場作業に邁進するという観測も出ている。
新世界EマートとCJグループなどで「50代の世代論」が大勢であるだけに、ロッテが世代交代するかどうかも関心事だ。ロッテ建設のハ・ソクジュ代表(62)をはじめ、コリアセブンのチョン・イン代表(61)、ロッテフードのチョ・ギョンス代表(60)、ロッテ七星飲料のイ・ヨング代表(58)などが60歳の前後であり、彼らの去就が注目される。
財界の関係者は「ロッテは最近5大グループの中で初めて非常経営を宣言し、系列会社全般の構造調整説まで出ている」とし、「特に辛会長が司法リスクを完全に解消して断行する初の人事であるだけに、革新のための広幅の変化が予想される」と見通した。
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