[チェ・ユンソクのコラム] 混乱の世界経済、IT企業が注目すべき9つのトレンド

[写真・執筆=チェ・ユンソクGartner(ガートナー)コリアシニアパートナー]


ロシアのウクライナ侵攻や高いインフレ、サプライチェーン問題のような混乱状況が世界経済を圧迫し、技術産業に大きな影響を与えている。しかし、世界的な混乱の中でもデジタル化は続く。IT企業はデジタル化の流れを主導する主体として、経済や社会の様々な面で地道な技術進歩をリードしている。

IT企業の経営陣は、当面の経済ショックだけでなく、ビジネス形態を揺るがす根本的な変化に一歩先んじていなければならない。すなわち、短期計画と長期戦略のバランスを維持しなければならない。ガートナーによると、未来を準備するIT企業が注目すべき9つのトレンドは、現時代の両面的な状況を反映しており、△ビジネスの技術依存度増加 △新技術による機会創出 △マクロ的要因による影響の3つのテーマに分類できる。

ビジネスおよび運営モデルの全般で技術依存度が高くなるにつれ現れる4つのトレンドのうち、第一は技術の普遍化だ。非IT労働者たちも自ら技術を探し、選択して具現し、最適化できる力量が強化された。ガートナーは2025年までに成功的な新技術ソリューションの55%が企業内の非伝統的購買者、例えばIT部署所属ではない人々に提供されると見通した。IT技術供給企業の市場拡大と新しい顧客関係構築の機会が開かれると期待できる。

第二のトレンドは、連合的エンタープライズ技術の購入だ。連合的購買プロセスでは、複数の部署の代表者によって技術購買可否が決定される。技術の普遍化により、このような連合的購買トレンドは加速化しており、購買資金もIT部門だけでなく他のいくつかの部門から支援を受けている。このような変化は企業がビジネス顧客のための高付加価値サービスに集中できるようにすることで機会の場を開く一方、発売モデル変更や価値シナリオおよび結果が要求されるなど複雑性も増加させる。

第三のトレンドは製品主導成長(Product-led Growth、PLG)だ。PLGは無償提供または相互作用型および自動化デモを通じてユーザーが直接価値を経験させた後、彼らが直接購買したり周辺人の購買を導くようにする市場進出戦略だ。企業と消費者間の取引分野で多くの好評を得た戦略だが、今は企業間取引分野でも頭角を現すと期待される。ガートナーは2025年までに95%のサービス型ソフトウェア(SaaS)企業が新しい顧客確保のためにセルフサービスPLG形態を導入すると予測している。

第四のトレンドは共同革新エコシステムだ。これは企業の新しい慣行であり、内外部間の協業と共同創作を通じて新しい価値を創出することだ。多くの企業が差別化や成功のために技術を積極的に活用しているだけに、IT技術企業との共同革新も活発に進めている。技術企業は共同の力量、技術専門性、投資、インセンティブなどを通じて顧客の緊急要求事項を満たすことができるものと期待される。

その次に続く3つのトレンドは、新技術を通じた機会創出に属する。第五のトレンドはデジタルマーケットプレイスの浮上だ。技術ソリューション調達、実装などにデジタルマーケットプレイスが広く活用され始め、IT企業もやはり新しい機会創出および競争優位確保のためにデジタルマーケットプレイスへの投資を増やしている。デジタルマーケットプレイスの導入は、ターゲットセグメント到達範囲の拡大、パートナー生態系の拡張、販売サイクルの加速などの効果をもたらす。

第六のトレンドは知能型アプリケーションだ。最近浮上している生成型AIは、知能型アプリケーションの商業的活用のための新技術として大きな注目を集めている。生成型AIは文字、イメージ、映像、音声を含む固有のメディアコンテンツだけでなく、再現データと物理的オブジェクトのモデルなどを作り出すことができる。今や企業は職員にさらに強力で創意的な力量を付与できる生成型AIが知能型アプリケーションの新しい革新を起こすものと期待しても良い。

第七のトレンドはマーケティング及び顧客経験(CX)のためのメタバースの活用である。仮想空間でイベントやセールスミーティングを主催したり、製品ショーケースイベントを行うなど、ユニークな経験と印象的な相互作用、そして新しい関係づくりにメタバスを活用することで、B2B企業は顧客層を拡大しCXを改善することができる。

最後の2つのトレンドは経済、社会、環境的要因を網羅したマクロ的要因の力として現れる。第八のトレンドは持続可能なビジネスである。もはや持続可能性は企業の選択ではなく必須になった。特に今のように技術主導的な世界では持続可能なビジネスを可能にするのはまさに持続可能な技術だ。ガートナーは、顧客の持続可能性目標に自社ソリューションがどれだけ寄与できるかを定量化して見せることができるIT技術企業は、成功率を2025年までに20%上昇させると予想される。

最後に第九のトレンドは技術ナショナリズムだ。グローバル化から脱し、商業主義へと向かう傾向によって、グローバル市場はますますローカライズされている。これに伴い、IT企業は特定国家水準の現地化要求事項を充足させることと収益性を極大化することの間のバランスを維持するようさらに集中しなければならない。
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