[キム·ジェヨンのコラム] これからは政府が規制革新の意志を示す時期だ

[写真・執筆=キム・ジェヨン高麗大融合経営学部教授]


政府が再び新事業に対する規制革新の意志を表明すると、これによる影響も少なくない。イ·ナクヨン首相とキム·ドンヨン副首相兼企画財政部長官が相次いで規制革新に関する所信を明らかにした。これによって、ずっと係留中だった第4次産業革命関連の新事業に対する規制解決を求める声もまた力を得ている。もちろん、これによる反発も激しい。

タクシー業界は18日の早朝からストに突入した。ストを決めた理由は、カカオモビリティが新たに発売した「カープール(Carpool・乗車共有や相乗り)サービス」が引き金となった。彼らは声明書を通じて、大企業のカープールサービスが街中の商圏を侵害し、タクシー業界の生存権を崩壊させる不法自家用車の営業行為に該当し、誰でも「カープールドライバー」になり得るため、犯罪に弱いというのがタクシー業界の論理だ。このようなカープールサービスと従来のタクシー業界の対立は、すでにある程度予見されていた。

実際、国内でカープールは禁止されている。旅客運輸事業法第81条を通じて「自家用車を有償で運送用として提供したり、賃貸してはならない」と規定している。しかし、1990年代に入ってからは自動車の急激な増加で交通渋滞が起こると、当時ソウル市ではカープールを活性化するため、3人以上乗車した車に対して一部有料道路の通行料を免除した。結局、1994年、「出勤・退勤の時間帯」という条項を追加することで、カープールを許した。この時期には、同じ会社や同僚を中心に施行されていたため、タクシー業界はこれといった反応を示さなかった。

しかし、昨年、カープール関連のスタートアップであるプラスが220億ウォンの投資を誘致して事業拡大を図ろうとしたところ、タクシー業界は激しく反発し、ソウル市は捜査を要請する羽目になった。また、今年2月にカカオモビリティがスタートアップの「LUXI」を買収してから、タクシー業界の反応はさらに敏感になった。これに対して政府は昨年、第4次産業革命委員会を立ち上げ、カープールサービスに対する規制改革問題をハッカソン(hackathon)の最初の問題と想定しようとしていた。ハッカソンはIT業界ででた「ハッキング」と「マラソン」の合成語で、利害関係者らが互いの立場を理解するため、マラソンのように休まずに膝を突き合わせて解決する行事を意味する。しかし、タクシー業界は政府と企業の持続的な参加を促したにも関わらず、これを拒否して9月にあった第4次産業革命委員会まで出席しなかった。

むしろタクシー業界との対話を通じて解決しようとしたカカオモビリティーは、今回のストが困惑せざるをえない状況だ。企業の立場から見れば、1年以上タクシー業界と政府関係者たちと話し合うために努力したが、結局、協議のところかまともな対話もできず終わった。そして、サービスはいつ始められるか、その時期さえ決められない状況となった。

政府としては、第4次産業革命時代を迎えて共有経済導入への要求が高まっている状況だが、一方では40万のタクシー産業従事者と市民の主な交通手段であるタクシー事業の重要性を見過ごせないという立場を貫いている。いまだに政府は対立する革新よりは、生存権を重視する選択をしている。政府が主要支持勢力の顔色をうかがっている状況なので、問題は解決できず葛藤の溝だけがさらに深まるのではないか心配される。

カープールサービスはすでに世界的な流れであり、ウーバー(Uber)を始めとするディディチューシン(滴滴出行)や グラブ(GRAB)、ゴジェック(GOJEK)など、いろんな国でカープールサービスはすでに根を下し、様々なサービスへと拡大して進んでいる。すでによく知られているウーバーを除けば、ディディチューシンは中国、グラブとゴジェックはそれぞれマレーシアとインドネシアで行われているカープールサービスだ。海外でもはやり、サービス施行後に従来のタクシー業界とのトラブルが発生したが、これを解決したのは政府だった。政府が産業形態を新たに定義し、不備な法を改正する役割を積極的に果たすことで、革新的な産業とサービスが成長することができた。

しかし、私たちはいまだに規制の連続で、その場しのぎで解決しようとする傾向がある。まだカープールサービスに対する許可も確定していないが、考慮中の検討案が運行回数制限とカープールドライバーの職業有無など、結果的に新しい規制と関連しているというマスコミ報道は空しさを感じさせた。規制を緩和し、廃止を求めるのに、かえって規制を増やそうとするとは理解できないことだ。

そもそも問題の発端は関連法令自体が曖昧であるということから始まった。「通勤時」ということの定義が不明確だったからだ。今のような柔軟勤務制が拡大される時期には、より明確な定義が必要である。また、有償という部分においても同じだ。タクシー業界では、「新事業」という名のもとに、カープールサービスがこのような法の曖昧な側面に入り込もうとするなら、当然、生存権に対する懸念を表明するしかない。

しかし、タクシー業界は市民の声に耳を傾ける必要がある。市民たちはこれまでのタクシー乗車拒否や乱暴運転問題などを提起し、生存権を要求するタクシー業界をかばっていない。

社会構成員の同意を得られなかった事業と政策は失敗するしかない。今回のストを通じて、タクシー業界の自浄に対する声は、かつてなく高まっているのが現状だ。だからと言ってカカオも一方的な進行よりは社会的葛藤を最小化できる接点を探さなければならない。最後にこれを媒介する役割は政府にある。政府が顔色をうかがっていては問題が解決しない。本当に政府が第4次産業革命と関連した新事業に対する規制革新の意志があるなら、未来のための所信のある判断を期待する。これからは政府が規制革新の意志を示す時期だ。
 
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