[写真＝亜洲経済 ユ・デギル記者 dbeorlf123@ajunews.com（「2019 GGGF」で発表しているカン・ジョンソクMIT博士）]
「人工知能（AI）技術を開発するとき、利益の最大化、論文の数のようなものより、今している研究が正しいかどうかをまず把握しなければならない。韓国の学生たちがこれと関連された意識を持ち、今後AIの開発に飛び込むことを期待する。」
MIT（マサチューセッツ工科大学）メディアラボのカン・ジョンソク博士は去る4日、亜洲経済が開催した「第11回 Good Growth Global Forum（2019 GGGF）」の特別セッション「AI専門家と青少年との愉快な対話」で100人余りの学生の前に立ち、このように要請した。カン博士は、ハーバード大学で応用物理学の博士課程を履修し、MITメディアラボで脳科学とディープラーニング研究員として活動している世界最高水準のAI研究員だ。
カン博士は米国の大学でAI研究をして得た経験を学生と共有した。彼は「博士課程でAIが創造性を持つことができるかどうか研究した。創造性の源泉である私たちの脳に対して理解することが最も重要だ」とし、「過去MITは340以上のニューロン（神経）を保有している幼虫で脳の研究を始めた。この虫の脳を一つずつ細かく切って紙に貼った後、これを顕微鏡で写真撮影した。幼虫の神経網を探し、これをデジタル化する作業をした。これを通じてニューラルネットワーク（神経網）の構造を知ることができた。この回路図を通じてコンピュータソフトウェアで神経網を再現するマシンラーニング（機械学習）とディープラーニング（人工神経網）という技術が生まれた」と述べた。
脳科学がAI技術の開発に欠かせない基礎技術であることを強調したのだ。実際、アルファ碁で有名なグーグルのディープマインドの創設者、デミス・ハサビスも脳科学研究で博士号を取った人物だ。韓国は脳科学研究の辺境である。カナダのAI研究所エレメントAIによると、2019年、韓国の最高級AI人材405人のうち、脳科学を専攻する研究者は皆無だ。主にコンピュータサイエンス（27％）、コンピュータ工学（26％）、数学及び統計学（19％）などに集中している。
カン博士は「人間の脳にある860億個に達するニューロンの構造と動作原理を把握できるようになると、創造性がどこから来るのかを正確に知ることができるだろう」とし、「その日がまさにAIが創造性を持つようになる日」だと述べた。脳の秘密を明かすためにマイクロソフト、グーグル、アマゾンなのグローバルIT企業と世界の研究所が数百億ドルの費用をかけて研究を進めているというのがカン博士が強調する部分だ。
彼は人間の創造性の代表的な事例として「マクスウェル方程式」を挙げた。電磁気学の基礎となるこの方程式は、数学的知識から作られたものではない。マクスウェル本人はこの方式を使えるほどの数学的知識がなかった。マックスウェルは、波長の動きを想像して方程式を完成した。その後、人々が研究を通じてこれを公式化した。カン博士は「創造性とは、このように目に見えないが、新しいものを創造することだ」とし、「現在、ビッグバンに対する研究も観察できない当時の状況を再現するために、人間の創造性を活用している」と伝えた。
彼は、AI技術が悪用されると、個人の考えまで読み取ることができる恐ろしい結果を招くだろうと指摘した。代表的な事例としてテスラのイロン・マスク最高経営責任者が推進している「ニューラルリンク」事業を挙げた。ニューラルリンクは、人間の脳にAIチップを挿入して頭で起きていることを読み取ろうとするプロジェクトだ。これを通じて人間と機械が直接疎通する「超知能」を作るのが目標だ。カン博士は「このような超知能を悪用して他人の考えを読み、ハッキングすることができる状況が発生する可能性があるだけに、AI研究者は徹底した倫理意識を持たなければならない」とし、「MITではAI授業に先立ち、倫理授業から進めている」と強調した。
超知能に対する期待感も示した。彼は「脳の信号を正確に把握する人間が、言葉で言わなくても、考えや意思を共有することができる『テレパシー』と変わらない能力を得るだろう」と、「考えるだけでスマートフォンやPCに関連内容が入力される世界が来ることもあり得る」と述べた。また「MIT、マイクロソフト、グーグルなどを含めて米国の多くのAIスタートアップが、このような世界を作るために研究をしている」とし、「韓国の学生たちも今後、AIと脳に対する多くの関心を持って技術と倫理の勉強をしてほしい」と付け加えた。
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