[ノ・チャンヒのコラム] BTSとトロットブーム、グローバルとローカルの間の緊張と共存

[写真・執筆=メディア未来研究所のノ・チャンヒ室長]

2020年は何と言ってもコロナという災害として記憶されるだろうが、韓国のコンテンツ産業にとっても記憶すべき年になるに違いない。ポン・ジュノ監督の「パラサイト 半地下の家族」がアカデミー賞で4冠王となり、BTS(防弾少年団)の「ダイナマイト(Dynamite)」がビルボードシングルチャート「ホット100」で1位を獲得した年であるからだ。2020年を記憶の中で消してしまいたくても、この2つの事実を思い出しながら2020年を特別な一年として記憶する人も多いだろう。

文化的変数が大きく働くコンテンツ産業で、このような成果を上げたのは驚くべきことだ。スクリーンクォーター制を守るため、映画関係者らが闘争を繰り広げた1980年代と1990年代を思えば、隔世の感がある。もちろん、韓国でもグローバルコンテンツが相当な影響力を持っており、最近、グローバル事業者が韓国の国内で影響力を拡大していくことに対する懸念も高まっている。明らかなことは「グローバル」というものが目指すものと「ローカル」が目指すものとの違いが曖昧になり、微妙な文化的緊張が生じているということだ。

大韓民国ほど1位に執着する国もないだろうが、全国民がBTSに熱狂しているわけではない。BTSが大韓民国の大衆文化のグローバル化を象徴するなら、内需市場ではトロット(韓国演歌)ブームが続いている。トロットオーディション番組が相次いで放送され、トロットの原産地はどこなのか、果たして大韓民国的な文化であるのかを巡り、議論を繰り広げることも多い。明らかなことは、トロットの起源がどこにあるかは別として、トロットが数十年間も韓国的に受け入れられてきており、それを愛する韓国人が多いということだ。

BTSは韓国語で歌を作り、世界的なグループとして成長した。しかし、初めて「ホット100」で1位を獲得した「ダイナマイト」は英語の歌詞で作られた。BTSが1位になったことに対して意味を与える人が多いが、BTSが英語で歌ったことに対して否定的な意見を述べる人もいる。コンテンツも産業であることを認めれば、より広い市場で競争できる競争力を身につけるために最善を尽くすことは自然である。ただ、コンテンツは文化産業であり、文化産業で国籍は特別な意味を持つ。コンテンツ制作におけるグローバル志向の試みは、これからも増えるだろう。また、これに対して否定的な意見を述べる国内の音楽ファンも増加すると思う。グローバルとローカルの間で右往左往して商業的に失敗したり、美的完成度が落ちる場合もありうる。それだけグローバルとローカルは目指すところが異なり、かなりのギャップが存在する。

ローカルとグローバルの間のこのような緊張は新しいものではない。イ・ギュタク教授は<葛藤するK、ポップ>で「K」と「POP(ポップ)」という二つの用語の合成で作られた「K-POP」という単語が、本質的にジレンマを持っていると指摘する。Kはローカルを志向する反面、ポップはグローバルを志向するからだ。<葛藤するK、ポップ>では、韓国の国内ミュージシャンがグローバル戦略を展開する場合、国内ファンが反発するようになるということをローカルとグローバルが持つ緊張の事例として提示している。国内でもローカル志向のコンテンツを好む人と、グローバル志向のコンテンツを好む文化的趣向集団が分かれる様相を呈している。

トロット熱風に対して批判的な見方を提起する主張の中で最も多いのは、似たような形式のトロット番組があまりにも多く生まれているということだ。コンテンツ産業はリスクが大きい産業である。それだけに多くの大衆が好む形式でリスクを減らしながら効率的な投資をしていくことに対し、批判ばかりすることはできない。ただ、特定のタイプの番組が集中的に登場すると、それだけ飽きたり疲れを感じることもある。あるいは、似たようなコンテンツやジャンルを提供しても有意義な「違いと繰り返し」であってこそ、成功を収めることができるだろう。

グローバルとローカルの話をしながら特定タイプのコンテンツとして制作が偏る現象について言及した理由は、それほど「多様性」が重要になったからだ。新しいプラットフォームが次々と登場している。9月にリニューアルしたカカオテレビは、新しいショートフォーム形式のオリジナルコンテンツを提供し、順調なスタートを切った。今後も新しいプラットフォームとそのプラットフォームを満たす多様なコンテンツが溢れるだろう。問題は依然として見たいコンテンツがあまりないという不満の声もあるということだ。利用者にとっては物理的に様々な選択肢が存在することも重要であるが、他では体験できない経験を提供してくれるコンテンツとサービスが必要だ。

依然として世代間の趣向の差はコンテンツ消費を左右する決定的な変数として作用しているが、OTTサービスを利用する中高年層が増える一方、トロットに関心を持つ10代や20代も増えている。利用者個人の観点から見れば、文化的享受の幅が広がりかねない状況だ。グローバル化されたメディア消費環境において、多様性が持つ価値はさらに高まっている。

グローバルを目指す韓国産コンテンツとプラットフォームは、今後もさらに増えるだろう。この過程で、グローバルとローカルの間の緊張は避けられない。グローバルを目指しても、国内のユーザーを度外視することはできないからだ。この過程で、グローバルかローカルかの論争は避けられなくても、生産的かつ文化的な変容が起きたりもするだろう。2020年代に大韓民国で暮らす私たちは、韓国的なものとグローバルなもの、そして、その境界にあるものが共存する環境に置かれている。ローカルとグローバルの緊張や共存に注目しなければならない理由だ。
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