[チュ・ヨンソプのコラム] 視界ゼロの経済・・・企業「5大革新」急げよ

[写真・執筆=ソウル大学工学専門大学院のチュ・ヨンソプ特任教授]


世界経済が視界ゼロの状況だ。世界経済環境や技術、世代・人、資本主義・政府政策、経営哲学・基調など総体的大変化と共にコロナパンデミック、気候危機など文明史的変化が作っている超変化に超不確実性が加わっている。米・中対立と覇権戦争、ロシアのウクライナ侵攻事態が触発した新冷戦時代突入などにともなうグローバルサプライチェーン撹乱、国際原油価格と原材料価格急騰など供給側面の不確実性とコロナパンデミック対応過程で発生している需要側面の不確実性が重なった超変化·超不確実性時代が展開されている。 このため、経済不況と物価上昇が同時に発生するスタグフレーションの恐怖が世界経済を巻き込んでいるが、人類が過去経験したことのない未曾有の総体的かつ複合的な危機状況に対する解決策が容易ではなく、各国はその対応策作りに没頭している。

韓国も物価上昇を抑制しながら同時に経済を活性化させる二律背反的な難題を解決するための短期的経済政策に全力を傾けているものの、この過程でメガトレンドに位置づけられたデジタル・グリーン・人類文明大転換に対する国家的対応も疎かにできない。現危機状況が終息した後に訪れる経済回復ないし大反騰時期の成否は、この3大大転換に対する対応にかかっているためだ。第4次産業革命を触発した人工知能(AI)、データ、モノのインターネット(IoT)、ロボットなど技術革命にともなうデジタル大転換は、すべての企業はもちろん、国家全般にわたってビジネスモデル革新を要求している。当初の見通しよりも早く近づいている気候危機と、これに対応するための世界中の炭素中立政策にともなうグリーン大転換は企業と国家全体にエネルギー・環境側面の革命的変化と共にESG(環境・社会・支配構造)基盤のビジネスモデル革新を要求している。コロナパンデミックが触発した人類文明の大転換は電子商取引、遠隔勤務、遠隔教育、遠隔医療などオンライン非対面経済拡散と共にデジタル大転換の加速、危機対応と回復力基盤のグローバルサプライチェーン再編などを要求している。

昨今の超変化時代にデジタル・グリーン・人類文明大転換に対応するための韓国企業の大々的革新が至急だ。短期的には新3高(高物価・高金利・高為替レート)に対応し、スタグフレーションのような最悪の状況でも生き残れるシナリオ経営が必要だ。短期的な生存戦略が重要であるものの、それだけに集中すると、近づく大きな機会をつかむことはできない。韓国企業は短期生存戦略と同時に3大転換に対応する中長期発展戦略にも邁進しなければならず、政府は現在の危機状況で二兎を追わなければならない企業の負担を減らす政策的支援が切実だ。

3大転換に対応する企業革新において最も重要かつ先行しなければならない第一の方向はビジネスモデルの革新だ。企業のビジネスモデルは企業を経営する核心モデルとして対象顧客のニーズと好みを把握し、これに合う製品とサービスを開発・生産・販売して収益を創出するモデルを意味する。したがって、ビジネスモデルの革新は顧客、製品・サービス、運営モデル、収益モデルの4つの要素の観点から行われなければならない。この過程でデジタル大転換の核心である連結とデータが非常に重要な役割をする。過去には不特定多数の顧客を対象にした市場調査を通じて製品とサービスを開発し提供したが、今はIoT、AI、5G通信などデジタル大転換技術を利用して顧客とリアルタイム連結を通じた顧客データ確保が可能になり、顧客一人一人のニーズと好み把握が容易になっている。過去の方式が不特定多数の顧客に対する「機関銃」式「大量散布・乱射」方式だったとすれば、今は顧客一人一人に対する精密「ライフル」式「好み狙撃」方式が可能になる。顧客一人一人を満足させるパーソナライズとカスタマイズビジネスモデルを装着した企業が従来の大量生産・消費モデルを持つ企業に勝って市場の支配者になることは自明なことだ。このような顧客と製品・サービス面の革新だけでなく、製品を開発・生産・販売する運営モデルもデジタル大転換を通じて市場の版図を変える見通しだ。デジタルツイン、メタバース技術を通じて事前に製品開発・生産・販売を最適化し、時間と費用を革新的に減らすことができ、オンラインプラットフォーム化も可能になる。収益を創出する収益モデルも購読モデル、使用基盤支払いモデルなど製品とサービス融合を通じた収益多様化児拡大が可能になる。さらに、ESGベースのビジネスモデルも重要な革新方向だ。

企業のビジネスモデル革新のためには政府の支援が欠かせない。特にデータ基盤の新経済が可能になるよう法・制度など規制革新、新しいビジネスモデルを支援する金融革新、データ・通信インフラ構築など政府が主導してこそ可能な政策的支援が重要だ。米国はGAFAMと呼ばれるグーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン、マイクロソフトなどビッグテック企業が主導し、世界データ経済を支配している。これに対抗して欧州連合(EU)は製造、ヘルスケア、エネルギー、公共、金融など主要分野の欧州データ生態系を育成してデータ主権を守り、世界データ経済を主導しようとする目的で官民協力のガイアエックス(Gaia-X)プロジェクトを推進中だ。韓国もEUのような状況で世界経済覇権がかかったデータ経済育成に大々的な民官協力が要求されている。

2番目の方向はビジネスモデル革新と連携した企業システム革新だ。韓国政府が重点的に推進しているスマート製造革新も現在のビジネスモデルではなく、革新された新しいビジネスモデルに適した製造システムでスマート工場が構築されなければならない。3番目の方向は技術革新だ。 ビジネスモデルと企業システム革新が全て技術基盤なのでデジタル・グリーン大転換関連技術などに対する開放的な革新と協力基盤の技術確保が至急だ。4番目の方向は人の革新だ。3大転換時代が求める新たな人材育成の重要性は、いくら強調しても過言ではない。最後に市場革新だ。昨今の脱中国化傾向は、韓国にとってグローバル化拡大のための絶好の機会だ。漸増する保護貿易主義に対応して現地企業と協力するグローバル同伴成長モデルも効果的なグローバル化戦略になるだろう。

危機はチャンスでもある。市場の勢力図は転換期に変わる。韓国企業が以上のような5大革新で3大大転換時代の勝者になることを期待する。
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