[K-POPは私の人生をどう変えたのか] 「敏感な混種」音楽の力で世界を揺さぶる

  • 世界的な現象として定着した K-POP世代が受け継いできた多様な変身が魅力

  • 「『韓国』という魅力を直接消費しようとする人々、韓国産業に飛び込むことも」

[写真=Big Hit Music]


K-POPの成功が世界の文化産業を揺るがしている。米国の音楽チャートでBTS(防弾少年団)の歌が相次いで1位を占め、アジアを超えて西欧のメディアまで K-POP アーチスト対するささやかなニュースまで報道し、韓国人には多少なりとも『非現実的』なことがあちこちで起こっている。確かに K-POPは、短期的な流行を超えた世界文化の主要流れの一つとして位置づけられている。亜洲経済の企画『K-POPは私の人生をどう変えたのか』は、韓国文化に熱狂している2021年現在、K-POPの個人たちのストーリーに注目する。これまで主に扱われてきた K-POP 生産者の成就ではなく、受け入れ側に与えた影響にフォーカスを合わせる報道だ。

K-POP に触れる際に欠かせないことの一つがファン文化(ファンダム) だ。K-POPのファンは単純に K-POP を消費するだけにとどまらない。好きなアーティストの人生と音楽活動に深く関与する。好きなスターのために屋外広告を買い入れ、寄付をし、組織を作って文化産業で莫大な消費の威力を見せる。K-POPの振付師であるカイル・ハナガミ氏はワシントン・ポストとのインタビューで「K-POPのファンは今まで見てきたファンとは全く違った」とし「ファンを除いては韓国の K-POP 文化を解釈できない」と指摘した。

そして、このように主体的なファンにとって、K-POPは人生の方向性を根こそぎ変えるきっかけにもなる。ある人にとっては K-POP が韓国を知るための入り口になり、ある人にはK-POP が未来に向けた夢という目標になる。亜洲経済は巨視的な談論の中での K-POP ではなく、個々人の暮らしに溶け込み、彼らの叙事を変えている K-POP の多様な顔に出会い、今後の K-POP の未来について語ってみようと思う。 <編集者注>

K-POP 以降 、音楽産業は以前と同じではない

今月23日(以下 現地時間)、米ニューズウィークのオンライン版には、女性アイドルグループ『レッドベルベット』のメンバー『ジョーイ』とシンガーソングライターの『クラッシュ』が交際を認めたという内容の記事(K-POP Fans Share Delight As Red Velvet's Joy and Crush Confirm They're Dating)が掲載された。韓国時間で23日に伝えられた二人の熱愛ニュースがほぼリアルタイムで報道されたのだ。米国だけではない、K-POP 関連ニュースに国境はなさそうだ。

『K-POPはなぜ世界を熱くするのか』は、すでに古い質問になっている。この数年間、韓国だけでなく世界中のメディアは数えきれないほどの問答を続けてきた。2018年8月、米ローリングストーン誌に掲載された『どうやってK-POP は西欧を占領したのか(How K-Pop Conquered the West)』をはじめ、翌年5月には英BBCが『どうやって K-POP は世界を征服したのか(How did K-Pop conquer the world?)』という質問を投げかけた。今年7月、ワシントンポストも『なぜ K-POP は人気があるのか?(Why is K-pop so popular?)』という記事で K-POP 現象 (phenomenon )を分析した。

ファッション雑誌エル(ELLE)は最近、「韓国はハリウッドの最も脅威的なライバルになっている」とし「昨年、言語学習アプリケーションで2番目に急成長した言語はまさに韓国語だった」と指摘した。

2020年の1年間だけで、K-POP関連ツイートは67億件に上る。今年6月までを基準にすると、なんと75億件である。しかも、韓国はツイートの量とユーザー数でいずれも1位になれなかった。ツイートの件数ではインドネシアとタイが1、2位を占め、韓国をリードした。韓国のK-POPツイートのユーザー数は、日本、米国、インドネシアに押されて4位だ。グローバルフランチャイズのマクドナルドがBTSセットを発売し、かつてのハリウッドスターや世界的なスーパーモデルの専有物だったグローバルブランド品のモデルに、K-POPスターらが起用されるケースが相次いでいる。

世界の人々の耳に流れ込んだK-POPは、いまや韓国を代表するコンテンツとなっている。文化体育観光部・韓国国際文化交流振興院(KOFICE)が参加した『2021海外韓流実態調査』によると、2017年から2020年まで韓国連想イメージでK-POPは1位を逃さなかった。韓食(韓国料理)がトップだった2016年を除けば、K-POPは2014年から韓国の代表的な文化コンテンツとしてトップの座を守っている。

 

[資料=亜洲経済(文化体育観光部提供)]


敏感な混種、時代に合わせていち早く変身

亜洲経済は今月23日、本社で大衆音楽評論家であり韓国大衆音楽賞選定委員でもあるチョン・ビョンウク大衆音楽評論家に会い、ここ数年間さらに猛威を振るっているK-POP現象について聞く場を設けた。チョン氏は2014年から2019年まで、韓国音楽に関する評論を盛り込んだ『大衆音楽リーディングゲームK-POP 40』を出版しており、文化専門メディア『インディーポスト(INDIEPOST)』の首席エディターを務めている。文化体育観光部と韓国コンテンツ振興院で発刊する音楽産業白書の作成にも毎年参加しており、『音楽趣向 Y』、『ジャズピープル』、『キャッシュミア』など多様な音楽メディアの筆陣だ。

