米IT(情報技術)大手のヒューレット・パッカード(HP)は27日、パソコン事業の分離を見送ると発表した。パソコンで2割近いシェアを握り首位のHPは8月に同事業の分離を検討すると発表していたが、検討の過程で調達コストの上昇など負の側面が明らかになり、現状を維持した方が得策だと判断した。日本経済新聞が28日、報じた。
同日の声明でメグ・ホイットマン最高経営責任者(CEO)は「当社は戦略的、財務的さらに事業運営の観点から検討を進めてきたが、顧客、パートナー、株主、従業員にとって社内にとどめておくことが正しいと明らかになった」と述べた。
パソコン事業はサーバーやネットワーク機器など他の事業とサプライチェーン(供給網)、ITシステム、調達などの面で密接に関わっているほか、注力分野であるITサービスやブランド価値への貢献も大きいと説明し、分離によるコスト上昇は利点を上回ると結論づけた。
HPのレオ・アポテカー前CEOは8月にパソコン事業の分離検討を表明したが、HP取締役会は業績低迷や経営の混乱を理由として9月に同氏を解任した。分離見送りはホイットマン体制における事業戦略の見直しの第1弾となる。ただパソコン事業はHPの他の事業に比べて利益率が低く、改めて再構築が課題として浮上する可能性もありそうだ。
(亜州経済オンライン)
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