[キム・サンチョルのコラム] 日本→中国→韓国の20年時差公式が崩れた

  • 産業化の生活のパターンなどで評価していた基準、これ以上有効ではない

[写真・執筆=キム・サンチョル前KOTRA北京・上海館長]


今年、日本に2回行ってきた。アベノミックスで日本経済が完璧に復活していると言うけれど、日本社会の隅々には陰りが依然として多く残されている。人たちは依然として活気がなく、特に田舎の夕方はしんと静まり返っている。経済復活の最後の砦であるデフレ脱出がそれほど難しいということを反映している。通勤時間に道路に走行される車両はほとんど100%小型車だ。あえて燃料費がかかって運行しずらい中型・大型車の代わりに小型車を好むのは、日本人たちがどれほど経済的で実利的かをよく代弁する。よく日本人は縮小志向的で韓国人は拡大志向的だと下手に判断しているが、これは実に軽率で無知であることだ。それでも彼らにはデフレ脱出の序幕が見える。企業の実績好調で賃金引き上げとなり、消費につながる兆しが見え始めている。長年の低迷で苦しんでいた不動産景気も動き始めた。徹底的に企業と市場の活力回復に焦点を合わせ、経済の再建に尽力した結果が徐々に現れ始めているのだ。

相当の期間、約20年の差を置いて韓国は日本を、中国は韓国の姿に似てくるという前提に、大体納得した。産業化の過程と三国国民の暮らしの軌跡で、そのような姿を発見することは難しくなかった。産業化において軽工業→重化学工業→IT→文化コンテンツなどの手順を踏んできた。一時は3国産業の相互補完的な構造によって、自然にサプライチェーンが作られたりもした。 しかし、「日本の失われた20年」と最近「中国の先端産業の崛起(発展)」によって、このようなパターンが崩れている。これ以上補完的ではなく、殺伐な競争的構図に変わっているのだ。暮らしのパターンも同じだ。飢餓の解消→ウェルビーイング(well-being)→健康・ダイエット→スポーツ・レジャーなど、生活の満足度を高めていく軌道に沿っている。しかし、インターネットの発達とグローバル化の促進で、暮らしの内容や質が「シンクロ(synchronize)」する傾向が濃厚になった。特に、質的側面では韓国が優位であるとは言えないほど均等になったというのがより正確な評価だ。

私たちが日本の後を追うと言うが、明確にはそうでないものも多い。日本の産業界は1980年代から春闘が定着し、毎年春、労使間の賃金交渉と関連した多少の雑音があるにはあるが、比較的安定的な平和体制を構築している。今までも戦闘的な姿で死生決断をする韓国の労組の姿とはまったく違う。もちろん、これを労組のせいにするわけではない。日本と比べてはるかに及ばない我が企業の透明性不足も指摘しなければならない。もう一つは虚礼虚飾とふんだんに消費する文化だ。日本人は経済が良い時も悪い時もあまり変わらず、特に、公と私を徹底的に区分するのが特徴だ。誇示的な消費はやめて、常に未来に向けて準備をする。ある政治家が掲げた「夕食がある暮らし」も、単に夕食を楽しもうというわけではなく、最近流行する新造語である「ウォラベル(Work-Life Balance)」で理解される。日本だけでなく、リードする先進国から我々のようにふんだんにする姿を見ることはできない。彼らはより経済的で物事に厳しい。

従来の価値ではなく、現実的な観点で接近してこそ中国と日本を克服することができる

中国を対する我々の態度はどうなのか? 単純に猛スピードで追撃してくる最も脅威的な国家と見なしているのではないか。間違った話ではない。しかし、数年前から中国は我々をこれ以上競争の相手だと思っていない。韓国はすでに追い抜けたという表現が正確な彼らの客観的な評価だ。中国の夢と目標は、我々が狙えないさらに大きなレベルに上がっている。実際に多くの産業もしくは生活の現場で、このような現象が無数に目撃されている。企業や個人が自信と意欲を持ち過ぎて、逆に問題になってしまうかもしれないという心配になるくらいだ。企業家精神や個人の創意力が溢れる社会構造に変身するのに成功しているのだ。中間層増加や高齢化の速度も日本と韓国を追い越すほど激しい。このような中国に対して20年の時差で我々に追いつくという公式を適用するのは大きな間違いだ。過去の物差しだけで中国を判断すると、彼らとの未来志向的な関係を作り出すこともできない。

我々の隣人である中国と日本をまともに把握しなければならない。彼らとは競争と協力をしなければならないのが我々に与えられた運命だ。無視したり、恐れるレベルを超えて、彼らとの間で「レバレッジ(梃子)効果」を十分に活用しなければならない。巨大市場を至近に置いて、理念あるいは感情的対立を克服する実用主義戦略が必要である。日本経済の復活は我々には良い教訓であり、他山之石だ。中国の浮上を危機に思う同時に、もう一つのチャンスだと思って捉える必要がある。有利か不利かを分析して、我々が最もうまくできる分野を特化するのが、強い相手の隙間で生存できる秘訣だ。このような戦略を作っていく過程において、彼らを従来の価値ではなく、より現実的な観点から接近することは必然的だ。これからは20年の時差の公式は有効でもないし、存在もしない。
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