2026. 10. 08 (木)

地方消滅がもたらす国家の距離の拡大

  • 国家の基本サービスが遠くなる「国家公欠」

  • 強化される捜査、300以上の治安センターが廃止

  • 無医・無弁・人口減少地域の警察1人当たりの面積、東京の175倍

  • 最も緊急な112通報(C0)、東京より2倍待たされる

  • 面積(㎢)当たりのCCTV数、東京が69倍多い

韓国が直面している最大の問題は「人口危機」である。これを現実的に示すのが「地方消滅」である。地方消滅は単に人が減少する問題ではない。心筋梗塞や脳卒中が発生した場合、適切な医療機関まで遠くまで行かなければならず、法的紛争に巻き込まれた場合は弁護士を探して他の地域に行かなければならない。112に通報しても、警察官1人が責任を持つ面積は東京より数百倍広い。医療、法律、治安という国家の最も基本的なサービスが国民から物理的に遠くなる、つまり「国家公欠」状況が発生している。


「国家と国民の距離」は数字で確認できる。保健福祉部が定めた緊急医療脆弱地域は全国で98か所、韓国弁護士協会に登録された弁護士が1人もいない地域は52か所である。これらの条件が重なるいわゆる「無医・無弁地域」は48か所であり、そのうち46か所が行政安全部指定の「人口減少地域」である。全体の89か所の人口減少地域のうち、半数以上が無医・無弁地域である。人口減少により病院や弁護士事務所が消え、医療と法律という社会的権利を享受できなくなり、さらに多くの人が去る悪循環が繰り返されている。


さらに詳しく見ると、46か所の無医・無弁・人口減少地域は国土の29%を占めるが、人口は3%にとどまる。東京は正反対で、国土の0.6%に過ぎない場所に全国人口の18%が集中している。人口密度で見ると、東京は約270倍高い。


グラフィック=アジュ経済
[グラフィック=アジュ経済]

◆治安センター、2020年以降346か所廃止

人口危機地域では「治安の距離」も遠くなっている。住民と最も近い場所で警察の存在を示していた「治安センター」が減少している。警察庁が朴柱民(パク・ジュミン)民主党議員室に提出した「派出所・地区警察・治安センターの現況」資料によると、廃止された治安センターは2020年に17か所、2021年に12か所、2022年に12か所、2023年には225か所に急増した。その後も2024年に5か所、2025年に72か所、今年9月までに3か所が追加で閉鎖された。2020年以降に廃止された場所は合計346か所に達する。地区警察・派出所も同期間に10か所が閉鎖された。


治安センターは、過去に派出所が地区警察に統合される過程で、既存の派出所の建物などに警察官を配置し、住民の要望や地域の治安需要に応じてきた場所である。特に警察署までの距離が遠い農山漁村では、警察と最も早く接触できる窓口の役割を果たしてきた。


2023年当時、治安センター廃止対象に農山漁村や離島地域が多数含まれ、「治安公欠」論争が起こった。実際に人口減少地域であり無医・無弁地域である臨時軍では治安センター7か所中6か所、古昌軍では5か所中4か所が廃止対象に挙がった。住民の反発が大きくなったため、警察は大都市圏を優先的に削減し、農山漁村地域は再検討することに一歩後退した。その結果、廃止された225か所のうち、東京が109か所でほぼ半分を占め、釜山51か所、大邱29か所であった。東京・釜山・大邱の3地域だけで189か所、全体の84%を占めた。


しかし、2025年から地方治安センターが次々と廃止され始めた。昨年廃止された72か所のうち、慶尚北道が29か所で最も多く、全羅南道が9か所、江原道・京畿南部がそれぞれ7か所、忠清北道が6か所、忠清南道が5か所、慶尚南道が4か所であった。東京は1か所にとどまった。


特に無医・無弁・人口減少地域でも治安センターの廃止が続いた。慶尚北道では奉化3か所、青道2か所、高齢2か所が廃止された。江原道では正線・平昌それぞれ1か所と横城3か所、忠清北道の報恩2か所、忠清南道の瑞川2か所、全羅南道では保城・永光それぞれ2か所と九礼1か所が閉鎖された。これら11の市郡だけで2025年に21か所の治安センターが消えた。


