IRAの恩恵を受ける韓国の銅箔企業···中国の追撃も振り切るのか

[写真=SKC]


バッテリーの核心材料である銅箔を作る韓国企業がインフレ削減法(IRA)で恩恵を期待するようになった。当初の懸念とは異なり、銅箔を現地で作らなくても良いため投資リスクが減ることになるにつれ、追撃してくる中国業者を追い抜く機会を得ることになったためだ。 

 

米財務省が先月31日(現地時間)、IRAに含まれた電気自動車(EV)購入関連税額控除の細部指針規定案を公開した。特にバッテリーに必要な物質である「構成材料」(Constituent materials)はバッテリー部品に該当しないと規定し、韓国企業はこれを北米で作る必要がなくなった。  

 

この構成材料リストには陰極材料、陽極材料だけでなく「銅箔」(foil)が含まれた。 米国と自由貿易協定(FTA)締結国である韓国で銅箔を生産しても、EV税制優遇要件に含まれるという意味だ。

 

同規定案には、銅箔のような構成材料を2025年から中国のような米国の非友好国である「懸念される外国の事業体」(foreignentity of concern)から調達してはならないと明示されている。北米のEV

市場を狙うバッテリーや完成車メーカーとしては、選択肢が韓国系銅箔メーカーに絞られたわけだ。 銅箔は髪の毛の太さの30分の1に過ぎない厚さ10μm内外の薄い銅膜だ。バッテリー4大素材の一つである陰極材料をかぶせる役割をする。工程がややこしくて新規参入が難しい産業に挙げられる。

 

 銅箔の先頭走者はSKCの子会社SKネクシリスだ。SKネクシリスはIRAをきっかけにライバルの中国メーカーとの距離をさらに広げるとみられる。SNEリサーチによると、2021年のグローバル銅箔市場でSKネクシリスはシェア22%で1位を占めた。中国のワトソン(19%)と台湾の長春(18%)などだった。ロッテエナジーマテリアルズ(買収前のイルジンマテリアルズ)はシェア13%で4位を占めた。

 

これまでバッテリー素材戦争は陽極材料と陰極材料に集められたが、今は銅箔が黄金の卵を産むガチョウとして新しく浮上している。世界の銅箔市場は2018年1兆5000億ウォンから2025年には10兆ウォン以上に成長すると予想される大きな市場だ。

 

ハイニッケル傾向が強化されたことにより高強度・高延伸性など薄くて電解液流入を防ぐほど強い銅箔が必要になっただけに、品質競争力を備えた韓国企業にラブコールが続いている。

 

これに対し、年明けから兆単位の受注の知らせが続いている。SKネクシリスは今年2月、スウェーデンのバッテリーメーカーノースボルトに2024年から5年間、最大1兆4000億ウォン規模の銅箔を供給することにしたと発表した。2020年3710億ウォンだったSKネクシリスの売上高は、昨年8100億ウォンまで跳ね上がった。来年は1兆ウォンをはるかに超えると予想される。

 

テスラがバッテリー銅箔を直接調達する動きも韓国企業に好材料だ。テスラは昨年、SKネクシリス、ソルス先端素材など韓国の銅箔メーカーと需給交渉を進めた。

 

グローバル銅箔市場は、韓国のSKとロッテ間の駆け引きになる見通しだ。SKCは2020年、SKネクシリスを買収した後、次世代銅箔技術の確保と生産量の増大に力を入れている。SKネクシリスは昨年、第5工場と第6工場を完工し、生産能力が従来の4万3000トンから5万2000トンに増えた。

 

これに対しロッテケミカルは、イルジンマテリアルズを買収して競争を繰り広げている。ロッテエネルギーマテリアルズは現在、韓国とマレーシア工場で年間6万トン規模の銅箔を生産する。2027年までに22万5000トンに生産能力を拡大する方針だ。

 

高麗亜鉛とソルス先端素材も銅箔事業に拍車をかけた。高麗亜鉛は2027年までに銅箔生産能力を6万トン規模に拡大する方針だった。しかし最近、当初の計画の2倍である年間12万トンに達する銅箔を生産できるチタンドラム購買契約を結んだ。ソルス先端素材も2026年までに欧州とカナダにそれぞれ年間10万トン、1万7000トン規模の銅箔生産工場を建てる計画だという。

 


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