韓国の旅行収支赤字幅が再び大幅に増える可能性があるという分析が出た。中国政府が韓国国民に対してビザなしの入国を電撃許可した後、中国行きのチケットを購入した旅行者数が大幅に増えたためだ。
韓国銀行は11日、9月の旅行収支が9億4000万ドルの赤字を記録したと明らかにした。4月(8億1730万ドルの赤字)以降、8月(14億2430万ドルの赤字)まで赤字幅を次第に広げてきたが、5カ月ぶりに幅を狭めたのだ。
旅行収支は内国人(韓国人)が海外で支出したお金と外国人が国内で支出した金額の差額を意味する。赤字規模が大きいほど、内国人が海外で支出した金額が外国人が韓国内で支出した金額より多いという意味だ。
韓銀は去る9月に旅行収支の赤字幅が減ったことについて、「夏場の海外旅行のピークシーズンが終了した影響だ」と説明した。韓銀経済統計システム(ECOS)によると、旅行収入は8月14億4270万ドルから9月15億4650万ドルへと1億380万ドル増えたが、旅行支給は8月28億6700万ドルから9月24億8500万ドルへと3億8200万ドル減少した。
一部では、中国政府が今月8日から来年末まで、韓国の一般パスポート所持者を対象に一時的なノービザ入国を許可し、旅行収支の赤字規模が再び増えかねないという懸念が出ている。日本旅行の人気が依然として続く中、中国へのノービザ旅行まで緩和され、年末の旅行客がさらに増える可能性がある。
実際、インターパークツアーによると、中国へのビザなし入国を発表した今月1日から5日までの中国旅行パッケージの予約件数は前月比91%増えた。同期間、全体パッケージ予約件数が前月対比14%増えた点を勘案すれば、平均値を大きく上回る数値だ。
当初、中国旅行は旅行者が南山ビザセンターを直接訪問してビザを申請しなければならず、審査も難しく、国内旅行客の忌避対象だった。特にコロナパンデミック以後、日本や東南アジアなど他の地域に比べ中国の旅行需要は2019年対比80%程度で回復が遅かった。
漢陽(ハンヤン)大学観光学部のチョン・ランス教授は、「中国旅行の予約件数がビザ免除前より4~5倍は増え、旅行業界の全般に相当な効果がある」とし、「爆発的な中国市場のアウトバウンド(韓国人の外国旅行)需要が徐々に減っても300%は増加するだろう」と説明した。
一方、韓国銀行はまだ中国のビザなし入国許容が旅行収支に及ぼす影響を判断するには時期尚早だという立場だ。韓国の国内旅行を計画していたが中国旅行に旋回する場合が多ければ旅行収支に影響を与えるだろうが、他の国を旅行する代わりに中国行きを選ぶ場合ならば支出総量に大きな差がないためだ。
韓銀の関係者は「中国ビザなし入国許容は原則的には旅行支給が増える側に作用するが、効果可否は1~2ヶ月ほどモニタリングが必要だ」とし「中国旅行が安い方なので他の国を旅行する代わりに中国旅行を選ぶことになれば、旅行収支のトレンドに大きな影響を与えることはないだろう」と予想した。
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