ラスコー洞窟壁画[写真提供=光明市]
コンテナ６２個を利用したラスコー洞窟光明洞窟国際巡回展が開かれる展示場の外観,完成に近づいている
[写真=Bae,Jong Hwa]
光明洞窟の入り口[写真=Bae,Jong Hwa]
氷河期時代の人類が残した偉大な遺産のひとつであるフランス西南部のラスコー洞窟(Lascaux Cave)壁画が、アジアでは初となる光明市の光明洞窟で国際巡回展の一環として展示される。
同壁画はクロマニョン人が残したもので1940年に発見され、1979年にユネスコ世界文化遺産として登録された。現在、ラスコー洞窟は保存のため一般の観覧が閉鎖され、その近くに実物大の壁画と第２のラスコー洞窟をつくり展示している。今回の国際巡回展はアメリカ、カナダ、ベルギー、スイスに次ぐ５カ国目の展示となる。
フランスと韓国の国交正常化130周年記念行事の一つとして推進され、展示館の設計も特別にフランスの有名建築家ジャン・ヌーヴェル（Jean Nouvel）氏が担当した。
展示館は地上１階、延べ面積862.99㎡規模でコンテナ62個を利用したつくりになっており、外観は暗闇の夜を象徴し、その形は地面から展示館が噴き出すイメージを表現している。
展示館の内部は合わせて９つのテーマで構成され、ラスコー洞窟の発見から閉鎖までの過程、実物大作品、1/10スケールの洞窟内部、そして特にプロジェクター130台を活用した映像の再現は、他国では行われなかったジャン・ヌーベルのメディアアートであり、新たな芸術的表現である。
韓国では４月16日から９月４日まで展示され、その後日本に渡り展示される予定だ。ラスコー洞窟壁画の光明洞窟国際巡回展が終わるとその施設を光明市の常設展示館として活用する計画だ。
黄金の滝[写真=Bae,Jong Hwa]
そして、光明洞窟の歴史もまた、興味深いところだ。植民地地代には軍事物資調達のため、その後は韓国経済発展のための役割を担った光明洞窟は、1012年から60年間、金・銀・銅・亜鉛などを採掘した首都圏唯一の金属鉱山だった。しかし、1072年に閉鉱となり、その後はえびの塩漬けの保管場所として利用される程度で閉鉱されたままだった。しかし、捨てられた鉱山を光明市が買い取り、2011年に都心部にはない洞窟テーマパークとして開発した。
ヤン・キデ(梁基大)光明市長は“文化と芸術、体験、そしてヒーリングの空間にしました。年間百万人以上の有料観光客が訪れ、それを通じて300あまりの雇用を創出し、地域経済が活性化されています”と述べ、また、“市の税収も一年に40億ウォンに達するほどです”と述べている。
内部は様々な文化芸術的テーマの空間として生まれ変わった。LEDを利用した光の空間にはクォン・ヨンジュンの作品が展示されている。また、洞窟内には広いイベント会場もあり、多彩な文化芸術公演が行われている。3月27日にはボクシングWBA女子チャンピオンであるチェ・ヒョンミ(25才)の3度目の防衛戦が行われ、これは洞窟で行われる世界初のボクシング試合となる。
この他、過去、金属鉱山だった光明洞窟ならではの金を採る体験プログラムなども行われている。
他にもアクアリウムや黄金の道、願いの壁、黄金の滝、近代歴史館などがあり、ワイン洞窟は韓国内で生産される７～８割ほどの種類のワインをつくる各地方団体と提携しており、販売と一部試飲もできる。また、今月中にはレストランもリニューアルオープンするので、完全予約制ではあるが洞窟の中での特別な食事を体験できるという。
保管中のワイン(国内で生産しているワインの７~８割の種類いは光明洞窟にあるという関係者の説明)[写真=Bae,Jong Hwa]
さらに、洞窟の幻想的な空間での体験を盛り上げる巨大竜のオブジェも設置されている。この巨大竜は映画『ロード・オブ・ザ・キング』で特殊効果を担当したニュージーランドのウェタ・ワークショップが制作した国内最大級のもので、長さ41メートル、重さ800キロにもなる。同じスペースに展示されているのはゴラムの模型、ガンダルフの杖、そして2015年光明国際ファンタジーコンセプトデザイン公募展の受賞作157点余りの作品も展示されている。
ウェタ・ワークショップが制作した国内最大級の巨大竜[写真=Bae,Jong Hwa]
光明市のシム・ジェソン室長は“この洞窟の一番下の部分は地下275メートルで、仁川の沖合いより90メートル低い。現在のところは地下１階までしか開発されておらず時間と予算がさらに必要ではあるが、まだまだ開発できる部分は多い”と未来への期待感も示した。
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