[K-POPは私の人生をどう変えたのか] 複雑で微妙な熱狂・・・日本が向き合ったK-POPの時代

  • 記事:ユン・ウンスク国際経済チーム長 (kaxin@ajunews.com)

[写真=聯合ニュース(BTS)]


「今は映画も音楽も韓国に先に行かれているところがある。東方神起なんかが出てきた頃は日本の方がちょっと先にいっていたのに、あっという間に追い抜かれた。」

4月に文化庁長官に就任した都倉俊一氏が取材陣との初対面でこのように語った。この日、都倉氏は今後、国も積極的に日本の大衆文化を『世界的』にすることを目標にすると明言した。文化発展を総括する政府官僚が新しい任務を引き受け、特定国家が自国の文化を追い越していると取り上げたのは異例のことだ。これは現在、日本が韓国文化の拡散を眺める彼らの見解を端的に示している。

世界的に影響力を拡大している韓国文化コンテンツは、日本でも最近存在感を高めている。しかし同時にK-POPをはじめとする韓国文化コンテンツは、アジア市場を主導した日本文化を追い越した危険なライバルであり、政治・歴史的に絡んでいる韓国が生産した不自由な文化消費財でもある。そのため、日本国内の K-POPの 受け入れは他の国とは非常に異なる『複雑で微妙な熱狂』を見せている。

 

[資料=亜洲経済]


「好きだけど嫌い」…嫌韓入り混じった『複雑で微妙な熱狂』

2020年、K-POP 関連ツイートが多いユーザー(Unique Voices)を基準に、世界で一番フォロワー数が多い国は日本だ。K-POPが日本内に持つ強力な存在感を反映する。市場でもこのような現象は現れている。2020年、オリコン年間アルバムランキングで100位圏に入った K-POP アルバムは26枚に達する。去る7月の集計を基準に月間CD販売量で50位圏内に入った韓国アルバムの数は13枚に達した。

2000年代初め、BoAがデビューアルバム『The Listen To My Heart』で韓国人初の日本音楽ランキングで1位を占め、日本で音楽韓流は始まったというのが共通の評価だ。その後、東方神起、BIGBANG(ビッグバン)、SHINee(シャイニー)などの第2世代男性グループや少女時代、KARAなど女性グループも人気を集めた。その後数年間は小康状態だったが、TWICEのようなグループが再び人気を集め、2010年代半ばから後半にかけて再びファンの数が増え始めた。日本の日経エンターテイメントマガジンによると、東方神起の日本ツアー公演の観客数は2018年だけで約128万人を記録し、新記録を立てた。

評論家であり、翻訳家でもある白川司(シラカワ ツカサ)氏は、日本のダイヤモンドオンラインに掲載した『K-POPが日本の若者を熱狂させる理由』という文で、「アイドル産業がCD販売とオフラインでの出会いを中心にした収益モデルに変化し、経済的・時間的余裕がある中高年に消費の中心が移った」とし「一方、経済的に余裕がない若者たちはユーチューブなどインターネットを通じて消費しやすいアイドルに向かった」と指摘した。

K-POP アイドルへの消費が増え、日本文化内のアイドルへの見方にも変化が生じた。白川氏は「従来の日本のアイドルは『応援する』対象だったが、現在日本の多くの若者にとってアイドルはエンターテインメント的才能が多く、消費者を楽しませる『憧れ』の存在になった」と指摘した。日本ではアイドルを『未成熟』であると眺めながら応援する特有の文化があったが、若者の間でK-POP消費が増え、消費の性向も変化したという。

しかし、実はアジア諸国の中で日本は韓流消費において消極的であり、否定的な認識が高い国でもある。韓国国際文化交流振興院が発表した『2021グローバル韓流トレンド』報告書によると、国別の韓流大衆化と成長水準を計る韓流指数で日本は2.88を記録し、アジア主要国の中で最も低い水準を記録した。この3年間(2018~2020年)、変化もほとんどない。韓流の利用度と集中度でも、主要国家の中で最も低く、日本文化のガラパゴス現象が目立つ。

反面、韓流に対する否定認識の共感率は2018年から着実に増加している。中国を除く大半の国で韓国に対する否定認識の共感率が減るのとは対照的だ。2018年は29.8%だった否定認識の共感率は、2019年に31.4%、2020年には33.2%に達した。否定認識に共感する理由としては、韓国との政治・外交的葛藤(41.6%)が最も多く、次に韓国との歴史的な関係(34.9%)、韓国の良くない国民性(31.6%)が占めた。コンテンツ以外の要素が韓流認識に悪影響を及ぼしたのだ。特に韓国の良くない国民性を挙げた項目は、日本内で大きくなっている『嫌韓』情緒を反映していると解釈できる。

J-POP、反省論が台頭…「音楽人材の流出を防ごう」

2000年代初めまでは、日本は J-POPファンダムを作り出し、アジアの音楽市場を先導した。しかし、全盛期は続かなかった。韓国コンテンツ振興院で発売した2020年音楽産業白書は、「日本は世界で最も大きな音楽市場のひとつとして2000年代初めまではアジア市場を先導する音楽産業の先進国だったが、音楽性よりはファンとアーティスト間の情緒的な共感形成を主なマーケティング手段としたアイドル文化の拡散などによって国境とジャンルの境界が曖昧になり、ストリーミング音楽中心に再編された世界市場の流れに遅れをとったという評価を受けている」と指摘する。

このような危機感は、日本内部でも広がっている。日本の芸能作家兼記者の松谷創一郎氏は「長い間、地上波テレビを中心にジャニーズ所属のアーティストが大勢を占めていた日本で、国外男性グループの成長可能性は極めて限られていた。しかし、2010年代になってユーチューブなどインターネットメディアを活用した K-POP は日本市場を開放し、ガラパゴス環境を謳歌していた日本の人気音楽は一気にグローバルな競争に直面している」と指摘した。

松谷氏は「独自調査によると、昨年9月基準で K-POP でデビューした日本人出身の芸能人は30人以上に上り、実際、彼らは日本での練習より10~100倍以上も韓国で着実に練習しているといえる」とし「若者の多くは自分の未来を韓国で開拓しようとするだけだが、日本の芸能界にとっては人材流出とも言える」と指摘した。日本のトップスターであり、最高のガールズグループといわれているAKB48でセンターを担当してきた宮脇咲良(ミヤワキ サクラ)が、韓国のハイブ(HYBE)と契約を交わしたのは、最近の流れを端的に示している。

このように K-POP の影響力が文化の全方位的に広がり、日本ではアイドル文化に対する 自省の声が上がっている。日本の大手芸能プロダクションであるジャニーズ事務所の名誉会長、藤島メリー泰子氏が亡くなり、システム整備の必要性を言及したりもする。

 

[写真=SBS提供(TWICE)]


音楽を通じて韓国に来た日本人たち、 彼らの話

本紙は『K-POPは私の人生をどう変えたのか』シリーズの第1弾として、隣国日本から K-POP を受け入れる様々な姿を報道する予定だ。音楽という入り口を通じて韓国に出会ったサイバー韓国語大の佐々紘子(ササ ヒロコ)助教授をはじめ、日本の女性アイドルグループAKB48チームBの元メンバーで、現在韓国で音楽活動をしている竹内美宥(タケウチ ミユ)のように、韓国芸能界への進出を夢見る若者たち、そして日本という比較的独特な環境の中で K-POP 文化を消費する若者たちの悩みも聞いてみる予定だ。

◆この記事は韓国言論振興財団の政府広告手数料の支援を受けて制作されました。
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