[インタビュー] AI学習アプリ「QANDA」の平野貴之氏…「質の高い回答を得られるのが最大の提供価値」

写真=QANDA
[写真=QANDA]

「最も効果的な教育を世界中のみんなに」 。AI(人工知能)基盤の学習アプリであるQANDA(クァンダ)が追求するビジネス目標だ。

QANDAは質問と回答を意味する「Q&A」を英語で表現した名前で、2016年1月に韓国でローンチした。単純な質問回答機能を越えてAIが問題を認識し、解釈を検索してくれる機能を搭載することで高度化させたおかげで、現在アプリ登録ユーザー数は9000万人、グローバル月間活性利用者数(MAU)は約800万人に達する。2016年1月から2024年4月までの累積検索数は60億件に達し、アジア最大級のAI基盤学習アプリに挙げられる。

QANDAを運営する株式会社Mathpresso(マスプレッソ)がアジアを越えて米国までグローバル市場進出を本格化している中、日本での立地をさらに強固にしている。2018年、日本に進出したQANDAは、日本での発売から4ヵ月で、グーグルプレイストアやアイフォンバージョン(iOS)アプリストアの教育部門で人気チャート1位を達成し、LINE(ライン)以降、日本で最も成功した数少ないアプリの一つと評価されている。

AJU PRESSは22日、Mathpresso Inc. Head of Japan Businessとして活動中の平野貴之氏と書面インタビューを行った。QANDAが日本ではどのように活用され、需要層と競争企業、ビジネス拡大のためのパートナーシップ締結まで、平野氏に一問一答を通じて聞いてみた。

―日本では受験競争がどれだけ激しいですか? Mathpresso(マスプレッソ) のAI学習アプリ「QANDA」が受験生にどのように役立つか、知りたいです。

日本における受験競争の激しさは、特にトップ大学進学を目指す学生たちの間で顕著です。トップ大学への進学を目指す学生は、高校時代から熾烈な競争に直面します。特に医学部や旧帝国大学など、一部の学部には多くの受験生が集中し、入試の難易度が高いです。一方で、日本の大学入試の状況は、中堅から下位の大学に関しては異なる傾向にあります。少子化の影響と高等教育機関の増加により、これらの大学の多くでは入学希望者数が減少しており、「全入時代」とも言われるほど、学生を確保することが困難になっています。その結果、これらの大学では入試倍率が下がり、入学しやすい状況が生まれています。特に地方の私立大学や特定の専門分野を除く一般の学部では、入試の難易度が低くなっており、広く学生を受け入れています。

Mathpressoが開発したAI数学学習アプリ「QANDA」は、このような環境で学習する学生にとって非常に有益なツールです。このアプリは、AI技術を活用して数学の問題を解析し、その解法を提供することができます。学生たちは、わからない問題をアプリに写真で撮影するだけで、数秒内にステップバイステップの解説を受けることが可能です。これにより、個々の疑問点をすぐに解決でき、効率的に学習を進めることができます。また、これにより、QANDAのデータベースに蓄積された膨大な量の学生の学習データに基づいて、質の高いカスタマイズ型学習、教育コンテンツの提供を受けることができます。日本国内では、2018年11月に日本語版QANDAのサービスが開始されました。わずか4カ月で教育分野で大きな影響を与え、現在では、日本国内での月間アクティブユーザー数は70万人、登録ユーザー数は460万人に達しています。

ー日本でAIベースのチュータリングサービスに対する需要は小学校、中学校、高校のうちどれが一番高いですか?

高校、中学、小学校の順で、高校の需要が高いです。小学校であれば、保護者に質問できますが、純粋に難易度が上がるため、高校の問題は保護者が答えられないものも増えてきます。そこで、QANDAが使われます。また、日本では時期によって利用率に変化があることが特徴です。日本は、期末試験の前になると集中して勉強をするという傾向が現れたりします。

ー日本進出の際に経験したことやエピソードがあれば教えてください。

QANDAが初めて海外に進出した地なので、進出前に、日本の学生が何をどのように勉強しているのか、深く理解するために日本のカリキュラムや教育内容を徹底的に調査し、日本語のQ&Aを含む検索データベースを構築しました。

また、Mathpressoは韓国から日本国内のマーケティング活動を行いましたが、マーケティングメッセージやアプリのローカライズは社内の翻訳者が行い、マーケティングと運用はすべてソウルオフィスで行いました。デジタル広告は、現地に行かなくてもキャンペーンができるため、非常に効果的でした。そして、ある程度ユーザー数が増えた後に、日本の大学や数学クラブなどに訪問して、学生さんと面接したり、日本の参考書などを集めて情報収集してきました。

韓国と日本は、教育制度や高等教育に対する社会の考え方が非常に似ています。両国とも、有名大学に入るために予備校や家庭教師による学習を選択することがごく一般的で、それが社会的流動性の強い推進力になっていると考えられています。さらに、数学という普遍性が日本の学生にも響いたのだと思います。

ー韓国では2025年からデジタル教科書を導入しようとしていますが、日本でもデジタル教科書に対する需要が高いですか?

