来年からベビーブーマー世代の本格的な引退で生産人口が急激に減少し、国内消費さえ萎縮される危機にさらされている。すでに市場ではお金が正常に回らないなど、「金脈硬化」現象まで起きている。景気後退の局面を控え、韓国経済が「消費収縮時代」を迎えることになった。
6日、国会予算政策処の「2020年及び中期経済見通し」によると、2019〜2023年の民間消費は年平均2.2%程度増加すると予測された。生産可能人口が減り、高齢者の所得が不安定になるにつれ、消費が増えるのに構造的に制約要因が多いと分析された。
来年からベビーブーマー世代(1955〜1963年生まれ)の引退が本格的に進み、彼らが生産可能人口(15〜64歳)から高齢人口(65歳以上)に移動することになる。生産可能人口は減少して高齢人口だけが増える格好だ。
高齢人口は2017年から幼少年(0〜14歳)人口を追い越し始めたと把握された。また、昨年769万人から2022年には945万人水準で22.9%も急増するものと予想された。生産可能人口も同じく、昨年3765万人でピークを記録し、減少に転換された状態だ。
経済活動が最も活発な主要経済活動人口(25〜49歳)も、すでに2008年2101万人でピークに上がった後、下り坂だ。2014年から2000万人を下回る水準だ。
期待寿命もますます高くなる。経済協力開発機構(OECD)によると、2000〜2017年の韓国の期待寿命は76歳から82.7歳に高くなった。OECD加盟国の中で3番目に速い速度だ。
雇用は消えても期待寿命は延び、貯蓄性向だけ強くなって消費余力はますます弱まるという懸念の声が高い。
実際、韓国の高齢層は手当・年金・給与など各種社会受恵金と税金還付金の割合が低い。2017年基準、OECD加盟国の中で、このような公的前所得の割合が50%以下である国は、韓国を含めて5カ国にとどまっている。高齢者が仕事をしなければなら生計を維持できない状況だ。
しかし、仕事をしても60歳以上の高齢層は自営業に従事したり、賃金労働者であっても67.9%(2017年基準)が非正規職に従事するなど、収入が不安定だ。66歳以上の高齢者貧困率を見ても43.8%で、OECD平均の14.0%を大きく上回る。
消費主体が減る中で、すでに市場では、お金が流通されない現象まで起きている。
韓国銀行の通貨指標によると、今年の貨幣流通速度は過去最低水準に落ちた。今年に入って第1四半期に0.68と歴代最低値を記録し、第2四半期にも0.69水準にとどまっている。市中に流れた資金が消費と投資につながらず、眠っているということだ。
問題は、このような状況がいつ反転するか予想できないということにある。政府と市場がいずれも景気の底を予測できない雰囲気だ。さらに、強化された関税を基盤にした米国の貿易戦争が中国からヨーロッパにまで広がる状況だ。
景気低迷とデフレへの恐怖が韓国経済を脅かし、経済心理さえも冷めてしまったというのが経済専門家たちの指摘だ。
韓国開発研究院(KDI)のある研究委員は、「企業が国内投資に消極的な状況で、複数の悪材料によって消費さえ萎縮される現実は、庶民経済に取り戻しのつかない被害を与えかねない」とし、「収入源が減って消費が減るのは所得主導成長政策をむしろ逆行した結果だが、誰のせいにするよりも、政府・政界・民間とも知恵を集めなければならない状況だ」と助言した。
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