サムスン電子が自ら判断して業務を遂行する「エージェント型AI(人工知能)」を実際の事業や製造現場に適用する中長期戦略を公表した。モバイルや家電向けのオンデバイスAIから、ロボットを視野に入れたフィジカルAI、半導体の設計・製造自動化に至るまで、AIを研究段階から実質的な成果へと結びつけることに全力を挙げる構えだ。
サムスン電子は30日、ソウル市内の瑞草(ソチョ)社屋で国内外のAI学者や業界専門家が出席する中、「サムスンAIフォーラム2026」を開催した。今年で10回目を迎える同フォーラムには、国内のAI専門大学院の教授や研究者100人、同社役職員300人ら計400人が参加し、高い関心を集めた。
今年のメインテーマは「エージェント・シフト:知能からインパクトへ」。単なる質問応答にとどまる従来の生成AIを超え、ユーザーの意図や目標を理解し、必要なタスクを自律的にこなすエージェント型AIと、現実空間で稼働するフィジカルAIの発展方向について集中的に議論が交わされた。
サムスン電子のチョン・ヨンヒョン代表取締役副会長は同日の挨拶で、「エージェント型AIは単なる技術革新にとどまらず、働き方や組織文化そのものの抜本的な変化をもたらすだろう」とし、「グローバルAIリーダーたちと共に進むべき道を模索し、実質的なAI技術革新を強力に推進していく」と強調した。
午前中のセッションには、米オープンAIとアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)の専門家らが登壇した。オープンAIのリチャード・ホ副社長(ハードウェア担当)は、大規模言語モデル(LLM)を基盤に自律的な意思決定を下すAIエージェントが産業構造に及ぼす地殻変動について講演した。
続いて、AWSのデヴィッド・グリーンAI技術リーダーは、企業がエージェント型AIを安全かつ経済的に導入するためのセキュリティおよびガバナンス戦略を発表した。
フィジカルAI分野では、ワシントン大学のランジェイ・クリシュナ教授が小型モデルを活用した最先端のロボティクスAI技術を紹介。また、サムスンリサーチのキム・ユンヒョン常務は、AIエージェントの能力と適用領域を飛躍的に拡張するための次世代「エージェント・インテリジェンス」のアーキテクチャを提示した。
サムスンAIフォーラムの関心軸は、急速に「実行」へとシフトしている。昨年のフォーラムが「生成AIからエージェント型AIへ」のパラダイム転換に主眼を置いたとすれば、今年はAIエージェントが実際の製品や半導体の最前線でどのようなビジネス成果を上げられるかという「実効性」が前面に押し出された。
午後のセッションでは、DX(デバイス経験)部門とDS(デバイスソリューション)部門に分かれ、具体的な導入事例が共有された。
DX部門は、オンデバイスAIの最適化やフィジカルAIの導入に加え、既存の知識を維持しながら新しい情報を効率的に学習する「継続学習(Continual Learning)」技術などを披露した。
一方、DS部門では、半導体の設計および製造プロセスに適用したAIイノベーションの成功事例が公開された。サムスン電子はすでに、半導体の設計自動化(EDA)・エンジニアリング・量産全般にエージェント型AIを組み込む戦略を加速させている。さらに、デル・テクノロジーズやアンソロピック(Anthropic)などグローバルパートナー企業も登壇し、企業向けAIエージェントやスマートファクトリーの構築事例を公開し、会場の注目を集めた。
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