仮想資産への進出をうかがう銀行

[写真=亜洲経済DB]


銀行圏が金融政策遂行の自律性保障と共に仮想資産サービス市場進出を要求する内容が盛り込まれた建議文を新政府に渡し、仮想資産市場に跳びこむ準備をしている。尹錫悦(ユン・ソクヨル)次期大統領が仮想資産産業活性化の公約を掲げただけに、韓国の国内だけで時価総額55兆ウォンに上る仮想資産を新たなビジネスモデルにし、新事業を推進するという意志を仄めかしたのだ。

金融業界によると、全国銀行連合会は政権引き継ぎ委員会に提出するために作成した「銀行界提言報告書」草案で、「今後制定される仮想資産業法で定義される仮想資産業種を各銀行でも許可してほしい」と要求した。

銀行界は資産管理サービス革新項目で「仮想資産サービス進出許容」に真っ先に言及し、「公信力のある銀行が仮想資産関連事業に進出できるよう銀行法上、銀行の付随業務に仮想子産業を追加してほしい」と提案した。要求事業の範囲はコイン取引所だけでなく、仮想資産保管の電子ウォレットサービス、仮想資産受託サービス、企業等の対象仮想資産取引サービス等をすべて含んでいる。

現在の銀行法上、都市銀行が仮想資産カスタマイズ事業を直接行うことはできない。銀行が仮想資産を取り扱うためには、銀行法上、取扱可能業務範囲または付随業務兼営業務に含まれなければならない。銀行圏の関係者は「仮想資産事業をしたくても直接進出が不可能な状況」とし「仮想資産がまもなく制度圏内に入ることに備えている」と述べた。

銀行連合会の素案は、最近、銀行圏の動きと軌を一にしている。銀行圏は、仮想資産やブロックチェーン関連事業により積極的に進出するための種を撒いている。最も積極的なのは新韓(シンハン)金融だ。新韓金融は新韓キャピタルを通じて、国内4大仮想資産取引所「コビット(Korbit)」への持分投資を推進している。コビットの持分買収が実現すれば、新韓金融のブロックチェーン事業もさらに拍車がかかる可能性が高い。新韓銀行は昨年、コビットが持分を保有した仮想資産の受託企業であるKDACに投資した。さらに2018年からコビットと契約を結び、仮想資産取引に必要な実名口座を発行している。

KB金融も仮想資産市場の先取りに向け、いち早く乗り出している。KBインベストメントは今年2月、仮想資産取引所のゴパックス(GOPAX)に100億ウォン規模の投資に踏み切った。KB国民(クンミン)銀行は20年に韓国デジタルアセット(KODA)を設立し、デジタル資産市場に参入した。

ウリィ銀行は昨年7月、コインプラグと合弁法人のディカスターディを設立し、デジタル資産受託市場に進出した。NH農協銀行も昨年9月、デジタル資産委託管理合弁法人であるカルドを設立し、戦略的投資に踏み切った。またNH農協は最近、仮想資産取引所のBithumbやコインワンと実名確認入出金サービス提携契約を1年追加で延長した。6ヵ月単位の再契約を交わしてきたのとは違って、年間単位で交わした初の長期契約だ。

海外銀行圏でも仮想資産事業の活性化が盛んに行われている。米国の各グローバル投資銀行は、機関の顧客らに仮想資産の直接投資機会を提供する商品まで発売し、積極的な姿勢を見せている。世界3大投資銀行の一つであるゴールドマンサックスは、米大手投資銀行では初めてビットコイン店頭取引(OTC)を開始した。
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