大衆文化芸術家に対する兵役問題が熱い話題になって久しい。国防部は2019年「兵役代替服務制度改善方案」を審議・確定し、兵役特例制度に対する再検討をした。しかし代替服務縮小基調と兵役義務履行の公正・公平性向上などを理由に「大衆歌手」を補充役編入対象である芸術要員に含めなかった。K-POP歌手の兵役問題、このままでいいだろうか。
兵役特例制度は1973年「兵役義務の特例規制に関する法律」で定めた「特例補充役」に由来する。芸術や体育など特技を持った人が代替服務の機会を受けて「文化暢達と国威宣揚」をするようにするのが制定趣旨だった。以後、同法が1993年に廃止され「兵役特例」という概念は法律用語から除外されたが慣行的に「兵役代替服務制度」を意味する概念として使われている。
憲法的観点からみて、K-POP歌手や大衆文化・芸術分野にいる人々を「芸術・体育要員」から除外することは憲法上の平等原則と文化国家の原理に反する可能性が高い。恩恵的な法律の場合、差別が発生する時「恣意禁止の原則」が適用される。恣意禁止の原則に反して平等権の侵害が認められるには、同一のものを異なる取扱いをし、又は異なるものを同一に取り扱う「差別の取扱い」でなければならない。また、差別の取り扱いが恣意的でなければならない。
大衆音楽の分野は特に比較集団である純粋芸術分野と同一集団と見ることができる。BTS(防弾少年団)は1週間に「ビルボードHot 100」と「ビルボード200」のトップを同時に成し遂げた最初の歌手であり、大韓民国という名前を世界に知らせるのに大きく寄与している。K-POP歌手の国家ブランドへの波及力は、純粋芸術分野の受賞歴よりはるかに大きい。
大衆歌謡分野も純粋芸術のように「20代の最全盛期の技量」を発揮する必要がある。芸術・体育分野の人物も20代で最全盛期を迎えるように、大衆歌謡も10代から20代の練習生期間を経てデビューし、海外公演を通じて「国家ブランド」活性化に寄与する時が現役服務時期と重なる点も同じだ。
もはや大衆音楽に対する偏見も存在しない。もちろん、過去は大衆芸術に対する明白な差別があった。1978年にオープンした世宗文化会館の場合、大衆芸術に背を向け、国際歌謡・シャンソン歌手の公演だけを許可したが、1989年に初めてパティ・キムや李美子(イ・ミジャ)など大衆歌手のステージも許された。大衆歌謡分野に対する社会的認識が変わったのだ。
このように同一集団に対する代替服務制度から大衆歌謡分野を除外するのは「恣意的な差別」に該当する。大衆芸術家に対する代替服務制度導入に反対する立場では「大衆歌謡は国際芸術競演大会受賞のような公信力のある客観的基準がない」という点を挙げる。しかし1984年に始まったビルボードチャートの場合、現在世界各国の大衆音楽の流れの主要指標になり、大衆性と公信力のある基準といえる。
大衆歌謡分野に現役代替服務制度を認めても、映画界との公平性問題は「差別の合理的理由」に該当しない。恩恵的法律の適用に対して明確な差別が存在するにもかかわらず、他の非恵的集団の存在を理由に差別取り扱いの合理性が認められるわけではないためだ。映画界で問題が出れば、その時に議論しても遅くないだろう。
このような理由を総合すると、大衆歌手分野を代替服務要員から排除するのは憲法上平等の原則に反すると判断する可能性が非常に高い。
K-POP歌手を代替服務要員に含めるのが憲法上の文化国家原理に基づく。憲法裁判所は「韓国は建国憲法以来、文化国家の原理を憲法の基本原理として採択している」と判示している。特に「エリート文化」だけでなく庶民文化、大衆文化も対象とする。いわゆる「良心的兵役拒否違憲事件」でも代替服務制度の可能性を語っている。
一部では、人口急減による兵役資源不足で代替服務の拡大が不可能だという。国防部も今回の制度改善方案で芸術・体育分野代替服務要員は編入人員が年間45人内外に過ぎず編入人員削減を通じた兵役資源確保効果が大きくないとみた。代替服務要員において「大衆歌手編入基準」を明確かつ厳格に規定すれば代替服務縮小基調に反するとはいえない。
大衆歌謡分野にも「国威宣揚」等を理由にした兵役代替服務機会を提供しなければならない。国会国防委員会には兵役法改正案5つが上程されている。兵役特例を大衆文化芸術に拡大する改正案3つと大衆文化芸術家の入隊延期期限を満33歳に3年遅らせる法案、文化勲章・文化包装などを受けた大衆文化芸術家の代替服務を許容する法案など5つの法案が発議された。国会は今こそ決断する時だ。
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