サムスンSDIが収益性中心の経営基調から抜け出し、国内外の設備投資を増やし、量的成長に重点を置く見通しだ。 完成車メーカーの中低価格型バッテリー搭載が増え、米国インフレ削減法(IRA)でバッテリーサプライチェーンが米国中心に構築されるなど、急変するグローバルバッテリー市場環境に対応するためだ。
2日、関連業界によると、サムスンSDIは最近、蔚山(ウルサン)および天安(チョンアン)事業所の増設に突入した。 各事業場に対する建築物着工および施設増設申告を終えたことが確認された。
サムスンSDIは蔚山工場の規模を現在の66万㎡から123万㎡に2倍近く増やす計画だ。 現在、ここで協力会社のSTMと共に陽極材素材工場を作り、独自素材の需給を増やす見通しだ。 また、ここでLFP(リチウムリン酸鉄)バッテリーの生産まで検討し、中低価格型電気自動車市場に対応する計画だ。
天安事業場では全固体など次世代バッテリーのための極板マザーラインを作っている。 マザーラインとは、次世代設計および工程技術が適用された製品の試験生産と量産性検証の両方ができるラインを意味する。
これまでサムスンSDIは、韓国バッテリー3社(LGエネルギーソリューション、サムスンSDI、SK sone)のうち、設備投資に最も保守的だと評価されてきた。 高付加価値商品に集中して収益性を高めることができたが、設備投資を疎かにしたため、ライバル会社に比べて米国投資とLFP市場への進出が遅れたという評価を受けた。
しかし、今年は海外事業場への投資を増やし、量的成長に拍車をかける予定だ。 米国工場を早期稼動するのに続き、ハンガリー工場の生産能力も高めることにしたからだ。
サムスンSDIとステランティスは合弁法人のスタープラスエナジーを通じ、米インディアナ州ココモ市に年産33ギガワット時(GWh)規模の電気自動車バッテリー工場を建設している。 スタープラスエナジーは当初、2025年第1四半期の稼動から2024年以内の稼動へと目標を修正したという。
両社は最近、世界最大の電気自動車市場に浮上している米国で確実な優位を固めるという目標だ。 IRA内の「海外憂慮機関」(FEOC)指針などが発表され、事業不確実性が解消されたのも早期稼動決定に影響を与えたという分析だ。
新しい計画通りなら、サムスンSDIは初の米国工場稼動で、IRA内の先端製造税額控除(AMPC)の恩恵を受けることになり、収益性改善効果も得られる。 すでに米国に工場を稼動しているLGエネルギーソリューションとSK onは昨年第3四半期までそれぞれ4267億ウォン、3269億ウォンのAMPCを受け取った。
また、サムスンSDIは角型バッテリーを作るため、ハンガリー工場を増設し、新規受注を狙っている。
NH投資証券のチュ·ミンウアナリストは“これまで会社の保守的な増設戦略の原因だった「償却前営業利益(EBITDA)内で施設投資(CAPEX)執行」原則が崩れるだろう”とし、“来年、BMW・現代自など新規受注も期待され、増設に対する渇きが解消されるだろう”と展望した。
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