問題は治安センターの減少と同時に警察組織内部でも人員再配置が進んでいる点である。特に警察は「捜査・起訴の完全分離」により捜査分野を強化している。別途の大規模増員なしに既存の人員だけを活用する方式であり、予防・巡回など現場の治安人員の減少に対する懸念が高まっている。


警察庁「警察人員運営効率化方針」によると、全国警察機動隊138部隊の定員は1万1179人から1万139人に1040人(9.3%)減少する。京畿南部警察庁は水原・城南・安山・富川の4つの広域予防巡回隊の定員を152人から130人に22人(14.5%)減らす方針を検討している。これより前の2025年末には機動隊と機動巡回隊の人員2246人を減らし、捜査・犯罪対応部門などに再配置する組織改編が進められた。


アジュ経済の調査報道チームは人口減少地域、さらには無医・無弁地域の治安状況を多角的に検討した。


グラフィック=アジュ経済
[グラフィック=アジュ経済]

◆警察1人当たりの面積…平昌では中部署・南大門署・恵化署の1000倍

治安の距離は東京と比較するとさらに明確になる。警察庁全国警察署統計(定員、担当人口・面積)によると、89か所の人口減少地域のうち警察関連数値が確認できる87か所(仁川強化署が強化・翁津を担当、江原道陽陽署は2028年9月に開所予定)の2025年警察官1人当たりの平均担当面積は4.53㎢である。一方、東京31か所の警察署の平均はわずか0.029㎢である。人口減少地域の警察は東京より約156倍広い空間を責任持つことになる。簡単に言えば、サッカー場634個と4個の違いである。無医・無弁・人口減少地域はさらに深刻で、5.06㎢で東京との格差は約175倍まで広がった。


地域別に見ると、江原道平昌署は10.93㎢で最も広い。サッカー場約1531個に相当する。続いて慶尚北道奉化署10.74㎢、江原道洪川署9.58㎢、慶尚北道栄養署9.49㎢、江原道華川署8.91㎢である。一方、東京中部署・南大門署・恵化署は0.01㎢である。サッカー場1.5個分の面積で平昌署と比較すると1000倍の差がある。東京の警察署の中で最も広い場所でも、城北署・江北署・江西署・道峰署・水西署が0.04㎢、瑞草署・ノウォン署・恩平署も0.05㎢にとどまる。


担当住民数が似た警察署同士を比較すると、格差はさらに明確になる。江原道楊口署の警察1人は204人の住民を担当し、東京中部署は208人を担当する。わずか4人の差だが、担当面積は楊口署が7.04㎢、中部署が0.01㎢で700倍の差がある。慶尚北道栄養署と東京江南署も似たような状況で、栄養署185人、江南署195人だが面積はそれぞれ9.49㎢、0.02㎢で約474倍の差を見せた。


◆112通報(C0)、東大門署3分6秒…忠清北道永東署15分6秒

担当面積の違いは単なる地図上の数字にとどまらない。112通報後、警察が現場に到着する時間と直結する。


警察は2019年以降112現場到着時間を警察署単位で管理している。「コード1(C1)」は生命・身体に対する危険が差し迫っている、または進行中・直後、または現行犯の場合である。「コード0(C0)」はC1通報の中で移動犯罪や強力犯罪の現行犯などリアルタイムで伝達が必要な最も緊急な通報である。


警察庁「112通報コード別現場到着平均所要時間」を分析した結果、2026年8月時点で東京警察署のC0平均到着時間は221.0秒(3分41秒)であった。一方、人口減少地域は416.1秒(6分56秒)であった。東京より195秒(3分15秒)、つまり1.88倍時間がかかった。無医・無弁・人口減少地域は428.4秒(7分8秒)で、東京に比べ約1.94倍であった。つまり、1分1秒が惜しい緊急事態で、人口危機地域の住民は東京に比べて約2倍の時間を待たなければならなかった。


C1でも同様の格差が見られた。C1状況時の東京平均到着時間は241.1秒(4分1秒)であった。人口減少地域は429.5秒(7分9秒)で、東京に比べ約1.78倍であった。無医・無弁・人口減少地域は463.9秒(7分44秒)で、東京に比べ約1.92倍まで広がった。


