[ホン・ジュンピョのコラム] 物価高・高金利の津波、さらに致命的なのは経済脆弱階層

[写真・執筆=現代経済研究院のホン・ジュンピョ経済動向分析チーム長]


今年も半分が過ぎている時点で、下半期の経済の流れがどのように進むかを予想すれば、断然物価に関心が集まるしかない。物価上昇の勢いは続きそうだが、これをただ見ているだけではなさそうな金融政策当局の今後の歩みにより市場金利水準も上がるとみられる。すでに借金をしている人たちの負債負担はどうなるのか心配だ。特に働き口を確保するのが難しく負債償還が難しい若者たちの喪失感と共に経済活動をあきらめようとする傾向が一層高まるのではないかと憂慮される。

現在、韓国の物価上昇率の数値は非常に久しぶりに見る高い水準だ。今年4月の消費者物価上昇率は前年同月対比4.8%を記録し、グローバル金融危機当時の2008年10月以後最高値だった。根源物価上昇率も前年同月対比3.6%で2011年12月以後最高値を記録した。社会的距離の確保が緩和され、人々の活動量が増加した影響でサービス部門の価格上昇の勢いが拡大している。4月の加工食品の上昇率は前年同月比7.2%となり、10年ぶりの最高値を再び更新した。原材料の供給が円滑でない点が反映されたためと判断される。原材料価格上昇の影響で4月から電気・ガス料金が引き上げられ、電気・ガス・水道料金の前年同月比上昇率も3月の2.9%から4月は6.8%に拡大した。下半期にも電気とガス料金の追加引き上げが予定されており、公共部門のエネルギー価格の上昇傾向は続くと予想される。

昨今の高い物価上昇率を発生させた要因の大半が当分続く可能性が高い。まず、ロシアとウクライナの戦争はすでに長期戦に突入した。双方とも譲歩する意向がなさそうに見えるだけでなく、西側諸国のロシア制裁が強まるという予想が市場に支配的だ。このような期待心理で穀物やエネルギー価格の上昇圧力は依然として続くだろう。

ウクライナが世界主要穀倉地帯であることは、国旗だけを見ても分かる。国旗の上半分は青い空を象徴する青色で、下半分は豊かな麦畑を象徴する黄色で構成されている。このように世界的な穀倉地帯であるウクライナで生産される穀物が世界市場に円滑に供給されず発生する高い穀物価格は、今年下半期にも下がりにくいだろう。今の高い穀物価格水準とともに地政学的不確実性によって引き起こされた変動性は、根本的に交渉後に展開される封鎖解除の動きがなければ引き続き現れるだろう。

国際原油価格の上昇傾向も当分の間、下落反転が容易ではなさそうだ。まず、供給が増えるのは難しいと予想される。主要産油国であるOPECプラス(中東が中心のOPECおよびロシアなど非OPEC)の増産量は期待に及ばない水準だが、不足した供給量を満たしてくれる先進国の増産はさらに厳しい状況だ。化石燃料に対する投資減少で生産余力が減ったためだ。一方、需要は引き続き発生するとみられる。世界最大の原油消費国である米国の場合、休みや夏休みなどで移動量が多くなり、ガソリン消費量が増え続けている。このように原油供給は増えにくいが、需要は引き続き拡大し、国際原油価格は今のような高い水準にとどまる可能性が高い。

このような原材料供給先での封鎖および原油に対する超過需要などグローバル要因が国内(韓国)物価上昇の勢いを高く維持する側面もあるだろうが、これに加えて国内政策的な側面でも高物価現象を後押ししている。補正予算案が可決されたのだ。今回の補正予算案の実質支出規模は、政府案の36兆4000億ウォンより少し増えた39兆ウォンに決定された。ただでさえ豊富な国内市中流動性がさらに拡大し、物価上昇圧力がさらに強化される影響を受けるだろう。コロナショックに被害を受けた小商工人と自営業者などの損失を補償する次元で補正予算案が編成され、可決したため仕方ない側面があるというのは認める。今後、政策当局の持続的な努力が後押しされなければ、国民の期待インフレは収まりにくいと予想される。

そのような側面で金融政策当局の今後の歩みは物価上昇の勢いを緩和させるのに役立つ方向である通貨緊縮政策基調を維持するとみられる。5月の通貨政策方向関連の記者懇談会で、韓銀総裁もインフレ圧力が従来の予想より大きくなることを懸念していると明らかにした。韓銀総裁は当分、景気よりは物価に重点を置いて金融政策を運用する必要があるという発言をした。金融市場は現在1.75%である基準金利が年末には2.25~2.5%水準に上がると予想している。

このように金利が上昇すれば借金をしている人々は皆借金償還に負担になるだろうが、現代経済研究院の最近の研究結果によると、高所得層より低所得層、常用職より自営業者、中年層より青年層の借金負担がはるかに大きかった。相対的に低い所得水準によって一定水準の金利引き上げにも総負債原理金償還比率(DSR)が大きく上昇すると推定された。

食料品価格の高止まりに約20年ぶりにエンゲル係数が最高値に達した点を考慮すれば、必須生計費支出比重が高い低所得層は他の所得階層に比べて高物価による困難がはるかに大きく実感するだろう。

民生経済のリスク要因は低所得層や経済脆弱階層に集中すると憂慮される状況で、彼らに対する適合型支援策を用意するなど、より精密な政策運用の必要性が切実な今年下半期だ。
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