[ムン・ヒョンナムのコラム] CEOなら「ポストコロナ・ESG・AI」3つを知るべき

[写真・執筆=淑明(スクミョン)女子大学経営専門大学院のムン・ヒョンナム教授]

この時代に私たちが必ず知っておくべき3つのキーワードを挙げるとしたら何だろう?筆者はポストコロナ、ESG(環境・社会・ガバナンス)、人工知能(AI)の3つだと思う。

第一に、ポストコロナの意味とポストコロナ時代のパラダイムシフトについてよく理解しなければならない。新型コロナウイルス感染症(コロナ19)は、人類に大きな変化をもたらした。そのため、これからは歴史をコロナ以前のビフォーコロナ(BC)とコロナ以後のアフターコロナ(AC)に分かれるともいう。アフターコロナ(AC)は、再びコロナと共存するウィズコロナ(WC)と、コロナが終息した以降のポストコロナ(PC)に分けられる。

これからやって来るポストコロナ時代のために、現在のウィズコロナ時代をよく理解し、備えて競争力を備えなければならない。また、企業は研究開発(R&D)投資などを通じてポストコロナ時代に有望な製品とサービスを開発しなければならない。ポストコロナ時代において、政治、経済、社会、文化など様々な方面におけるパラダイムとノーマル(規範・基準・標準)の変化(ニューノーマル)についてよく理解することは極めて重要である。

しかし、ポストコロナ時代の変化について総合的に理解し、備える個人や企業は多くない。あるトレンド専門家は、「コロナによって変化の速度は速くなったが、方向は変わっていない」と話す。しかし筆者はそうは思わない。コロナによって変化の速度が速まり、変化の方向も大きく変わったと思う。だから、ポストコロナ時代の変化を総合的かつ巨視的に理解する必要がある。

第二に、私たちが知るべきことはESGおよびESG経営である。ESG とは、環境(Environment)・社会(Social)・カバナンス(Governance)の略だ。ESGは、企業が環境保護の先頭に立ち、社会貢献活動を行うと同時に、法と倫理を徹底的に遵守する倫理経営をするなどESGを実践してこそ持続的な成長が可能だという意味だ。企業が経営や投資をする際、売上のような財務的な要素に加え、ESGのような社会的・倫理的価値を反映して経営したり投資するのがESG経営だ。

欧州連合(EU)や米国などではすでにESGとESG経営が企業を評価する上で重要な基準となっており、全世界的に広がっている傾向にある。持続可能な経営が重要となり、今後はESG経営の成果が企業の運命を左右する経営評価指標として台頭する見込みである。このようなESGは企業だけでなく国家評価にも導入され、国際格付け会社のムーディーズは、国別ESG信用影響点数の評価を始めた。これによると、韓国はドイツやスイスなどとともに1等級を受け、米国、英国など30カ国は2等級、日本、中国など38カ国は3等級を受けた。国家、企業経営、資本市場投資にESGが必須条件の時代になったのだ。

何よりもコロナ19の拡散でESGの価値が急騰した。環境破壊がコロナ19の主要原因に挙げられており、経験したことのない社会的距離置き(ソーシャルディスタンス)によって消費が低迷した。これによって世界の経済成長が後退するなど大きな危機が訪れたためだ。消費者と投資家はこのような危機を防ぎ、社会に利益を与えられる善良な企業、ESG経営活動に力を入れる企業に関心を持つようになったのだ。

大手企業各社は、大半がESG経営を我先にと導入している。LGグループは最近、(株)LGとすべての上場系列会社の取締役会にESG委員会と内部取引委員会を新たに設置すると発表した。ESG経営が選択ではなく必須となっているのだ。銀行と金融持株など金融圏では昨年末と今年初めにESG専担部署を新設した。製薬バイオ企業もESG専門部署を作り、ESG経営に拍車をかけている。このような傾向は、全ての業種に広がる見通しだ。

第三に、私たちが必ず知っておくべきことは人工知能(AI)だ。第4次産業革命において最も重要なのがAIであり、企業など民間部門だけでなく政府など公共部門と個人に至るまで全ての経済主体においてAIの重要性はいくら強調してもし過ぎることはない。政府はAI大学院を選定・支援し、修士・博士課程の専門人材養成に力を入れている。AI専門人材の養成だけでなく、幼稚園児から中高年や高齢者に至るまで、全国民を対象にAI教育を実施しなければならない。

専門家らはAIを導入しない企業は存廃の危機に追い込まれると言う。そのため、最も急がれるのは最高経営者(CEO)に対するAI教育だ。CEOがAIを理解してこそ企業が積極的にAIを導入し、活用できるからだ。科学技術情報通信部は今年に入ってAI技術を導入した企業にソリューションやサービスを購入できるよう支援する「AIバウチャー支援事業」を開始した。今年は200の課題選定を目標に560億ウォン規模の事業を推進する。中小・ベンチャー企業だけでなく中堅企業も参加可能だ。

すべての産業分野の企業がAIを活用しようとしているが、深刻な専門人材不足に陥っている。そのため、政府や大学などの教育機関は、AI専門人材の供給を大幅に拡大しなければならない。まず、政府はAI人材養成目標を大幅に増やさなければならない。政府は2019年12月に「人工知能(AI)国家戦略」を発表したときと、今年初めに科学技術情報通信部の業務計画を発表した際にも毎年約1000人のAI専門人材を養成すると発表した。これは企業が求める人材需要にははるかに及ばない。米国、中国、欧州などAIに先立つほとんどの国が年間数万人を養成するというが、韓国の計画は素朴すぎる。

AI専門人材養成計画を大幅に拡大し、5年間AI専門人材を1万人は養成すべきだと思う。AI人材のうち高級人材は1万人を養成し、各分野の実務を遂行する中級人材は10万人を養成しなければならない。一般国民がAIを理解して活用できるAI大衆化のためには、AI初級人材100万人を養成することを強調する。このように高級・中級・初級をすべて合わせて今後5年間、AI人材111万人を養成することを強く主張したい。

以上のようにポストコロナ、ESG、AIはCEOをはじめとする企業家や会社員、公務員、一般市民と学生に至るまで私たち皆が必ず知っておくべき3つのキーワードだと思う。ポストコロナ、ESG、AIを知らなければ、企業・国・個人ともに持続可能な成長はできない。そのため、企業は職員を、学校は学生を、政府は国民を教育し、全国民がポストコロナとESGおよびAIを理解できるように教育しなければならない。
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