富士キメラ総研の「教育DX/ICTソリューション市場総調査 2023」によると、2022年度のデジタル教科書の市場規模は前年同期比23.5%増の105億円となる見通しだということです。文部科学省が2024年度以降にデジタル教科書の導入を本格化する方針で、同市場は2030年度には500億円に達する見込みだそうです。

ー日本のエドテック(EdTech)市場で競合相手があるとしたら、どのような企業でしょうか。

日本のエドテック市場は活発で、多様な企業が競合しています。QANDAのようなAIを活用した学習支援アプリは、特に数学教育分野でいくつかの競合他社と競い合っています。主要な競合企業やサービスには以下のようなものがあります。

△スタディサプリ(Study Sapuri) - リクルートが提供するこのサービスは、幅広い教科に対応したオンライン学習プラットフォームです。ビデオレッスンと問題演習が組み合わされており、特に受験生に人気があります。

△Try IT(トライイット) - このサービスは、動画学習と問題演習を提供しており、学生が自らのペースで学べる環境を提供しています。特に数学や理科に強いとされています。

△Atama Plus(アタマプラス) - AIを活用した個別最適化学習が特徴のオンライン学習サービスです。特に数学に強みを持ち、学生の理解度に応じて問題の難易度を調整します。

これらのプラットフォームは、それぞれ異なる特色や機能を持っており、QANDAと同様に日本の学生たちに数学や他の教科での学習支援を提供しています。QANDAがこれらの競合と差別化を図るには、AI技術のさらなる進化や、ユーザーエクスペリエンスの向上、独自の教育コンテンツの提供が鍵となるでしょう。

ー「みんがく」とのパートナーシップはどのような意味があるのでしょうか?

Mathpresso社と株式会社みんがくとの戦略的パートナーシップの発表は、両社にとって大きな意味を持っています。以下、その具体的な意義と利点を説明します。

△ 技術的シナジーの創出
株式会社みんがくは、オンライン自習室サービスの提供をはじめ、様々な家庭学習支援サービスの開発・運営に取り組んでまいりました。その中で、家庭学習中に生じた疑問や問題に対し、即座に質問できる体制の構築を目指し、AIの活用も模索してまいりました。しかし、数学分野においては、生成AIの特性上、汎用モデルのカスタマイズには限界があり、精度に課題がありました。そのため、数学分野の強化を目指し、世界トップクラスの数学的性能を誇る生成AIモデル「MathGPT」を開発したMathpresso, Inc.との提携を推進することで、この課題を解決する取り組みを進めてまいります。
 
△市場への適応と拡大
Mathpressoは、主にB2C市場(消費者向け市場)に強みを持つ一方で、B2B(ビジネス向け市場)には進出してませんでした。みんがくとの提携は、教育機関や学習塾などのB2B市場への進出を促進する絶好の機会を提供します。これにより、Mathpressoは自社の技術を教育現場に直接活用させることができるようになります。

△日本市場でのポジショニング強化
Mathpressoは、日本での学習アプリ市場において既に一定の地位を築いていますが、みんがくとの提携によりその地位をさらに固めることが可能です。地元企業との連携は、地域市場の特性やニーズへの理解を深め、より効果的な市場戦略を展開する助けとなります。

このように、Mathpressoとみんがくのパートナーシップは、技術革新の促進、市場への適応、教育サービスの質の向上といった多方面で両社にとって有益なものとなります。これにより、より効果的な学習支援ツールの提供が可能となり、教育の将来に大きな影響を与えることが期待されます。

ー今後どのようなサービスになることを目指していますか?

すべての教育コンテンツを結びつけ、AIによって生徒一人ひとりの学習状況を把握し、それぞれの生徒に必要なものを的確に提供する「総合教育スーパープラットフォーム」を構築することです。また、QANDAが国籍に関係なく、困っているすべての学生の役に立てるサービスであるだけに、これからもプラットフォームを進歩させ、質の高いパーソナライズ化された教育をもたらし続けます。 
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