「氷速女帝」李相花(イ・サンファ)の時計は1週間のように回った。毎日7つのアラームが鳴った。気象を知らせる午前5時、最初のアラーム音に目を覚まし、最後の訓練を知らせる夜9時のアラームまで休む暇もなくなり続けた。息詰まる彼女のアラーム生活が今終わる。彼女のスケート時計も停止した。
李相花は「辛くてもあきらめなかった。『あの選手もやるのになぜ私はできないのか』という考えで訓練した」とし、「そんな思いができないものをできるようにした」と打ち明けた。16日、涙で書き記した引退記者会見で彼女が残した言葉だ。
李相花はスピードスケート短距離種目に挑戦状を突きつけた。西洋選手たちの専有物だった短距離種目でアジア選手としては初めて壁を崩した。シルクロードを踏むことができるショートトラックの誘惑も退けた。李相花は身体条件の限界を克服するために自分自身を酷使させ、不可能はないという信念を覚醒させるために、アラームに身を任せた。
結局、李相花は世界最高の女性短距離スプリンターになった。36秒36。2013年、李相花が立てた女性500mの世界記録は、現在までに記録が破られていない。
フィギョン女子中学校に在学中、代表選手として太極マークを初めてつけた李相花は、2010年バンクーバー冬季五輪女子500mでびっくり金メダルを首にかけた。続いて、大きな負担と期待の中でも2014年のソチ冬季五輪女子500mで金メダルを獲得し、2連覇を達成した。また、慢性的な膝の負傷でまともに走ることもできない大変な状況でも、不屈の意志で2018年の平昌冬季五輪の女子500m銀メダルをついに獲得した。メダル獲得さえ難しいという偏見を覆した最後疾走だった。
李相花が終了スケートを脱いだ。引退を決心した後も目覚まし時計のアラームを止められなかった彼女は「もうアラームをオフにする時が来たようだ。誰とも競争したくない」と氷上を溶かすように涙を流しながら去った。
亜洲日報の記事等を無断で複製、公衆送信 、翻案、配布することは禁じられています。