デジタル転換が加速化し、多くの企業が先を争ってデジタル技術に投資している。2022ガートナー最高経営者(CEO)および高位ビジネス役員アンケート調査によると、5人のうち4人のCEOが物価上昇や人材不足、供給制限などを含む現在の経済的圧迫状況を克服するためにデジタル技術投資を増やしているという。
多くの企業がスマート製品・サービスなどのデジタル資産、モバイルアプリや電子商取引などのデジタルチャンネル、非対面相互作用などのデジタルビジネス力量を付加すれば、過去に人と機械を通じて可能だった以上に成長を加速できると期待した。ガートナーはこのようなデジタル基盤増強を「デジタル化がもたらす恩恵(Digital Dividends)」と称する。
最近浮き彫りになった経済的な圧迫、不足で高価な人材、サプライチェーン問題などにより、企業は今やこのようなデジタル効用を実現しなければならないという圧迫を受けている。2018年以後、ITおよびビジネスデジタル化に本格的に投資を増やしてきた企業が、今は売上と純利益の両方の側面で可視的な成果を検討している。今やCEOたちはデジタル投資がこれまで実現された間接的効用を越えて企業財務にもたらす実質的改善効果を確認しなければならない時だ。
しかし、大部分の最高情報責任者(CIO)にITおよびデジタル投資の売上および純利益に対する波及効果を明確に提示することは難しい課題だ。多くのCIOが「ITのビジネス的価値をどのように証明できるか」という質問をしてきている。彼らは技術投資を実質的なビジネス成果につなげるために奮闘している。企業のCIOが次の4つの行動方案を活用して既存のアプローチを変化させれば、デジタル投資効用の実現を加速化できるだろう。
第一に、CIOはCEOと最高財務責任者(CFO)が望む財務的波及効果のタイプを把握し、これを支援するデジタルイニシアチブを優先しなければならない。企業が期待することを正確に理解し、組織の売上と純利益に対する潜在的波及効果を勘案して進行中のイニシアチブの優先順位を決めなければならない。この場合、相当数の組織が優先順位イニシアチブに十分な資源が投入されるようにするために波及効果の少ないイニシアチブを停止しなければならないだろう。
第二に、CIOは視覚的成果指標の階層構造を構築し、関連イニシアチブ間の相互連携性を確認しなければならない。デジタルイニシアチブは、集団的に企業の財務パフォーマンスに影響を与えるだろう。CIOは、それぞれ個別に進めてきた努力を統合する視覚的指標階層構造を作らなければならない。指標階層構造はイニシアチブ間の相互連携性、すなわち間接的なビジネス運営イニシアチブがビジネス成果指標を対象とする直接的な市場対面イニシアチブをどのように支援するかを示している。
第三に、CIOは中核IT人材をビジネスリーダーの部署と協業して融合チームを活性化し、優先順位デジタルイニシアチブを進めなければならない。波及効果の大きいイニシアチブが把握された場合、CIOは価値創出の時間を加速するために、当該イニシアチブに焦点を当てているビジネスリーダーがコアデジタル人材と共に働けるようにしなければならない。すなわち、IT組織が単独で働かせるよりは、ビジネス部署に核心人材を配置しなければならないということだ。このようなアプローチは、希望するビジネス成果の創出に焦点を当てた分野別の専門家、ビジネス技術専門家、そしてIT専門家からなる融合チームの構成と活動を促進するだろう。
第四に、CIOは既存の慣習から外れた経路を通じて人材を探索・迎え入れ、組織財務成果に対する間接的影響を及ぼす低い優先順位の内部プロジェクトを進めなければならない。すべてのCIOは人材の迎え入れ維持するために努めるが、物価や金利の上昇はCIOの予算にも悪影響を及ぼしている。既存の慣習から脱し、デジタル人材を探す方法が多くあるが、これを活用するCIOはほとんどいない。例えば、学生たちに接触したり、産業内の競争者との協業が必要だが、差別化されないビジネス力量を確保するCIOは少数に過ぎない。
不確実な国内外の経済状況の中で、企業はデジタルイニシアチブを通じて早期に売上と純利益に対する実質的な効用を創出しなければならない。CIOらは果敢に従来の慣習から外れた措置を取り、デジタル投資効用の実現を加速させるのに貢献しなければならないだろう。このような当面の課題を解決するための措置を取ることは、今後発生する「ビジネス・デプレッションディスラプション(崩壊)」への備えにもより効果的である。
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