[チェ・スチャンのコラム] 技術革新とグローバル化はまだ終わっていない

[写真・執筆=チェ・スチャンKAIST教授(経済学者)]

仮想通貨取引所FTXが破産した。仮想通貨市場には規制がほとんどなく、顧客預託金の管理が不十分であり、顧客預託金に対する保険もないため、大量引き出し事態が発生すると、取引所がすぐに崩壊したのだ。これを契機に仮想通貨(暗号資産)に対する規制が生じることは明らかだ。中央で政府が管理しない分散的な信頼保証メカニズム、いわゆるブロックチェーン技術を土台とする貨幣という価値を掲げて出発した仮想通貨の根本的な限界を改めて確認した事件だ。

興味深いのは、FTX破産を技術好況(tech boom)が終わったシグナルと見る人がいるということだ。最近の株価下落で技術好況が終わったと考える人が多くなっていたが、彼らに強い印象を与えた象徴的な事件になったことは明らかだ。よく2000年代初めのドットコムバブル(dot-com bubble・インターネットバブル)以後、息抜き期間を経て2010年代から現在まで展開された資本市場の状況を「第2次技術好況」という。この時期に創業されたフェイスブックだけでなく、それ以前に創業されたアマゾン、アップル、グーグル、マイクロソフトなどが大きく活躍し、多くの情報通信基盤の創業会社が高い市場価値を認められた時期だ。

米ニューヨークをメイン舞台とする投資銀行がお金を一番儲ける「金融の時代」が一世代を風靡して過ぎ去ったように、シリコンバレーをメインステージとする技術会社、特に情報通信技術会社がお金を一番儲ける「技術の時代」も過ぎ去っていくのか。それとも10年周期で技術好況が繰り返されるのか。

技術好況に便乗して株式だけでなく他の資産の価格も上がった。好況にはバブルがあるものだ。資産の内在価値を超えた部分がバブルだ。ところが、どこまでが内在価値で、どこからバブルなのか区別するのは容易ではない。経済学の教科書でも紙幣、すなわち紙貨幣は内在価値がないと単線的に教える。しかし、紙に過ぎない株式も会社価値の持分ほど内在価値を持っているように、国家で発行する紙貨幣もそれなりに内在価値を持っている。たとえ他のところで価値を与えないとしても、少なくとも国家に税金を払う時は価値が認められる。

ところが、内在価値が全くない資産もある。仮想通貨がそうだ。仮想通貨の価値は純粋なバブルだ。市場の心理によって価値は一夜にして消えることもある。バブルがはじけるわけだ。 FTX破産の根源は仮想通貨価格の暴落だ。好況期に資産市場を徘徊していたバブルがはじけたので、これを技術好況が終わったシグナルと解釈するのも無理はない。

この30年余りは世界経済が質的に大きく変化した期間だった。この期間、世界経済は二つの軸に成長した。一つの軸は技術革新であり、もう一つの軸はグローバル化(globalization)だ。技術革新により生産能力が向上し、グローバル化により市場が拡大した。一つは供給の進化であり、もう一つは需要の進化である。経済で短期的には需要が生産活動の大きさを決定するが、長期的には供給が成長を決定する。この観点から見れば、技術革新が推し進める力でグローバル化もなされたのだ。情報通信技術の発達がグローバル化を加速化した側面もあるが、ここで言う主眼点は以前になかった革新的な製品とサービスの供給が自ら市場を創出し、その市場を全世界に拡大していったと評価するわけだ。

1916年にレーニンは「資本主義の最高の段階としての帝国主義」という評論で独寡占に集中した資本が収益を求めて全世界に投資領域を拡大し領土的拡張にまで突き進むようになったのが帝国主義だと分析した。第2次世界大戦後、領土的拡張を追求する帝国主義は後退したが、レーニンが分析した資本の領域拡大は20世紀末、21世紀初めのグローバル化を理解するのにも役立つ。このグローバル化は経済が中心だが、社会的・文化的領域にまで拡大した。逆説的なのは、18世紀後半に始まり、19世紀から20世紀前半にかけて植民地経営を追求する帝国主義勢力だった西欧諸国が、経済的、そして新しい領域でグローバル化を追求しているのに対し、レーニンの末裔である共産党が支配していたロシアと、今も共産党が支配している中国は、いまだに物理的領土拡張という旧式帝国主義的性向を表わしているのだ。

技術好況の終末は技術革新が推し進めるグローバル化の終末につながるのか。技術革新は終わっていない。経済的・社会的・文化的領域のグローバル化もまだ終わっていない。技術好況もしばらく後退した後、再び戻ってくるだろう。ウクライナ戦争と台湾をめぐる葛藤は続くのか。天才レーニンに聞いてみたい。
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