[イ・ビョンジョンのコラム] 菅内客の発足と韓日関係

[写真・執筆=淑明(スクミョン)女子大学国際関係大学院のイ・ビョンジョン教授]


辞任した安倍晋三首相の後任に菅義偉首相が新たに就任したことで、今後の韓日関係への関心が高まっている。しかし不幸にも、現在の状況では大きく改善の兆しがみられない。国交正常化以来、最悪の状態である韓日関係は、過去の歴史問題に貿易や安保分野にまで広がり、もつれた糸の状態だが、新菅首相は安倍前首相の強硬な立場を固守するという立場だ。先週、文在寅(ムン・ジェイン)大統領との電話通話でも依然として韓国の強制徴用賠償判決が国際法を違反したことを指摘した。

菅首相の登場背景を見ると、これはある程度予想されていた状況だ。前任の安倍首相時代の官房長官として影のようにナンバー2の役割を忠実に果たした菅首相が、新しい歩みを見せることは期待できなかった。特に、外交分野に弱いという評価を受けている彼としては、新たな危険を甘受することができない実情だ。彼が新たに構成した内閣は、前の内閣のほとんどを維持した。 特に昨年、韓国に報復的な輸出規制を強行した梶山弘志経済産業大臣を留任させたのは、韓国に対する圧力を続けるという意味として解釈される。

これと関連し、対外経済政策研究院は最近の報告書で、菅首相が次期総選挙までは現在の強硬な基調を維持すると予測した。官房長官時代の彼は、強制徴用賠償判決を激しく非難したが、これには変化がないだろうと見通した。韓国の裁判所が賠償のために問題になった日本製鉄の韓国内資産売却に踏み切るなら、韓日関係はそれこそ取り返しのつかない敵対関係に悪化するだろう。しかし同報告書は、「1年ほど残った次期総選挙で、もし菅首相が勝利して政権を継続するなら、政策基調が変わる可能性がある」と予測した。菅首相も自信を持って自分だけの政策を推進するという判断だ。

しかし、たとえ彼が政権を継続するとしても、問題は依然として残っている。2022年3月には韓国で大統領選挙が行われるが、その時には再び反日感情が政界を中心に広がると予想されるためだ。これと関連し、日本経済新聞は韓国の現政権勢力が国益のために韓日関係の改善を追求するよりも、与党と市民団体の支持者の圧力のせいで反日カードを切ることになると診断したことがある。実際、韓国の若い有権者にとって、日本の問題はいつも最も先鋭な問題の一つだが、政治家がこれをあきらめることは期待できない。

これと関連して一つの変数は、最近起こった正義記憶連帯関連の不正会計事件だ。正義連とその前身である挺対協を通じて慰安婦のための活動を主導してきた現共に民主党の尹美香(ユン・ミヒャン)国会議員は、最近会計不正など詐欺の疑いで起訴された。これを機に、これまで反日運動の先頭に立ってきた市民団体の役割に対して一般人の懐疑的な見方が強まりつつある。もし市民団体が表向きには慰安婦被害者のために奉仕すると主張し、実際は自分たちの利益を得てきたことが事実であれば、彼らの道徳性は大きく毀損されるもので、今後、反日運動の動力を大幅に弱体化させるだろう。

正義連の不正事件を初めて暴露した李容洙(イ・ヨンス)さんは、慰安婦関連市民運動が、これまで韓国の若い世代に憎悪心だけを育ててくれたと指摘した。それよりも教育と交流を通じて両国の未来の世代がお互いに信頼と友情を築くことを望んだ。これは今後の建設的な韓日関係のために必ず必要な措置と考えられる。韓国と日本の若い世代が、今のように互いに対する反目と憎悪だけを学ぶようになれば、未来の韓日関係は今よりもさらに悪化するということは自明な事実だ。

これと関連して参考にするべき事例が、「平和の種(Seeds of Peace)」というプログラムだ。1993年、米国の「John Wallach」というジャーナリストが始めたこの交流協力事業は、敵対関係にある国々の青少年と教育者を米国メイン州の一つの場所に集めて、毎年1ヵ月間、サマーキャンプを行う。アラブ諸国やイスラエル、インド、パキスタンなどの敵対国の若者たちが、対話を通じて互いの立場を理解し、友情を深めるこのプログラムを通じて、これまで約6,000人の卒業生が輩出された。また、彼らは現在世界各地で平和のために努力している。かつてイスラエルとパレスチナの歴史的な平和協定を締結する現場に彼ら卒業生が参加し、世界中から評価を受けたこともある。

このプログラムが政治指導者たちによって悪用されるという批判もある。政治家たちは、敵対行為を続けながら、未来世代に平和への義務を足かせのように負わせるという非難だ。被害を与える側とやられる側を同一に扱い、みんなに寛容と理解を求めるという指摘や効果に対する疑問もある。この事業は数十年続いたが、中東の平和はまだ遠い。

しかし、このような制限にもかかわらず、現在の韓日関係を考慮すると、未来世代のためのこのような事業は必ず必要だと判断される。現在、両国の指導者たちが政治的な利害打算のため、関係改善をしようとする意志が全く見えないからだ。ドイツやフランスなど欧州諸国は悲劇的な世界大戦を2回も経験した後、その直後から青少年のためのこのような交流協力プログラムを積極的に推進してきた。その結果、数十年経った今、欧州統合という難しい目標を達成している。東アジアでもこのような未来が不可能だということはないだろう。
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