「脱中国」ではなく、中国の「脱米国」?
2018年の米・中貿易戦争と2020年に中国から始まった新型コロナウイルス感染症を契機に世界の反中感情が高まっている。世界各国が眺める中国は、経済危機、金融危機、不動産危機、政治危機な面で非常に危険な国であるだけに、中国経済はすでにピークが過ぎ、中国からお金を引き出す「脱中国」を早くしなければならないという話ばかりだ。
しかし、2023年11月以降、IMF、WB、OECD、CB(コンファレンスボード)などの世界主要機関の2023年の中国経済展望によれば、世界でインドの次に高成長する国が中国だ。そしてIMF2023年1月の予測値を見れば、世界主要国の中で2023年GDPが2022年より高い唯一の国が中国だ。
中国危機論を決定的に裏切ったのはお金だ。危機の国である中国にとって、2022年にもFDIは史上最大であり、中国株式市場の外国人資金も純流入だった。特に2023年に入ってからは1月の1ヵ月間、中国の株式市場に流入した外国人資金は1413億元、25兆7000億ウォンで、2022年の年間流入額900億元をはるかに上回った。1月の1ヵ月間、1日平均88億元(約1.6兆ウォン)が中国の株式券市場に流れ込んだ。
米・中の貿易戦争が進行中だが、2022年に中国の対米貿易黒字と全体貿易黒字は減るどころか、それぞれ4041億ドル、8766億ドルで史上最大値を更新した。米・中戦争が始まった2018年に対米貿易黒字比重は92%だったが、2022年には46%で半分水準に低くなった。対米貿易取引の比重も13.7%から12%に低くなった。
中国の米国債保有量は、2022年に過去最低水準を記録した。2018年1.2兆ドルから2022年8700億ドルに3700億ドルを減らした。データでチェックしてみると「脱中国」を米国がしたのではなく「脱米国」を中国がしている。
下半期に回復するW字型成長
2023年の中国経済は2022年12月のコロナ防疫規制解除で期待が高い。潜在成長率が5~5.5%と推定される中国の経済成長率が2022年に3%台に下がった。しかし、中国に生産システムの崩壊や金融システムの崩壊のような体系的なリスクがあったわけではなく、政治防疫の性格が強い、コロナ拡散を防ぐための政府の移動制限が不動産を筆頭に耐久消費財と日常消費財、そして生活サービス消費をオールストップさせたためだ。
2023年に世界中が景気下降サイクルに進入するため、皆が不安と恐怖を感じているものの、景気は先入観の選出だ。まず、景気下降の方が先に回復する可能性が高い。2023年の世界経済の春風は、中国から吹いてくる可能性が高い。
今回の景気サイクルでは中国が一番先に景気がピークアウトし、景気下降も一番早かった反面、米国はコロナ防疫が遅れて景気回復も一番遅く、景気下降も一番遅かった。2022年に中国は景気底点を通過し、2023年には景気回復局面に入っているものの、米国、欧州、日本、韓国は景気後退に入った。
中国の2023年の成長は内需中心の成長だ。世界景気が不況に突入するため、中国の輸出は2023年に大きな期待はできない。しかし、すでに中国のGDPで消費の成長寄与度は65%に達する。不動産とプラットフォーム消費が内需景気刺激の核心軸だ。中国は2022年下半期からこれまで3年間にわたって強化された不動産規制を緩和し始め、プラットフォーム企業の制裁もこれ以上持続しないことにした。
3ヵ月程度の短期景気の流れを示す中国の2023年1月のPMIが製造業、サービス業ともに臨界値である50以上に反騰した。中国の新型コロナウイルス感染症の防疫解除で、1~2月に全国民の80~90%が感染後回復する集団免疫が形成され、3月から正常な経済活動が行われる見通しだ。2023年の中国経済は下半期の成長率がさらに高くなるW字型景気回復パターンを見せる見通しだ。
中国の大変身をしっかり読み取るべき
サード(THAAD)事態以後7年、米・中戦争5年、コロナ戦争3年を経た中国に対する韓国の事故は依然として韓流や中国報復に怒り、中国は危機という西側のレトリックを認める水準に留まっている。見ることが信じること(seeing is believing)だが、特にこの3年間、中国に行ったことのない韓国は、中国の否定的な側面だけが大きく浮き彫りになっており、中国の変化を知らず、変化を知ろうとする努力も弱い。
皮肉なことに、コロナ禍の3年間、中国はコロナ防疫と統制、そして生活物資の供給をする過程で第4次産業革命のABCDR(AI、Big Data、Cloud、Dron、Robot)を全世界人口の5分の1にあたる14億人の人口を対象に全て実戦テストし、その過程で世界中の誰も追いつけない巨大なビッグデータを構築した。
中国は莫大な経済ショックと非難を甘受しながら、コロナ期間中に人口1000万以上の都市7都市を封鎖した。しかし、有事の際、戦時状況が発生した時は人口移動統制と生活物資配送住民管理と社会管理システムの構築と運営を完璧に予行練習し、その過程で莫大なIPを確保した。
中国は2018年から世界最高の国である米国と貿易戦争をしたが、コロナ禍の中でも中国の対米貿易取引と貿易黒字は史上最高値を更新した。中国は現在、世界最大の自動車消費国となっている。2022年、米国は1429万台の自動車を購入したが、中国は2685万台を購入した。2022年の中国の自動車輸出は前年比54.4%増の311万台を記録し、320万台の日本に続き261万台を輸出したドイツを抜いて世界2位に上がった。世界最大の自動車市場に変わった中国で注目すべきは、2013年に10%を超えた韓国のシェアが2022年には1.7%に急減したという点だ。
中国は2022年、世界1030万台の電気自動車(EV)市場で689万台を購入し、68%のシェアを占めた。中国のEVメーカーであるBYDは、EV市場でテスラに次ぐ世界2位に浮上し、ハイブリッドEVを含めると世界1位になった。
中国は今、世界1位のスマートフォン加入者数を持つ世界最大のスマートフォン生産国であり、輸出国だ。韓国は、アップルの脱中国だけに関心があるが、アップルは依然として中国市場で14%台のシェアを維持しており、韓国のスマートフォンメーカーの中国市場占有率は0%台に墜落した状況だ。
危機という中国は景気回復の先頭に立っており、米国もノーランディング(no landing)に向かっているのに、韓国の貿易赤字は一層拡大している。今、韓国は中国危機論を語る時ではない。最大の輸出市場である中国で戦略を速やかに修正し、再整備しなければならない時期だ。
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