高金利と物価高で借金を返せない人が韓国で急増している。今年1~10月、裁判所に個人回生を申請した件数が10万件を越えたが、これは2004年の個人回生制度導入以後、歴代初の事例だ。
25日、裁判所統計月報によると、今年1~10月に全国裁判所に受け付けられた個人回生事件は10万8362件を記録した。このような傾向が続けば、昨年の歴代最多記録(12万1017件)を1年ぶりに再び更新する見通しだ。
個人再生はある程度の所得があるが、借金の全額を返せない時に申請できる制度だ。個人再生申請が認可されれば財産整理と共に裁判所が定めた最低生計費を除く残りの所得を一定期間(3~5年)の間、全て債務返済に使わなければならない。この期間に借金を誠実に返せば、残りの債務は免責される。
個人再生が増えるのは、最近数年間債務者が大幅に増えたが、高物価と高金利が続き、償還は難しくなったためだ。特にコロナ禍当時に急増した自営業者貸出と不動産活況期が「爆弾」に急変した。集合禁止などで売上げが減ったコロナパンデミック時期、自営業者らは資金を借りたが、物価高の中で消費が増える兆しを見せていない。2021年第2四半期に3.96%だった脆弱自営業者貸出延滞率は、今年第2四半期には10.2%まで跳ね上がった。不動産市場も2022年を基点に折れ、貸出利子に苦しみながらも家を売ることができない借主も発生した。
低成長の中で新規働き口が減り、青年たちの生計に困難が加速化する点も個人回生が増えた原因の一つと指摘される。ソウル回生裁判所によると、今年上半期の29歳以下個人回生申請件数(ソウル回生裁判所)は1733件で、昨年同期の1536件に比べ12.8%増えた。また30代(30~39歳)は同期間2790件から3272件に17.3%ほど増えた。昨年29歳以下の個人再生申請者のうち77%は生活費・住居費によって初めて借金ができたことが分かった。
今後、借金を返済できない人がさらに増えるだろうという見方も出ている。住宅担保貸出(住宅ローン)を筆頭に今年の家計貸出残額が急増し、先立って長期間続いた高金利と高物価に押され内需回復傾向は期待できないうえに、カードローンや保険約款貸出なども引き続き増えている。また、仮想通貨や株式の借金投資などによる個人再生も懸念事項だ。ソウル地域のある司法書士は「景気が厳しい環境で、再生申請が全般的に増えた」として「株式や仮想通貨投資失敗による再生申請も増加傾向」と説明した。
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