[チェ・ソンファンのコラム] 危機克服は「投資と消費しやすい環境づくり」で

[写真・執筆=チェ・ソンファン高麗(コリョ)大学経済学科客員教授]


今年に入って米国の企業破産保護申請件数は3427件で、2013年以後7年ぶりに上半期基準最大値を記録した。世界金融危機で企業が相次いで倒産する直前の2008年上半期の3491社に迫る数値だ。シェルエネルギー革命の象徴ともいえるチェサピークやハーツレンタルなどが新型コロナウイルスによる封鎖措置と需要急減の衝撃に耐え切れず、破産しているからだ。一部の専門家らは、今後さらに大きな2次破産があるだろうという悲観的な見通しを出している。一方、新型コロナショックでかえって好調な企業も数え切れないほど多い。オンラインまたはアンタクト(非対面)の流れをうまく活用しているIT企業と宅配・運送企業、健康関連のバイオ企業だ。これらの企業は危機をチャンスにし、株価はすでにコロナ以前の水準を超えている。

コロナ事態が終われば、危機を機会にする国がある反面、下り坂に向かう国もあるだろう。コロナ事態が終わった後の時期を意味するポストコロナ(PostCorona)時代は、危機の中でも未来に向けて発展する企業を多く育成した国と、そうでない国の違いが克明に表れるだろう。経済と雇用を引っ張っていくエンジンは結局企業であるためだ。

現時点でポストコロナ時代の韓国を見通すと、どちらだろうか。うまくいく方なのか下り坂なのかに対する評価を出した国際機関や研究所はまだない。なので次の2つの基準で考えてみよう。一つ目は香港の企業脱出と関連する件だ。香港は保安法の施行と米国の特別地位剥奪で、グローバル企業と金融資本が大挙脱出するという見通しが出ている。果たして香港のグローバル企業と金融資本が代替地として韓国を取り上げているのだろうか。香港の大手企業の役員たちから出てきたことは一言で「韓国(ソウル)ではない」という意見だった。韓国は規制が多い上、もっと大きな問題は規制の予測可能性が低すぎるという点を理由に挙げたという。必要な場合、随時新しい規制を作ったり、変更・強化したりして、企業の運営と活動の不確実性が大きすぎるということだった。企業が最も嫌う単語を一つ挙げると、まさに不確実性だ。

二つ目はリショアリング(reshoring)、つまり海外に出た企業が本国に戻るということだ。コロナ事態により、グローバル供給網に問題が生じて、米国や日本など主要先進国が自国企業の帰還に向け、これまでになく努力を傾けている。韓国も大統領が乗り出して、関連省庁で対策を打ち出している。しかし、企業各社は政府は現場を知らなすぎると愚痴をこぼしている。賃金、労組、規制の3大障害が大きすぎて、実際に戻って来る企業はほとんどないということだ。

それなら、何をどうすればいいかについての答えも出ている。規制をグローバル基準(globalstandard)に合うように改正すると同時に、規制の予測可能性を高めることだ。最低賃金を含めた賃金引き上げ、週52時間勤務制度と労組活動も企業の投資と発展に障害にならないよう、適切な水準で合意され決定されなければならないだろう。同時に反企業または反富豪情緒を緩和させるための企業および富豪レベルでの努力も伴わなければならないだろう。そうしてこそ「投資しやすい環境、起業しやすい環境」を作り上げることができるだろう。

最近、韓国のゴルフ場は平日にも予約がないほど好況だ。ゴルフ場の会員権の価格が上がったのはもちろん、売物として出されたゴルフ場がなくなり、売買価格も跳ね上がったという。コロナによって海外でゴルフを楽しんでいた人々が全て国内ゴルフ場に集中している現象だ。世界中を旅していた海外旅行客たちも、済州島(チェジュド)や国内旅行地に殺到している。これまで、人々はなぜ海外にゴルフと旅行に出かけたのだろうか。見どころ、グルメ、楽しみどころがないのに高いというところが韓国ではないだろうか。それに、余裕のある人がお金を使うことに対する反感も人々を海外に駆り立てている。

お金のない人は使うお金がなくて使えず、お金のある人は海外に出てしまうと、その国の経済はますます厳しくなるしかない。お金のある人が国内でたくさん消費してこそ、国内経済がうまく回るわけだ。最近、免税店のブランド品の在庫販売でも分かるように、金を使う人は思ったより多い。きちんと税金を払い、一生懸命努力して稼いだ金を、他人を気にせず思う存分(?)使える社会的雰囲気と環境を作ってあげなければならない。「お金を使いやすい環境、消費しやすい環境」を作ることだ。そうすれば、コロナのような事態が発生しなくても、国内での消費が増えるだろう。

経済を牽引する3大動力は、消費・投資・輸出だ。相対的に小さい規模である上、輸出依存度の高い韓国経済は、国内消費と投資をどのように活性化するかによってポストコロナ時代の未来がかかっている。政府が今まではコロナ危機以後、急場しのぎの救済(relief)に焦点を合わせたなら、これからはポストコロナに備える戦略とビジョンを提示し、実行しなければならない。国会で可決された第3次補正予算案をみれば、計35兆ウォンのうち、韓国経済の未来に投資したいわゆる「韓国版ニューディール」に投入する資金は5.1兆ウォンに過ぎない。救済に重点を置く場合、選挙と票を得ることはできるが、韓国経済の未来は暗くなるしかない。

投資と消費しやすい環境を作る上、これからは呼び水にも差別化戦略で行くべきだ。ポンプ(企業)に水が引いた時、呼び水を注いだとして水が出るわけでもない上、呼び水も無限にあるわけではないからだ。なぜ水が引いたのか、機械には故障がないのか、水源が乾いていないのか、複数のポンプがあればどこに呼び水を集中的に注いでいくべきかなどを細心の注意を払って決めなければならない。故障したポンプ、水源が乾いたポンプに呼び水をいくら注いでも水が出ない。韓国の経済と国民のための成長エンジンになるポンプを選び、新たに作る戦略とビジョンが必要な理由だ。例えば、脱原発が果たして正しい方向なのかを始め、第4次産業革命の新技術と関連スタートアップをどのように支援するのかなどについて、より具体的な案をまとめなければならないだろう。戦争が短期間で終わらないようであれば、戦争中でも戦後を考える知恵がなければならない。
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