[ヤン・スングクのコラム] パラダイムを変えるべき

[写真・執筆=ヤン・スングク法務法人ロゴス弁護士]


2022年3月9日に実施される大統領選挙まで70日を切った。2ヵ月後には大韓民国号の舵を取って、この険しい世界の海をかきわけていく船長が変わるのだ。どの船長に私たちの未来を任せるべきか。船長をよく選ぶためには、船長になろうとする候補者の未来ビジョンをよく聞いて選択しなければならない。ならば、この時期には候補者が互いの未来戦略を打ち出し、またこれをめぐって互いに熾烈な討論を行うべきだ。そして国民は誰に未来を任せることができるかを決めなければならない。しかし、未来の青写真よりも互いに対するネガティブだけが横行している。討論もしようとしない。国民はどの候補の資質が優れているのか、公約が優秀なのかなどよりは、どっちがもっと悪いかをめぐって判断しなければならない状況だ。陣営が分かれて、自分が推す候補に対してはいかなる傷や犯罪的な要素が発覚しても目をつぶり、無条件に自分が支持する候補が当選しなければならないと主張する。そして反対側に対しては、これがデマであるとか誇張されたことを問わず、目をつぶって無条件に支持し、無条件に反対する。

世界は恐ろしいほど急変している。今こそ近視眼的な態度を捨てて、新しい目で世の中を見なければならない。最大野党の「国民の力」が産業化勢力とすれば、「ともに民主党」側は民主化勢力といえるだろう。いくつかの副作用があったが、それでも産業化勢力によって大韓民国の経済力がここまで上昇し、民主化勢力によって大韓民国の民主主義はここまで成長した。そのため、大韓民国は世界で唯一、経済と民主の二兎を捕らえて後進国から飛び上がり、先進国の隊列まで追いかけてきた国と評価されるのではないだろうか。

しかし、さらなる跳躍のためには、産業化や民主化を超える新たなパラダイムを必要とする。世界が急速に変化しているのに、いつまでこの図式化されたパラダイムに閉じ込められていなければならないのか。そして、世界が巨大なネットワークで一つになりつつあり、人工知能が恐ろしく進化している。ややもすると人間がコンピュータの奴隷に転落するかもしれない時代が来ているのだ。地球温暖化で世界各地に大型の山火事や洪水、日照りなどの自然災害も人類を脅かしている。大韓民国号が生存するためには、過去の産業化や民主化パラダイムを越えた新たなパラダイムが必要な時期だ。しかし、政界は今も過去のフレームに閉じこもって消耗的な泥仕合ばかりし、人々もこれに同調して敵味方を分けるだけで、まったくこの不安な未来に対するビジョンを持てずにいる。

朝鮮が滅びた理由は何か。壬辰倭乱(文禄・慶長の役)という国難に遭った時、未来のための新しいビジョンに進まず、体制維持のために既存の性理学をより強固にしただけだった。そして、少しでも抜け出すと斯文乱賊(儒教において教理を乱し、思想に背く言動をする者)であると迫害した。性理学という狭いパラダイムに自分をさらに閉じ込めたのだ。そうして丙子の乱という国難に再び見舞われたにもかかわらず、今回は性理学日本主義に加えて小中華という考えに囚われ、広い世の中にそっぽを向く。そのため押し寄せる西洋の波には何の関心も持たず、むしろ排斥して門を閉めてしまい、結局日本に国を奪われたのだ。

韓国民族はもともと古代から踊りと歌が上手で楽しい民族であり、満州の原野を走っていた民族だ。そのような民族のDNAが今日の創意力を発揮し、K-POPやBTS、イカゲームなど韓流の波で地球の果てまで広がっているのだ。政治さえうまくやればいい。ひたすら政権を握るという小人輩的な考えから脱し、民族のDNAを生かすことができるのか、どうすれば分かれている人々を我執から脱して未来のビジョンに進めることができるか、そのような政治をしなければならない。残りわずかだが、どうか今回の大統領選挙で政界が地殻変動を起こし、未来に進むパラダイムを転換させてほしい。暗くなるにつれて夜明けは近いという。新年を迎え、今回の大統領選挙では我々にそのようなビジョンを提示する候補が大韓民国号の船長になり、よろめく大韓民国号を希望に満ちた未来へ向けてまっすぐに導いていくことを願う。
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