新型コロナウイルス感染病(コロナ19)が世界の食料サプライチェーンに侵入した。米国の大手食肉工場では、従業員のコロナ19集団感染で操業中断が相次ぎ、食肉大乱への憂慮が頭をもたげた。世界各地では、食糧安全保障を理由に、食糧の輸出にブレーキをかけはじめ、食糧確保戦争まで勃発する兆しだ。
コロナ19が農場の人手不足、食品工場シャットダウン、物流のボトルネック、食糧保護主義などを引き起こし、食料サプライチェーンを崩しているという指摘だ。
◆米国食肉工場シャットダウンが相次い…食肉大乱に広がるか
米国では、屈指の食肉サプライヤー工場の操業停止が続き、食肉供給支障への懸念が深刻化している。
ブルームバーグによると、世界最大の豚肉生産会社スミスフィールド・フーズ社は12日(現地時間)に声明を出し、従業員の集団コロナ19感染によってサウスダコタ州所在のスー フォールズの工場を暫定閉鎖すると明らかにした。ここは、米国の豚肉供給量の4〜5%の責任を負う米国最大の豚肉工場の一つだ。
先週、スミスフィールドは3日間だけ操業を停止して消毒と防疫を実施する予定だったが、全体3700人の従業人のうち、感染者が250人に迫ると、最終的に閉鎖に至った。
これに先立ち、米国タイソンフード、JBS USA法人、カーギル、サンダースパームなど他の食肉供給会社も、従業員の感染を理由に工場操業停止や生産量の削減に乗り出した。
相次ぐ工場閉鎖は、コロナ19事態による食料品買いだめのなか、需要が高まった状況と重なり、食肉大乱への懸念が広がる兆しを見せている。
スミスフィールドは、「他の食肉工場の操業中止に相次ぐ同施設の閉鎖は、米国の食肉供給システムをコーナーに追い込んでいる」とし、「工場閉鎖が続けば、食料品店の陳列棚に並べることができず、畜産農家に深刻な衝撃を与える危険がある」と警告した。
◆食料生産・物流網に直撃…食糧確保戦争の戦雲
コロナ19は既に全世界の食料サプライチェーンのあちこちに衝撃を与えている。コロナ19の拡散を防ぐため、各国が人的・物的移動を制限しながら食料生産と移動が大きな支障をきたしているからだ。世界的な食糧大乱が起こる恐れがあるという懸念も少なくない。
欧州主要国と北米では農場で働く海外労働者の流入が遮断され、農場が立ち止まる状況となった。インドは全国的な移動制限に食料生産から配送、販売まで、サプライチェーン全体が直撃弾を受けた。
全世界の港湾運営時間が短縮され、国境を越えた食糧輸送も円滑に行われていない。全世界の港に物量を積載したコンテナが積まれており、食糧を入れるコンテナを確保することも容易ではない状況だとブルームバーグは伝えた。
このような状況が続き、食糧輸出国は食料安全保障を理由に食糧を確保し始めた。ベトナムとカンボジアは米を、カザフスタンは小麦を、カンボジアは水産物の輸出を禁止した。世界最大の小麦輸出国であるロシアは、穀物輸出量を6月まで制限することにした。
緊急事態になったのは、食料を自給できない国だ。小麦価格の高騰で2010年に政権交代を経験したエジプトは、戦略食糧備蓄を拡大することにした。サウジアラビアも7月まで穀物備蓄量を2倍に増やす計画だ。
ウクライナのキエフ所在の農業コンサルティング会社、UkrAgroConsult のセルゲイ・ペオフィロフ理事はブルームバーグに、「食糧保護主義という新しい流行を見ている」とし、「コロナ19発の食糧難に対する深刻な不安を示している」と説明した。
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