[キム・ヨンユンのコラム] 北朝鮮の経済危機説、今回は本当なのか?

[写真・執筆=㈳南北物流フォーラムのキム・ヨンユン代表]


北朝鮮が経済危機という主張が再び浮上している。北朝鮮経済が「苦難の行軍」時代のような未曾有の危機に直面しているというのだ。危機の原因として、国際社会の対北朝鮮制裁、新型コロナウイルス感染症(コロナ19)による国境封鎖や台風のような自然災害が相次いでいる。今回だけは違うという言葉も頻繁に出る。北朝鮮が崩壊すると見通す専門家も少なくない。しかし、北朝鮮の危機論は昨日今日の話ではない。何十年前から繰り返される話だ。北朝鮮の経済危機を言いながらも、それが何を意味するのか、どのような状態を言うのかについては、あまり説明がない。一般的に危機は予測できない重大な脅威として定義される。韓国もコロナで前代未聞の経済危機に見舞われているという。いや、世界が皆危機に直面している。しかし、コロナによって経済が打撃を受けるなら、韓国のような開放経済がより多くの打撃を受けるか、さもなければ北朝鮮のような閉鎖経済がより大きな打撃を受けるか、予想だにしない。北朝鮮経済が厳しいだろうと考えるだけで、肌で感じる困難はそれほど大きくないかもしれないということには関心がない。すべてを自分中心に考えるからだ。

北朝鮮の制裁の問題から見てみよう。国際連合安全保障理事会と米国の対北朝鮮制裁はコロナ以前も以後もあまり変わっていない。そのため、対北朝鮮制裁そのもので、最近困難がさらに加重したということは説得力がない。国際社会の対北朝鮮制裁が厳しいとはいえ、順応して暮してきただけに、これまで北朝鮮も制裁に適応してきたと言える。説得力があるといえるのは、洪水や台風による食糧減少とコロナによる国境封鎖、これにつながる対外貿易の減少程度だ。これが予測できなかった重大な脅威だろうか。食糧生産を見てみよう。北朝鮮の食糧生産がどの程度なのか正確に提示する人は誰もいない。あるといっても推測に過ぎない。食糧が減少しても、それが北朝鮮社会にどの程度影響し、住民が感じる困難はどの程度なのか明確に答えることもできない。明らかなことは、食糧生産の減少によって北朝鮮住民が感じる困難が、時代によって差が存在するという点だ。1990年代の「苦難の行軍」時代、北朝鮮住民は配給に慣れていた。当局が食糧を配給しなければ、大きな困難に直面するほかなかった。しかし、今は違う。北朝鮮住民の大半は、市場とつながる生活を営んでいる。そこには交換が存在する。市場が自ら生き残る道を探させる機能を持っていると言っても過言ではない。市場での交換が活発であるほど、食糧生産の減少が与える生活の厳しさは、過去の北朝鮮背とは全然違うということだ。

コロナ19防疫のために北朝鮮が国境を封鎖したことが経済危機につながっているという点も確認してみる必要がある。北朝鮮の中国との交易が大幅に減少したということはよく知られている。貿易協会によると、2020年の北朝鮮の対中貿易規模は80%まで減少したという。その可能性は高い。しかし、貿易減少を経済危機と直結させることには問題がある。国境封鎖は北朝鮮が選択した措置だった。交易が減少したのは、その選択の結果だ。問題は、北朝鮮が封鎖による対中国貿易減少の波及効果を全く認識していなかったのかという点だ。困難を受け入れる意志があり、受け入れるべきであったため封鎖を続けたのではないか。このような点で、コロナ19による北朝鮮内部の深刻な物資不足が、北朝鮮経済の構造的解体の過程につながっているという分析(KDI)は、過大包装だ。食糧問題が大規模な飢饉と難民を発生させる可能性があるという言及は、むしろ北朝鮮経済が崩壊してほしいという別の表現ではないか。「平壌総合病院」の完工が目標期限を4カ月も過ぎても開院できなかったことを挙げ、北朝鮮の危機と断定するのも穏当ではない。病院に入る最新の医療装備の購入が、対北朝鮮制裁で容易ではないためかもしれないのに、これを危機だと判断するのも理解できない。金正恩(キム・ジョンウン)委員長が第8回党大会で経済失敗を認めたことについて、北朝鮮経済が危機に直面していると言うのも言い過ぎだ。経済失敗を認めること自体は、むしろ北朝鮮の変化を意味する。当面の問題を直視し、失敗の原因を突き止めて構造的な変化を試みるための意志の表現として受け止められるからだ。

北朝鮮を否定する人々は、すべてのことを否定的に見る。いくら北朝鮮の商品包装技術が優れていると言っても、大型マートが新しい生活のプラットフォームの役割をしていると言っても信じようとしない。商業流通と軽工業の好循環構造が作られているとしても全く信じない。北朝鮮で物流・流通を専門的に行っている「連運会社」は、大型トラック700台を所有していると把握されている。経済の基本である交換を、一部ではあるが媒介しているという証拠だ。物流流通と商業網は民間主導に変化している。私有化現象とともに、新興資本家の市場掌握力は北朝鮮の全域に広がっている。これが北朝鮮の経済を支えている力だ。北朝鮮経済を危機と規定し、崩壊するとばかり見ているのが正しいだろうか?困難から脱する案を提示することこそ、より望ましく希望的だと思う。国際連合世界食糧計画(WFP)が発表した北朝鮮内1200万人、人口全体の47.8%が慢性的な栄養不足状態にあるというのは北朝鮮の危機の証拠になり得ない。北朝鮮の住民はこれまで貧しい生活を続けてきた。慢性的な栄養不足は常に繰り返される話だが、北朝鮮経済を危機と診断しようとする人々には、その度に危機と断定しなければならない新しい話題だ。しかし、北朝鮮の経済は今日も昨日のように動いている。
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