東レは年内にトヨタ自動車と富士重工業に、自動車ボディー用の炭素繊維の供給を始める。国産の量産車種のボディーに炭素繊維が使われるのは初めてと、10日、日本経済新聞が報じた。重量は鋼板の3分の1で、燃費向上に直結する。新製法で鋼板とのコスト差を大幅に縮め、高級車への採用を可能にした。自動車ボディーへの採用が広がれば、現在の炭素繊維の全需要に匹敵する年間3万トンの新規需要が見込まれる。炭素繊維の世界市場で首位の東レは、新需要を取り込んで成長を加速する。
トヨタは12月に生産を開始する高級スポーツ車「レクサスLFA」のボンネットとルーフに炭素繊維を採用する。軽量化は燃費改善のほか、走行性能向上にもつながるとみられる。
トヨタは車体の軽量化と環境対応の2つの観点から、素材の多様化を進めており、ガラスの代わりにポリカーボネート樹脂を採用した窓も使っている。今後、コストや加工のしやすさなどを総合判断し、炭素繊維の使用範囲が増える可能性もある。
富士重は普及型スポーツ車のオプションパーツとして炭素繊維のルーフを販売する。
これまで自動車では、フレームなどの構造材やエンジンの駆動を伝えるシャフトに炭素繊維が使われてきた。素材を大量に使うボディー向けはコストがネックとなり、「フェラーリ」など超高級車や一部の限定車にとどまっていた。
東レは成型時に金型費用を半減できる新しい製造技術を確立した。炭素繊維の原価は鉄に比べて20倍以上だが、新技術で5倍程度に抑えられる見通し。鋼材価格が上昇していることもあり、コスト差は縮まっている。ボディーへの採用が増えれば量産効果でさらにコスト差が縮むとみられる。
東レは独ダイムラーとメルセデス・ベンツ向けの複合材料も共同開発中。三菱レイヨンも独BMWが開発中の電気自動車(EV)に炭素繊維を供給することを決めており、自動車向けを巡る素材各社の動きが加速している。
炭素繊維は現在、世界需要の6割が土木建築資材や圧力容器、風力発電の羽根などの産業用。2割強がゴルフクラブなどスポーツ用で、2割弱が航空機用となっている。自動車用は1%程度だが、東レは1台500万円の高級車の需要が300万台と仮定し、そこに1台当たり10キログラムの炭素繊維が使われた場合、現在の炭素繊維の全需要に相当する3万トンの市場が立ち上がるとみている。
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