[ソ・ビョンウンのコラム] 「インフレと第4次産業」

[写真・執筆=ストライカーキャピタルのソ・ビョンウン副会長]


最近、世界経済の最大の話題はインフレだ。インフレは通常、通貨量の増加や総需要の増加または原材料価格の上昇によって発生する。

第1次世界大戦後、債務国のドイツは貨幣発行を通じた経済回復と敗戦国として債務償還を試みた。これによってハイパーインフレーションがもたらされ、ついには戦争を起こす一つの契機になった。

1970年代、米国のインフレはニクソンの突如金とドルの交換の停止を宣言によるドル安で輸入物価の上昇を招いたうえ、第1次中東オイルショックによってインフレが発生した。この他にも南米の繰り返されるインフレは財政赤字を充当するために発行される国債を貨幣発行を通じた中央銀行の買収反復が原因となった。

今日のインフレはどうか。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による需要不足に対処するための大規模な流動性増加が最初の原因だ。2020年、米国連邦準備制度はCOVID-19が拡散するや政策金利をゼロ水準の0~0.25%に下げ、広義通貨(M2)を大幅に増やし「ヘリコプターマネー」をばら撒いた。

この中でロシア・ウクライナ戦争による原材料と穀物価格上昇などが複合的に作用し憂慮を大きくしている。通貨量の増加と原材料価格の上昇が伴ったのだ。

景気刺激の目的や選挙、戦争などで通貨が過剰供給されて現れるインフレは、再び流動性を縮小する政策を迎えることになる。今月初め、米FRBはインフレを解決するため、政策金利を引き上げ、通貨量を縮小すると発表した。

金融レバレッジ(Leverage)の歴史が「BoomとBang」を繰り返すように中央銀行の負債である通貨蒸発も同じ過程を体験するわけだ。金融引き締めは、金利引き上げと共に景気低迷の一因にもなる。

注目すべきことは、従来の市場だけでなく、新たに形成されている市場まで萎縮させ、新産業の低迷をもたらすことだ。インフレ対応政策が経済の一部ではなく、全体に影響を及ぼし、成長しなければならない産業までも低迷または遅延を招くことになる。

今日、第4次産業革命がこれに該当する。第4次産業革命とは、ビッグデータ(Bigdata)、人工知能(AI)、モノのインターネット(IoT)、ロボット、仮想現実などの革新的技術を活用する情報、医療、教育など知識集約的な産業をいう。第4次産業革命はまだ胎動期にあり、変動性に脆弱だ。したがって、昨今のインフレ抑制政策で第4次産業革命の発現と成長が遅延または退歩することができる。

第4次産業革命は次のような特性を持っているため、インフレを減衰させることができるにもかかわらずだ。第一に、新しい市場を作りながら成長する。第二に、生産性と効率性の革新を越えて発電の爆発性と破壊性がある。第三に、他産業と融合したりシナジーを創出して該当産業の効率性と生産性を向上させる。

技術革新で生産性が向上すれば、商品の供給を増やすことができ、商品価格のバブルを抑制させることができる。スマートフォンが単純な携帯電話を越え、携帯用コンピュータ、カメラ、ラジオ、テレビ、時計など他の機能までも効率的に使用できるようになった。このようにスマートフォン機能は日増しに高度化しているが、技術が向上するだけに価格は上がらない。すなわち、技術の発展がインフレを緩和できるのだ。

また、全地球的に温暖化など気候変動危機に直面している状況で、環境にやさしい産業への転換も求められている。第4次産業革命の知識集約的な技術発展は、エコへの転換を導く核心的な手段でもある。

したがって、インフレ抑制政策が深刻化するほど産業に対するミクロ的な政策を通じて、第4次産業革命に対する支援と活性化が必要だ。また、競争力を確保する時期を逃さず、成長潜在力を強化させるためにもそうだ。

金利引き上げ、インフレなどで今年4月、IMFは韓国経済成長率(2.5%)が物価上昇率(4.0%)を下回るものと予想した。マイナス成長をになるわけだ。資源のない韓国としては短期的には輸出、長期的には技術確保を通じて成長潜在力を確保しなければならない。

M&A活性化、税制支援、金融機関の第4次産業革命に対するポートフォリオ変化など多様な方案が講じられなければならない。長い間、資金と人材が集中した不動産産業から第4次産業革命の方に注目の対象を移してみてはどうだろうか。
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