韓国国内の自営業者が銀行など全金融圏から借りた資金が960兆ウォンを越えた。貸出満期延長と元利金償還猶予措置で今年までは債務返済リスクが良好な水準を維持すると予想されるものの、来年からは低所得自営業者を中心に貸出不良リスクが拡大すると見られる。
韓国銀行の金融通貨委員会が22日発表した「上半期の金融安定報告書」によると、3月末基準で自営業者貸出は960兆7000億ウォンだ。これはコロナパンデミック直前の2019年末より40.3%増加した数値だ。同期間、脆弱借主が保有している自営業者向け融資は88兆8000億ウォンであり、2019年末(68兆ウォン)比30.6%増加した。脆弱借主数も31万6000人で、前四半期(28万1000人)より大幅に増えた。
韓銀は特に脆弱借主向け融資が来年以降、急速に増える可能性が高いと見込んだ。韓銀が金融支援措置がないことを仮定して負債原理金償還比率(DSR)の変化を試算した結果、昨年末基準で金融支援措置によって低所得(下位30%)世帯DSRが4.6%ポイント(43.4%→38.8%)、高所得(上位30%)世帯DSRが0.8%ポイント(40.3%→39.5%)低くなったと推定された。
韓銀は自営業者向け融資の満期延長や元利金返済猶予などの金融支援終了(今年9月)、融資金利の上昇(毎年0.5%ポイント)、損失補填金の支給(1世帯当たり600万ウォン)などを想定し、自営業世帯の元利金返済比率の変化を点検した。その結果、自営業者の債務償還リスクが今年までは良好な水準を維持するものの、来年以後は低所得自営業者を中心に大きく増える可能性があることが分かった。
今年は貸出金利が上昇し、金融支援措置が終了しても社会的距離の確保(ソーシャルディスタンス)緩和にともなう売上回復や、損失補填金支給効果に支えられ自営業者の債務償還リスクは多少低くなると予想した。しかし、来年は金融支援終了にともなう影響が本格化するうえ、損失補填金支給効果も消滅したことから、低所得層を中心に債務償還リスクが大きく増える可能性が高いと見通した。
複合的なショック発生時、自営業世帯のDSRは今年38.5%、来年46.0%に高まると予想した。また、所得分位別では △低所得(下位30%)世帯2022年34.5%→2023年48.1% △中所得(40~70%)世帯38.6%→47.8% △高所得(上位30%)世帯39.5%→44.4%などでDSRが高まると推定される。
DSR上昇など自営業者の債務償還リスクが増加すれば、ノンバンク金融機関を中心に信用リスクが大きくなるというのが韓銀側の判断だ。特に与信専門会社と貯蓄銀行は脆弱借主比重が高く担保・保証貸出比重が低いため、自営業者貸出の債務償還リスク増加時にこれら業権の貸出から不良になる可能性が大きいと分析した。
韓銀は「金融支援措置を段階的に終了するかわり、債務償還能力が落ちた自営業者に対しては債務再調整や廃業支援、事業転換誘導プログラム等を通じた出口を用意しなければならない」とし「非銀行金融機関が自営業者貸出取り扱い審査を強化する一方、貸倒引当金を先制的に追加積み立てるよう誘導しなければならない」と強調した。
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