尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が6日、ソウル鍾路区の憲法裁判所で開かれた尹錫悦大統領弾劾審判第6回目弁論に証人として出席した郭鍾根(クァク・ジョングン)前陸軍特殊戦司令官の「国会議員逮捕指示」関連陳述を否認した。また、憲法裁も郭前司令官と洪壮源(ホン・ジャンウォン)前国家情報院1次長の供述について疑問を提起した。
尹大統領は同日午後に開かれた6回目の弁論期日で、「私が特戦司令官に電話したのは、当時テレビ画面で国会の状況が混雑していたため、現場の安全問題について確認するためのもの」とし、郭氏の主張のように「国会議員を引き出せ」という指示はなかったと強調した。
特に尹大統領は、自分が「人員」という表現を使ったという郭氏の主張に対して、「人という表現があるのに他の言葉を使う必要もなく、議員なら議員であって、『人員』という言葉を使ったことがない」と反論した。
憲法裁判官たちも、郭氏の証言が変わり続けていることを指摘した。実際、郭氏は非常戒厳当日、尹大統領が「引っ張り出せ」と指示した対象に対して、最初の国会議事堂では「人々」と言ったが、以後「国会議員」、「人員」と記憶するとし、継続して陳述を変えた。主審の鄭亨植(チョン・ヒョンシク)裁判官は「証人の陳述が変わるから問題になる」とし「法律家たちは言葉(証言)を動かすことによって信憑性を判断する」と指摘した。金炯枓(キム・ヒョンドゥ)裁判官も審問で「証人(郭元司令官)の言葉がしきりに変わる」と指摘した。
先立って李鎮雨(イ・ジヌ)前首都防衛司令官などが12·3非常戒厳宣言が適法であり、「逮捕指示」はなかったと否認した状況で、郭氏が陳述を翻し憲法裁で信頼できない態度を示したことも決定的だった。
非常戒厳を内乱に追い込んだ核心人物である2人の陳述が変わり続け、信憑性を疑われる状況が続く中で、鄭亨植憲法裁判官は洪氏のメモについても疑問を提起した。
洪氏は昨年12月6日、国会情報委員会に出席して大統領の国会議員逮捕疑惑を触発させた人物であり、今回の弾劾審判に決定的な役割をした「逮捕リスト」メモを作成した張本人だ。彼は非常戒厳当日、呂寅兄(ヨ・インヒョン)前国軍防諜司令官から逮捕リストを聞いて作成したと証言したが、呂氏は弁護団を通じて「『逮捕』という言葉を言った記憶がない」とし「そのような要請をする理由もない」と全面否認した。
洪氏は戒厳宣布当日、尹大統領から「すべて捕まえろ」という指示を受けた後、呂寅兄前司令官に政治家など逮捕対象者のリストを聞いて手帳に書き取ったと主張してきた。しかし、去る4日の尹大統領弾劾審判第5回弁論で「このメモは、自分の補佐官が書き写したものに一部の内容を直筆で追加したものだ」と述べた。事実上、再作成したメモであるというわけだ。
問題のメモには、逮捕対象リストとともに「検挙要請(位置追跡)」「逐次検挙後、防諜士拘禁施設に監禁調査」のような文句が書かれている。逮捕対象者には最大野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)代表や与党「国民の力」の韓東勲(ハン・ドンフン)当時代表などが含まれた。
鄭亨植憲法裁判官は4日の第5回弁論証人尋問で、洪氏のメモの「検挙要請」部分と関連し「呂前司令官が政治家などを検挙する権限や組織がない国情院に検挙を要請したことは納得し難い」と指摘したたうえで、「(検挙要請ではなく)『検挙支援』と書くのが正しいのではないか」と、何度も疑問を提起した。洪氏も「多少合理的でないように書いておいた部分を認める」と答えた。
一方、この日(6日)の弁論は2回の休廷を含め、午前10時から午後6時過ぎまで進められた。残りの弁論はあと2回。11日に7回目が、13日には8回目の弁論が行われる予定だ。11日午前10時から開かれる第7回弁論では、李祥敏(イ・サンミン)前行政安全部長官、申源湜(シン・ウォンシク)国家安保室長、白鍾郁(ペク・ジョンウク)前国家情報院3次長、キム・ヨンビン中央選管委事務総長に対する証人尋問を続ける。
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