[チョ・ジングのコラム] 韓日関係、戦略的疎通と人の往来で突破口を探せよ

[写真・執筆=慶南(キョンナム)大学極東宗研究所のチョ・ジング教授]


50年前の1971年10月25日、台湾は中国代表権を剥奪され、国連から追放された。その後、中国は台湾を国家として認めず、外交的に孤立させることに外交力を集中させた。また2016年の蔡英文(ツァイ・インウェン)総統就任後、世界保健機関(WHO)のような国連傘下の機構に入ることも阻止してきた。しかし最近、米・中競争が激化し、台湾情勢が大きく変わっている。今年3月にフィリップ・デービッドソン米インド太平洋軍司令官が、中国が6年以内に台湾を侵攻する可能性があると明らかにし、台湾問題が世界的な関心事に浮上している。

10月10日の創建記念日に当たる双十節記念演説で蔡英文総統は「台湾は圧力に屈することはない」と宣言した。前日、辛亥革命110周年の記念式典で習近平中国国家主席が武力統一は言及しなかったものの、「祖国の完全統一という歴史的任務は必ず実現しなければならず、また、必ず実現できる」と述べたことに対する応酬だった。習主席は、台湾問題は「中国の内政であり、外部のいかなる干渉も容認しない」と述べたが、蔡総統は「台湾はもはやアジアの孤児ではない」と反論した。フォーリン・アフェアーズ(Foreign Affairs)11-12月号の寄稿論文『台湾と民主主義のための戦い(Taiwan and the Fight for Democracy)』で蔡総統は、「台湾が自由民主主義と権威主義間のグローバルな競争の最前線であるとし、台湾が万が一中国の手に落ちれば、アジアの平和にとって『壊滅的な』結果を招く」と警告した 。

1979年に米国が中国と国交を樹立して以来、最新兵器を台湾に販売しているが、台湾防衛の義務はない。米議会で、中国が台湾に侵攻した場合、大統領に武力使用の権限を与えるべきかどうかをめぐって論争が起きている中、米軍特殊部隊と海兵隊が台湾で軍事訓練任務を遂行していることが明らかになった。

今年4月と5月、日本と韓国の首脳をワシントンに招待した米バイデン大統領は、共同声明に台湾の平和と安定の重要性を強調する文句を入れた。韓米首脳会談の共同声明に台湾問題が含まれたのは初めてであり、ワシントンで日米首脳会談が開かれた4月17日、岸信夫防衛相は台湾からわずか110キロメートル離れた日本最西端の沖縄県与那国島を視察し、台湾の平和と安定は地域と国際社会の平和と繁栄に直結した問題だと強調した。7月5日、麻生太郎副総理(当時)は、中国の台湾侵攻は2016年から施行されている安保関連法に規定した存立危機事態、すなわち日本と密接な関係がある他国に対する武力攻撃が日本の存立を危うくする事態と関連があるとし、日米がともに台湾を防衛しなければならないと限定的な集団的自衛権行使の可能性を示唆した。

台湾問題を自国の安保と直結した問題と認識している日本の台湾重視態度が目立つ。世界GDPに占める日本の割合は、1994年約18%だったのが2020年3分の1の6%に墜落した。今、自動車を除けば日本を象徴する製品はないほどだが、日本が経済再建の触媒になると期待しながら進めているのが半導体だ。衆院選に合わせて自民党が公表した公約集(自民党 政策BANK)には、半導体産業の再生に向けて国内産業基盤を強化するという内容が盛り込まれている。特に今後10年間、先端半導体の国内開発と製造のため、海外企業のファウンドリー誘致や共同研究を支援すると言及したが、念頭に置いたのが台湾のTSMCだ。10月14日、TMCは日本に新たな半導体製造工場を建てると発表したが、日本企業への優先出荷を条件に、投資総額1兆円のうち半分の5千億円を補助金の形で支援するというのが日本政府の方針だ。

さらに公約集には日米同盟を基軸に普遍的価値を共有するパートナーとしてオーストラリア、インド、アセアン、ヨーロッパとともに台湾を挙げており、台湾のTPP( 環太平洋経済連携協定)加入申請と世界保健機関(WHO)総会オブザーバー参加を歓迎すると指摘した。しかし韓国に対しては、『韓国による国際法違反の状態や歴史認識などをめぐる理由のない非難』に対し、冷静かつ毅然とした態度で対応すると言及するだけだった。

10月8日、国会の所信表明演説で岸田首相は、普遍的価値を共有する国家に韓国を含めず、中国、ロシアに続き韓国を最後に言及した。6月にG7首脳会議を主催した英国は、民主主義国家および技術先進国間の協力強化のために、韓国、オーストラリア、インド、南アフリカ共和国を招待した。日本が韓国を権威主義の色彩が強い中国やロシアのようなカテゴリーで認識しているとすれば、それは国際社会の普遍的な見方とも合わず、歪曲されたものである。

北東アジアとインド洋を結ぶ南シナ海は、全世界の貨物の3分の1が通過する要衝地だ。韓国日報と読売新聞が5月21日から23日にかけて実施した共同世論調査によると、東シナ海と南シナ海で活発な中国の軍事的活動を脅威と考える韓国人は72%(日本人は88%)に達し、米国の対中国圧力強化に同調すべきだと考える人も64%(日本人は59%)に達した。中国と台湾の問題は日米同盟を超え、韓国の国益や生存とも直結する問題であり、重大な関心を持って見守りながら日本とも深く話し合う必要がある。

日本は、2013年12月に初めて制定した『国家安全保障戦略(NSS)』文書とともに、2018年に改定された防衛計画と中期防衛力整備計画を改定する予定である。また、中国や北朝鮮などの脅威に対応するため、防衛費をGDP比2%以上を目標に増額し、12式地対艦誘導弾の射程を大幅に伸ばし、艦艇や戦闘機からも発射できるようにすることで、相手の脅威圏外から発射(攻撃)できるスタンド・オフ能力を強化していく方針だ。今年3月に続き、年内に再び開催することを決めた日米安全保障協議委員会(日米「2+2」)では、日米防衛協力指針(ガイドライン)を改正し、台湾有事の際、米軍と自衛隊の協力、特に自衛隊の役割をさらに拡大する可能性がある。日本の防衛力強化が対中国抑止力強化につながり、米国は歓迎するだろうが、域内の軍備競争を招く恐れもある。

政治も外交も理想主義だけでは動かない。今月31日に行われる衆院選で自民党が安定多数を確保できるかどうかは分からないが、選挙の結果によっては主要閣僚も交代する可能性がある。10月15日、岸田首相の就任後初めての電話会談で韓日首脳は、北朝鮮問題など厳重な安保状況で韓日および韓米日協力が重要であり、両国関係を未来志向的に発展させていくということで認識をともにした。このためには、青瓦台(大統領府)と首相官邸、外交と国防当局間の戦略的疎通をしながら、コロナで中止された両国国民の往来を再開することから始めなければならない。
<亜洲日報の記事等を無断で複製、公衆送信 、翻案、配布することは禁じられています。>
기사 이미지 확대 보기
경북 포항시 경북 포항시
닫기