チリ政府が反政府デモ激化で来月中旬に開かれる予定だったアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の開催を断念すると発表した。開幕をわずか17日残して下した電撃的な決定だ。
チリで最も権威のある新聞「エル・メルクリオ」紙とAP通信など主要外信は、チリのセバスティアンピニェラ大統領30日(現地時間)記者会見を開き、「政府は11月のAPEC首脳会議と12月の国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP25)を開催しないことを決定した」と明らかにしたと伝えた。
ピニェラ大統領はこのような決定が「最近数週間、チリと国民みんなが経験してきた困難な状況」のためとし、「政府が最も懸念して重要視するのは、公共秩序と市民の安全、社会的平和を回復することに集中することだ」と述べた。
続いて彼は「非常に困難で苦しい決定だった」とし、「この決定でAPECとCOPに起こる問題と不便に深い遺憾を伝える」と付け加えた。
来月16〜17日、チリのサンティアゴで開かれる予定だったAPEC首脳会議には文在寅(ムン・ジェイン)大統領とドナルド・トランプ米大統領、中国の習近平国家主席などが参加する予定だった。
特にこの席で米国と中国の貿易交渉と関連した第1段階の合意にトランプ大統領と習主席が署名する案も推進されてきた。しかし、APEC首脳会議のキャンセルで、これをきっかけにした米中間の交渉締結の推進など参加国首脳の日程も支障をきたすことが予想される。
COP25は12月2~13日に開かれる予定であり、フランスのエマニュエル・マクロン大統領、スウェーデンの十代の環境保護活動家グレタ・トゥーンベリ氏などが参加することになっていた。
ただ、米ホワイトハウスが当初の時間表どおりに第1段階の合意署名を希望する旨の立場を明らかにし、チリでのAPEC首脳会議霧散にもかかわらず、遠くない時期に署名が行われる可能性は残っている。
ホワイトハウスはこの日、チリのAPECキャンセルのニュースに驚きを示しながらも、別の声明を通じて「中国との貿易合意は従来の時間表通りに進めることを希望する」という意味を明らかにした。
ホワイトハウスのホーガン・ギドリー(Hogan Gidley)報道官は「我々は同じ『時間フレーム』内に中国との歴史的な第1段階の合意を終了することを期待する」とし、「(後続の計画と関連)発表をするようになったら知らせる」と述べた。
ギドリー報道官は、「現在としてはチリでAPEC首脳会議は開催されないと見られる」とし、「現在としては準備された第2の(APEC首脳会議)の候補地はないと聞いている。われわれは他の場所と関連した潜在的な情報を待っている」と付け加えた。
ギドリー報道官の「他の場所」の言及はAPEC首脳会議の場所や日程再調整を念頭に置いた可能性が提起される。
また、フォックスニュースは中国が米国側にチリではなく、マカオで代わりに会議を行うことを提案したと伝えた。
フォックスニュースとフォックスビジネスニュースのエドワード・ローレンス記者はその後、自分のツイッターを通じて中国がチリではなくマカオで首脳会談をしようという要請を米国にしたと伝えた。彼は「中国はすでにマカオを代案として提示している」と述べた。
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