2026. 10. 19 (月)

[亜洲 VIEW] 早稲田と慶応、高麗と延世―競争を日韓協力へ

大学の価値は、社会の課題に向き合う人材と知識を育ててきたかどうかで問われる。ランキングや著名な卒業生の数だけでは、大学の真価は測れない。早稲田、慶応、高麗、延世の4大学は、各国で教育、研究、産業、言論を支えてきた。早慶戦や延高戦に表れる母校への誇りは、競技場の勝敗を超え、国境を越えた学びの歴史にもつながっている。  

10月17日、東京で高麗大と早稲田大の交流を祝う夕食会が開かれた。両校は、AI時代の研究協力や学生交流について意見を交わした。13、14日にはソウルで第22回日韓ミレニアム・フォーラムが開かれ、4大学の関係者が参加した。AIによって教育と研究が変わるなか、大学間交流にも新たな課題が生じている。

■異なる歴史を持つ四つの私学  

4大学は、それぞれ異なる歴史と理念を持つ。 慶応の源流は、福沢諭吉が1858年に開いた蘭学塾である。身分や家柄にとらわれず、学問による自立をめざす考えは、「独立自尊」の理念に受け継がれた。 早稲田の前身である東京専門学校は、大隈重信が1882年に設立した。「学問の独立」と「学問の活用」は、現在も同大の教旨である。  

ただし、建学の理念と創立者の評価は分けて考えるべきだ。福沢のアジア認識については、近代化への貢献と思想上の限界をともに検証する必要がある。 高麗大の前身は、李容翊が1905年に設立した普成専門学校である。1932年に経営を引き受けたのが、早稲田で学んだ金性洙だった。金は創設者ではなく、学校の存続と発展を担った人物である。  

延世大は、1885年に始まる医療の歴史と、1915年に開校した朝鮮基督教学校の教育を受け継ぐ。1957年、延禧大学とセブランス医科大学が統合して現在の大学となった。 高麗と延世は、異なる出発点を持ちながら、植民地支配、解放、戦争を経て韓国社会と歩んできた。両校を民族的、国際的と単純に分けることはできない。  

4大学の関係も、単純な対応関係では捉えられない。異なる歴史を持つ大学が何を学び合うかが、交流の核心である。
 
고려대 본관
연합뉴스 자료사진
고려대 본관 [사진=연합뉴스]

■早稲田から韓国社会へ  

高麗大と早稲田の関係を考えるうえで、金性洙の歩みは重要である。金は1914年に早稲田を卒業し、帰国後、教育、言論、産業に携わった。 金は東亜日報の創刊を主導し、普成専門学校の経営にも取り組んだ。教育、言論、産業を通じて社会を支えようとした人物だった。  

しかし、金の生涯を功績だけで評価することはできない。植民地支配末期の日本への協力行為が認定され、韓国政府は2018年に叙勲を取り消した。大学間の友好には、関係人物の功罪を含む歴史への理解が欠かせない。過去を美談にせず、次世代に伝えることが信頼の前提となる。

■サムスン3代と日本の大学  

サムスン創業家3代の留学経験は、日韓の教育と産業のつながりを示している。創業者の李秉喆は早稲田で学んだが、卒業はしていない。息子の李健熙は1965年に早稲田の第一商学部を卒業し、孫の李在鎔はソウル大学卒業後、慶応の大学院で経営を学んだ。3代が日本の大学で学んだことは事実だが、進学理由を学風や人脈と結びつけて断定する根拠はない。  

李秉喆は1938年に大邱で三星商会を設立した。事業は貿易から食品、繊維、電子へ広がり、李健熙は1993年に「新経営」を掲げて質への転換を進めた。日本企業は、学ぶ対象であると同時に競争相手でもあった。  

サムスンの成長は、留学経験だけでは説明できない。技術者や研究者の努力、現場の蓄積、産業政策、市場環境が複合的に作用した。それでも、世代を超えた日本留学は、知識と経験が日韓を往来してきたことを示す。大学は個人の留学経験を、共同研究や人材育成へ広げるべきである。
 
사진고대신문
와세다대학 캠퍼스 [사진=고대신문]

■AI時代に何をともに学ぶか  

4大学の交流は、AI時代の教育と研究を共同で考える段階に入っている。 早稲田の本間敬之総長は、専門分野を横断する教育と研究の重要性を示している。AIをめぐっても、自然科学だけでなく、法律や経済を扱う社会科学、人間や社会の変化を捉える人文科学との連携が必要だ。
 
大学は、AIを使う技能だけでなく、情報の正確性を検証し、判断の根拠と社会的影響を考える力を育てなければならない。日韓の大学が共同で取り組める課題は多い。高齢者支援、障害者向け機器、地域医療、労働災害、環境、エネルギーなどである。  

共同研究を現場で検証し、利用者の声を教育と研究に反映させることが重要だ。学生が国境と専門分野を越えて参加する仕組みも必要になる。 技術開発では、性能だけでなく、費用負担と利益の配分も問われる。人文・社会科学と自然科学の協力は、その判断に欠かせない。

■母校への誇りを、次の世代へ  

大学への誇りは、著名な卒業生やランキングではなく、学びを社会に生かした実感によって支えられる。18日、早稲田で第61回ホームカミングデーが開かれた。同大は2032年に創立150周年を迎える。卒業生の経験や支援を次世代の教育と研究に生かすことは、4大学に共通する課題である。卒業生が学生に知識を伝え、学ぶ機会に恵まれない若者や新たな研究を支える仕組みが求められる。  

早稲田、慶応、高麗、延世は、教育と研究で競いながら、共通の課題では協力できる。競争と協力は両立する。その前提は、歴史を正確に知り、互いの社会を理解することだ。過去の記憶と未来の協力は、両立しなければならない。  

かつて日本で学んだ留学生は、帰国後に教育や産業を支えた。現在の日韓の学生にも、相手国で学び、共同研究に取り組む機会がある。その経験を社会に必要な仕事へつなげられるかが問われている。大学間交流の価値は、記念行事ではなく、次世代の学びと社会への成果によって決まる。4大学には、競い合う知を日韓協力へ結びつける実践が求められている。
 
지난 17일 일본 도쿄에서 고려대와 와세다대 관계자들이 한자리에 모였다 사진고려대 교우회 제공
지난 17일 일본 도쿄에서 고려대와 와세다대 관계자들이 한자리에 모였다. [사진=고려대 교우회 제공]

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