声明や理念は繰り返される。しかし最後に問われるのは、産業基盤と実行力だ。技術それ自体は中立かもしれない。だが、技術をどう使うかという選択は決して中立ではない。
韓国の強みは三つある。第一は製造業の蓄積である。1960年代以降、重化学工業を軸に、鉄鋼、造船、自動車、電子、半導体、ディスプレー、電池産業まで、ほぼあらゆる製造分野を経験してきた。半世紀を超える産業化の歩みは、単なる成長の物語ではない。失敗と改善、品質向上と工程革新、そして国際競争の中で磨かれた熟練の歴史である。
長年にわたり蓄積された生産データと工程ノウハウは、いわゆる「フィジカルAI」の時代において代替しがたい資産となる。工場を理解せずにスマートファクトリーは成り立たない。現場の文脈を知らなければ、産業ロボットは空疎な存在にとどまる。製造の経験は、アルゴリズムを現実につなぐ基盤である。
第二はITインフラである。1997年の通貨危機以降、韓国は情報通信網を国家戦略として整備してきた。全国規模の高速通信網と世界水準のモバイルネットワークは、デジタル転換の土台を築いた。都市と農村を問わず接続されたネットワークはデータ経済の前提となり、国民全体の高いデジタル活用能力が産業と行政の効率を押し上げた。
AIはネットワークの上で動く。ロボット、自律システム、スマート物流、遠隔医療、都市管理――高度な通信環境なしには機能しない。韓国はすでに、国全体が一つの巨大なデジタル実験場となっている。
第三は実行の速度である。いわゆる「早く、早く」という文化は、単なる性急さではない。危機や転換の局面で発揮されてきた集団的な遂行力である。半導体の高度化、スマートフォンの世界展開、電池産業の急成長は、意思決定、投資、研究開発が迅速にかみ合った結果だった。技術パラダイムが急変するAI時代において、スピードは競争力そのものと言える。遅れた合意と先送りされた実行は、機会の喪失を意味する。
今回のAIサミットは、その意味を象徴している。第1回は英国、第2回は韓国、第3回はフランス、そして第4回がインドである。英国は安全性と規範の枠組みを提示し、韓国は産業現場での応用可能性を示し、フランスは欧州的な規制と倫理の整備を進めた。インドは巨大な人口とソフトウェア人材を背景に、グローバル・サウスの参加拡大を目指している。会議の開催地の変遷は、技術論争の重心が移動していることを映し出す。
しかし現実は冷静に見なければならない。現在のAI競争は事実上、米中が主導している。米国は巨大プラットフォーム企業と半導体、クラウド基盤を軸にエコシステムを築き、中国は国家戦略としての投資と膨大なデータ、製造力を背景に対抗する。二強構造のもとで、アジアの多くの国が再び周辺化される懸念は小さくない。産業革命期のように、標準を他者に定められ、受け手に甘んじるのか。それとも主体的な担い手となるのか。問いはそこにある。
とりわけフィジカルAIは新たな転換点である。これは単なるソフトウェア競争ではない。ロボット、自動運転、スマート工場、国防装備、物流、医療機器と結びつき、生産性と安全、効率を再構成する技術である。データとアルゴリズムだけでは完結しない。ハードウェア設計、センサー技術、工程データ、現場理解が不可欠だ。この点で、韓国はアジアの中でも総合力を備えた数少ない国の一つである。
例えば、自動車大手はヒューマノイド技術を含むロボット分野へと拡張しつつある。移動体の制御やセンサー融合の技術は、「動く知能」へと接続される。移動手段をつくる企業が、知能を持つ機械をつくる企業へと変貌する過程は、フィジカルAI時代の象徴的な光景である。研究分野でも蓄積は進む。高齢化が進む社会において、家庭用ロボットは福祉インフラとなり得る。技術革新が社会課題の解決と直結する領域である。
アジア全体を見れば潜在力は大きい。インドのソフトウェア人材、東南アジアの若い労働力、日本の精密製造とロボット工学の伝統。それぞれが強みを持つ。問題は分断である。各国が個別に動けば、米中が定める標準に従う下位市場にとどまる可能性が高い。連携と協力が不可欠だ。
韓国とインドの協力は一つの出発点となり得る。インドのソフトウェア能力と市場、韓国の製造経験とハードウェア技術が結びつけば、フィジカルAI分野で補完的な構造を築けるだろう。共同研究拠点の設立、人材交流、標準化協力は現実的な課題である。
もちろん前提もある。予測可能な法制度、倫理と安全基準の確立である。過度な規制も無責任な放任も、いずれも持続的発展を妨げる。技術は人間の生活を補完し、拡張する方向で用いられるべきであり、透明性と責任が担保されなければならない。産業革命以降、アジアは長く追随者の位置にあった。だがフィジカルAIという新たな局面において、再びためらう理由はない。インドAIサミットは、その決断の起点である。宣言を実行へとつなげられるかどうか。そこにアジアの未来がかかっている。
