新型コロナウイルス(武漢肺炎・以下 コロナ19)拡散の影響で、第32回東京オリンピックの取り消し可能性が提起され、日本政府が難色を示している。
日本の安倍晋三内閣は、7月24日〜8月9日まで東京オリンピックを支障なく開催するために計画通り準備するという方針だが、コロナ19事態が早期に収まらない場合、オリンピック開催が難しいのではないかという声に重きがおかれている。
このような状況で、英国のロンドン市長候補たちが今年の夏季オリンピックを東京ではなく、ロンドンで開催さという意志をほのめかし、オリンピック開催地が東京からロンドンに変わるのではないかという見通しまで出ている。
①東京オリンピック、取り消しの可能性はあるか
国際オリンピック委員会(IOC)は、取り急ぎ来月初め、スイスのローザンヌで理事会を開き、今回の事態について議論することにした。しかし、コロナ19感染がさらに拡散するとしても、東京オリンピックが取り消される可能性は高くないとみられる。
124年の近代オリンピックの歴史で、戦争によってオリンピックが中止された場合を除いては、他の理由で取り消された前例はないからだ。疾病事態でオリンピック開催がダメになったことはないという意味だ。 2010年のバンクーバー冬季オリンピックと2016年のリオ五輪が開かれる直前にも、それぞれ新型インフルエンザとジカウイルスが流行したが、無事に開催された。
このため、多数の専門家たちも東京オリンピックの取り消し可能性は低いとみているという。日本政府や東京オリンピック組織委員会が先に取り消しまたは延期を主張する確率も0%に近い。
②オリンピック取り消しの決定は誰がするのか
コロナ19事態によるオリンピック取り消しの権限はIOCにある。IOC憲章第36条によると、戦争、暴動事態のような状況またはその他、参加者の安全が深刻に脅かされたり、危険な状態とIOCが認められる根拠があるとき、IOCの裁量で取り消し判定をすることができる。
このとき、「認められる根拠」というのが感染症の場合、世界保健機関(WHO)が判断する。WHOの判断は、勧告水準にとどまり、強制性はないが、これまで開催国とIOCはWHOの判断を重視し、積極的に受け入れてきた。
これと関連し、WHOは今月19日、コロナ19により東京オリンピックの日程変更を検討しなければならない状況ではないという立場を明らかにした。
日本政府も、支障なくオリンピックを進めるという立場だ。日本の菅義偉官房長官は21日の記者会見で「オリンピック開催問題を再検討するのか」という質問に、"日本政府はIOC、オリンピック組織委員会、東京都と緊密に協力し、安全な大会になるように開催準備を着実に進めていく"と答えた。
③2020ロンドンオリンピックの可能性は?
オリンピック開催地の変更の可能性がなくはない。戦争を理由に夏季オリンピックと冬季オリンピックがそれぞれ3回、2回、合わせて計5回も取り消されたり開催地が変わったことがある。
特に日本はすでに二度のオリンピック開催中止を経験した。日本は1936年にIOCベルリン総会でフィンランドのヘルシンキを抜いて夏季五輪の開催地に選定され、1940年に東京と札幌でそれぞれ夏季、冬季オリンピックを開催することにした。しかし、1937年に日中戦争でオリンピックは中止された。
このような状況で、今年5月に市長選挙を控えたロンドンでは、有力候補2人が必要であれば東京ではなく、ロンドンでオリンピックを開催するようにするという立場を明らかにし、日本政府が難色を示している。
日本のメディアは候補たちの発言を主要ニュースで詳細に報道し、敏感に反応する一方、日本のネチズン(ネットユーザー)たちもオリンピックを英国に奪われるかもしれないという不安感で激昂した反応を見せた。日本政府は公式反応を自制したが、東京オリンピックの準備を着実に進めていると重ねて強調した。
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