すべての112通報(C0〜C3)の到着時間を基準にすると、東京は254.3秒(4分14秒)だが、人口減少地域は360.9秒(6分1秒、約1.42倍)、無医・無弁・人口減少地域は385.7秒(6分26秒、約1.52倍)が必要であった。


最大値と最小値を比較すると、なんと10分以上の差が出た。東京でC0出動が最も早い場所は東大門署で平均186秒(3分6秒)であった。一方、人口減少地域で最も時間がかかった忠清北道永東署は906秒(15分6秒)であった。同じC0通報で、両警察署の差は正確に12分(約4.87倍)であった。無医・無弁・人口減少地域では、全北鎮安署が797秒(13分17秒)で、東大門署に比べて10分11秒(約4.28倍)かかった。


全体の112通報を基準にすると、東京で最も早い恵化署は平均213秒(3分33秒)であった。無医・無弁・人口減少地域では、慶尚北道奉化署が581秒(9分41秒)で最も長く、両地域間の差は6分8秒(約2.73倍)であった。


◆高齢人口比率、義城・軍威50%超…東京は21%

警察と住民の距離が遠い地域には、もう一つの問題が重なっている。「高齢化」である。行政安全部住民登録人口統計(2026年8月末基準)によると、全国65歳以上の高齢人口比率は22.1%である。韓国は2024年末に65歳以上の住民登録人口比率が20%を超え、超高齢社会に突入する。東京は21.1%で全国平均より低い。しかし、人口減少地域は39.2%、無医・無弁・人口減少地域は41%まで急増した。東京より約2倍高い。


地域別に見ると、格差はさらに広がる。人口減少地域の中で慶尚北道義城郡は50.3%で、2人中1人以上が高齢者である。最も低い大邱南区でも28.5%であった。無医・無弁・人口減少地域である大邱軍威郡(50.4%)、慶尚北道青道郡(47.8%)・奉化郡(46.9%)、慶尚南道山清郡(46.4%)・義鈴郡(46.0%)なども50%に迫っている。


高齢化が実際の警察業務と結びつく代表的な分野は「認知症高齢者の行方不明」である。認知症高齢者の行方不明は年々増加している。警察庁によると、全国の認知症高齢者の行方不明通報は2017年に1万308件から昨年には1万6586件に急増した。9年間で60.9%(6278件)増加した。今年は7月までに1万776件を記録している。高齢者を対象とした犯罪も高齢地域の治安需要を再認識させる。60代以上の振り込め詐欺被害は2016年1720件から2025年7294件に10年間で4倍以上増加した。このほか、65歳以上の窃盗被害も昨年1万8000件を超えた。


グラフィック=アジュ経済
[グラフィック=アジュ経済]

◆CCTV、東京㎢当たり183台…7つの道は2.6台

警察力が広い地域に分散している場合、CCTVのような「技術的安全網」が公欠を補完できる。しかし、これさえも東京と地方の差が顕著である。


行政安全部「地方自治体(地自体)CCTV管理・運営実態」資料によると、2025年末時点で東京の犯罪予防関連CCTVは11万537台である。人口減少地域89か所のうち79か所が集中している江原道・忠清北道・忠清南道・全羅北道・全羅南道・慶尚北道・慶尚南道の7つの道には合計21万5936台が設置されている。絶対数は7つの道が多いが、面積を考慮すると話は全く変わる。東京の面積は約605㎢であるのに対し、7つの道は約8万1900㎢で東京の135倍広い。東京には㎢当たり約183台、7つの道には約2.6台がある。つまり、空間密度で計算すると東京が約69倍高い。


知能型CCTV(AI映像分析技術搭載)の重要性はさらに高まっている。政府は2022年の梨泰院惨事を契機に公共CCTVの知能化を進めてきた。知能型CCTVの比率は東京46.4%、7つの道約45.7%で全体的には大きな差がない。しかし地域別に見ると、忠清北道24.9%、江原道27.3%などで偏差が大きい。


最も大きな問題はCCTVの費用を自治体がほとんど負担しなければならないことである。自治体の財政状況によって、技術を利用した治安格差解消の速度さえ変わる可能性がある。