チョン氏は1990年代後半から『次世代』に継承して成長し続けているK-POPの最大の特徴として『速い変身』を挙げる。音楽的特徴やシステムの変化に分類する場合、2021年のK-POP はすでに4世代に達している。ソテジワアイドゥル(ソテジと仲間たち)、そしてHOTを先頭にした第1世代以降、K-POPは地道な進化を続けてきた。ある特定の音楽ジャンルにまとめるには、あまりにも多様になった。ただ、時代の流れをいち早く受け入れ、新たにアレンジさせる独歩的な瞬発力は、K-POPを最もトレンディな文化に定着させるのに核心的な力量だというのが、チョン評論家の指摘だ。チョン氏の一問一答は次の通り。
 

[写真=亜洲経済(チョン・ビョンウク大衆音楽評論家)]


-K-POPが世界中で猛威を振るっている。よく繰り返される質問ではあるが、長期間 K-POP が強力な文化の流れとなってきた根本的な理由は何か。

=多くの分析が出たが、韓国のアイドルが主導する K-POP 市場は、目に見えるパフォーマンス中心のコンテンツが多い。音楽は聞くジャンルだが、20世紀以降、視覚的部分もとても重要になった。音源だけでなく、バラエティやドラマなど様々なジャンルを通じて消費される。このような状況で、多数の構成員で構成された韓国型アイドルは、完成度の高い公演や多角的活動を通じて、大衆に華やかな刺激を与え、大衆を虜にした。

K-POP の初期には、今のような熱狂的な反応ではなかった。西欧圏ではマニアだけに関心があった。似ている文化圏のアジアにまず早くて幅広く広がった。そんなK-POPがこのように長期的に幅広く人気を博した最大の理由を、個人的には『混種性』と見ている。過去、アジアで香港文化を基盤にしたシーポップ(C-POP)と日本のジェーポップ(J-POP)が大きな人気を集めた時期もあった。C-POP とJ-POP には特定の様式があった。

今 のK-POP も韓国流の化粧やスタイルを始め、強力なダンス音楽を代表する特徴があるにはある。しかし、これを超えて新しいトレンドを素早く吸収し、適用させながら進化した側面も非常に大きい。第1世代から消滅せず、第3、4世代に続くことができたのもこのためだと思う。10年前の K-POP と今の K-POP は違う。K-POP は絶えず変身し、長い間、人気を得ることができた。メディアを通じてファンと積極的にコミュニケーションをとるBTS(防弾少年団)のシステムは、変化に最もうまく適応した事例といえる。また彼らの成功は、いまやほかの K-POP アーティストやほかの国の音楽産業界に影響を与えている。

韓国は文化消費で、偏る傾向が大きい。時代の変化と流れを読み取れなければ淘汰されやすい。このような環境がK-POPを敏感にしたと思う。

-過去には芸能事務所が海外市場を狙って外国人の練習生を選んでいたとすれば、最近は外国人がオーディションに参加したり、直接 K-POP 文化に参加しようとする人が増えている。 その理由は何だと思うのか。

= K-POP 文化が過去のものではなく、今の時代を反映して変化しているため、韓国の K-POP に直接参加しようとする人が増えていると思う。アイドルは言葉通り偶像だ。現在を最もよく反映する人々だ。K-POPは最新のおしゃれな文化を通じて消費者が参加したいと思うように商品をきちんと整えている。

中国もK-POPの音楽やシステムを多く真似している。音楽だけを聞いた時は5~6年前の韓国音楽とほぼ似ている。しかし、今とは違う。K-POPに追いつこうとするが、その度に K-POP はすでに変化している。模倣して出した瞬間、それはもう3~4年前や5~6年前のものに過ぎない。そのため、K-POP の流れに追いつくためには、現地で似たようなスタイルで真似るのではなく、韓国に直接来て文化の中に参加するのが最も早い方法だと考える人が増えているようだ。

しかも、K-POPは文化だ。技術や運動とは違う。韓国語の歌詞を通じて韓国で消費されるということも重要なアイデンティティになり得る。韓国の文化そのものをK-POPと共に消費するため、韓国を訪れる人たちも多いと思う。

-K-POPが熱狂させる時代は続くのか。

= K-POPは基本的にメディア親和性が高い特性を持っており、コロナ禍の中でも弾力的に反応する姿を見せた。逆に、これが弱点になり得ると思う。早いテンポで変化するというK-POPの特徴は、時間が経つにつれ、スピードに追いつけないほかの文化圏との乖離を感じざるを得ない状況に見舞われる可能性がある。異文化圏で異なった形で現れる可能性があるという意味だ。このような状況になれば、韓国のスタイルだけを強調するのではなく、現地の文化と消費トレンドを尊重する姿勢も必要だと思う。海外で自生した K-POP が、今後は新しいジャンルや新しい流行へと分類されかねない。今のところ、それほど変わらないが、K-POPが長期化して長く生き残れば、現地に十分定着できると思う。

-今回の亜洲経済の「K-POPは私の人生をどう変えたのか」を通じて個人に注目するのは今の時期にどんな意味があると思うか。

これまで K-POP の成功について議論は多かった。しかし、大半の議論は事後的だった。人気が盛んだった時期ではなく、長期間経過後に人気の原因と現象を論じる、いわゆる『後追い』分析が多かった。ただ、K-POP が単発的なイベントではなく、流れというトレンドになり、今は分析が現状にある程度追いついている。にもかかわらず、分析のほとんどが経済影響力の分析をはじめ巨視的なものがほとんどだった。K-POPのファンや参加主体者の目線で接近した例はなかった。そのため、今回の亜洲経済の企画は喜ばしい試みだったと思う。果たしてどんな見方と話ができるのか、非常に楽しみにしている。

◆この記事は韓国言論振興財団の政府広告手数料の支援を受けて制作されました。





 
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