自治体の財政状況を示す代表的な指標が「財政自立度」である。地方政府が地方税や税外収入など自らの収入で財政をどれだけ賄えるかを示す。数値が低いほど歳入基盤が脆弱であることを意味する。


行政安全部地方財政365の「2026年当初予算基準財政自立度」資料を分析した結果、東京都(本庁)は75.5%で全国の自治体の中で最も高かった。これを示すように東京都はCCTV設置に大規模な財政を投入している。東京都は2024年から2026年まで防犯用CCTVを知能型CCTVに100%転換するために3年間で1265億ウォンを投入する計画である。今年投入される金額だけでも271億ウォンである。


一方、地方の事情は厳しい。財政自立度44.1%の仁川市(本庁)でも、4年後の2030年に知能型CCTV73.5%を目指している。約212億ウォンが必要と見込まれているが、4年間に投入される金額は東京都の1年分にも満たない状況である。


人口危機地域に行くほど財政自立度はさらに低下する。人口減少地域の平均は10.2%、無医・無弁・人口減少地域は9.6%でさらに低い。そのため、忠清北道丹陽、慶尚北道高齢、江原道平昌などの人口減少・無医・無弁地域では、今年2億ウォン前後の規模でCCTV設置・交換事業を進めている。東京とはまさに「天と地の差」と言える。


警察力が不足している地域では、自主防犯隊が脆弱地域を巡回し、犯罪の危険要素を報告するなど、警察の犯罪予防活動を補助している。しかし、自主防犯隊も人口減少と高齢化という構造的な限界に直面している。警察庁「全国自主防犯隊現況」資料によると、全国の自主防犯隊員は2016年10万6261人から2025年9万6197人に1万64人(9.5%)減少した。さらに大きな問題は年齢構造である。2025年の全国自主防犯隊員のうち50代が3万6555人で38%、60代以上が3万4632人で36%を占めている。2つの年齢層を合わせると74%(7万1187人)で、4人中3人が中高年層である。一方、20代は3%(2885人)、30代は4%(3847人)にとどまっている。


◆地方消滅とは国家が国民から遠ざかること

地方消滅が単なる人口減少ではなく「国家が国民から遠ざかること」であるという事実を端的に示す場所が大邱軍威郡である。


軍威郡は人口減少地域であり、同時に無医・無弁地域でもある。さらに超高齢化も重なっている。住民2人のうち実質的に1人が高齢者である。住民は高齢化していくが、警察が責任を持つ空間は広い。実際、軍威郡(614.29㎢)と東京(605.25㎢)の行政面積はほぼ同じである。しかし、軍威署の警察1人が担当する面積は6.14㎢で、東京平均の0.029㎢に対して約212倍である。実際の112到着時間でも格差が現れた。軍威署のC0平均到着時間は687秒(11分27秒)で、東京(221秒)より7分46秒長かった。なんと3倍以上の差があった。


CCTVなど他の安全網が切実である。しかし、軍威郡のCCTV729台のうち防犯と子供保護用は547台に過ぎない。㎢当たり約0.89台であるのに対し、東京は約183台である。206倍の差である。CCTVを拡充するためには資金が必要だが、軍威郡の財政自立度は8.0%にとどまっている。「国家公欠」という言葉が出てくる理由である。


国会行政安全委員会所属の朴柱民議員は「治安公欠は人口数や面積などの数字だけで机上で基準を定めて解決できるものではない。むしろ距離が遠く人が少ない場所ほど、どれだけ細心に見守るかによって格差が大きく広がったり、狭まったりする」と指摘した。「捜査と治安はどちらか一方を減らして他方を補う関係ではない。人員を一律に再配置するのではなく、地域ごとの実際の治安需要を綿密に予測し、必要な場所に、必要な時点で人員と資源が届くように設計すべきだ」と述べた。


続けて「自治分権と均衡成長の時代に進むにつれて、この必要性はますます高まるだろう。どこに住んでいても格差のない安全を享受することは国民の当然の権利であり、自治分権時代に解決すべき課題である」と強調した。


グラフィック=アジュ経済
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