[チョン・ビョンソのコラム]これからは中国と「Deep Tech」で勝負すべき

[写真・執筆=チョン・ビョンソ慶煕(キョンヒ)大学China MBA客員教授]


中国が投げたコロナ爆弾で、米国は第1.5次世界大戦中

中国がミスしたコロナ爆弾が、中国ではなく米国で大爆発する事故を起こした。新型コロナウイルス感染症(コロナ19)の発源地は中国だったが、今、世界最大のコロナ感染者と死者数を記録している国は米国だ。

米国は死者数だけで判断すると第1.5次世界大戦中だ。韓国戦争で死亡した米国軍人の数は5万4000人、第1次世界大戦の死者数が11万6000人台だが、現在のコロナ19による米国の死者数は13万7000人を超えており、毎日死者数が増加している。

世界の2大強国である米国と中国が戦っているが、今回のコロナ19が妙な変曲点を作った。この2年間、米国は中国の追撃をかわし、格差を広げるために中国と大々的な貿易戦争をしたが、コロナ19はこのような米国の努力を水の泡にしてしまった。

米国の成長率はおおむね2~3%水準だが、コロナ19のせいで2020年の米国経済は-7~-8%の減少を見せる見通しだ。一方、中国経済は1~2%の成長が見込まれる。コロナ19がなかったら、2020年の中国の経済規模は米国GDPの68%台にとどまる見通しだったが、米国のマイナス成長で米国対比中国GDPは72%に高まり、むしろ米中の経済力の格差が縮まりそうだ。

米中の対立過程で現れた二つの落とし穴

米中の貿易戦争で力の優位にある米国が一方的な勝利をしているように見えるが、貿易戦争の結果をデータでみると、米国が中国を懲らしめるふりをしたものの、中国を座礁させたのとは程遠い。

米国が中国と貿易戦争を始め、中国側に対米黒字1000億ドルを減らしてほしいという要求事項があったが、2019年の中国の対米貿易黒字は273億ドル減少したものの、当初の目標値とは程遠く、中国全体の貿易黒字はむしろ697億ドル増加した。米国以外の地域への輸出好調で全体黒字が増えたのだ。これは対米輸出抑制だけで米国が中国を殺すには構造的な限界があるという意味だ。

米中が対立する過程で突発変数として飛び出したコロナ19で米国はリーダーシップを失い、中国は信頼性を失った。世界のリーダー国である米国はコロナ防疫に戸惑っており、全世界がコロナで呻吟しているのに、リーダーとして何もしていない。模範どころか、かえって他国へ向かうマスクや防疫物資を横取りまでする事件を起こした。誰が見ても中国に発病と初期防疫失敗の責任があるが、コロナウイルスは武漢の軍人体育大会に参加した米軍がうつしたというふうな言い逃れに汲々としている。

前が見えないなら歴史書を開いてみろと言うが、歴史は「落とし穴に気をつけろ」と教える。米中はいま、互いに責任を巡ってコロナ戦争をしている。しかし、貿易戦争から今回のコロナ戦争までをみると、世界はやむを得ない落とし穴に吸い込まれていく感じだ。

最初の落とし穴は「トゥキディデスの罠」だ。新興大国が既存の覇権国家の地位を脅かす時に生じる対決局面から伴う危険だ。米中の貿易戦争がまさにこれだ。古代ギリシャ時代の新興勢力アテネと既得権勢力スパルタの戦争原因を説明した『ペロポネソス戦争』の著者トゥキディデスの名前から由来した。米国が貿易赤字を理由に中国牽制のために保護貿易と報復関税措置で中国を圧迫し、中国も報復カードで立ち向かう状況に全世界経済が衝撃を受ける状況となった。

2番目の落とし穴は「キンドルバーガーの罠」だ。チャールズ・キンドルバーガー元MIT教授が『大不況下の世界 1929‐1939』という本で既存の覇権国であるイギリスの座を占めた米国が、新興リーダーとしての役割をまともに果たせず大恐慌が生じた」と説明したことから由来した。今の米中の状況を見ると、貿易戦争は詰めの段階にあり、もはや技術戦争、金融戦争へと拡大している。この過程でコロナ19が発生し、米国のリーダーシップの弱体化に伴って相対的に中国の浮上が現れている。

しかし、中国の態度と状態を見ると、責任ある世界の大国の姿ではなく、依然としてアジア大国程度の狭い態度を示しており、中国に不利な立場を表明する周辺国に対して、米国の保護主義と同様の政策を取っている。米国はこれを狙って経済繁栄ネットワーク(EPN)のような機構を通じて中国周辺国を糾合し、中国包囲網を作って圧迫しようとしている。これに対し、中国はこのような状況を避けるために周辺国に圧力と懐柔をしている。中国の役割不足が生み出すチャイナリスクが再び拡大している。

中国とディープテック(DEEP TECH)で勝負しなければならない

今回のトランプ政権4年間の対韓国政策を見ると、韓国を血盟ではなく、選挙戦に必要なだけであることを赤裸々に示した。韓中日の三角同盟で朝中露の北方三角を阻止する同盟ではなく、韓日関係の悪化をあおって傍観する米国の態度は、国際関係では誰の味方でもないということを示している。

人権と民主を最優先にしている米国が、人権状況が最悪である北朝鮮の独裁者と親友だと冗談を言う米大統領をどう見るべきか? そして、中国も韓国と分け合う国ではない。経済的に必要であるため、手を差し伸べて行き来するのだ。理念が異なる国とは同志になれない。商売のパートナーであるだけだ。

相対的にコロナ19のショックが少ない中国が再び浮上している。かつては米国主導の技術戦略に合わせればよかったが、今は中国主導の戦略をきちんと観察するべき時代だ。韓国にとって中国は製造業で最も強いライバルだが、中国の産業変革を念頭に置いた韓国の産業戦略や政策が見当たらない。韓国中心の中国に対する考え方を捨てなければならない。これからは対中国変化に対する戦略対応ではなく、適応の時代だ。

米国が技術戦争を始める理由は、中国の先端技術が5GからAIまで米国の地位を脅かす水準だと判断したのだ。再び膨らむチャイナリスクで、韓国は目に見えるハードウェア技術だけにこだわって中国と競争すれば怪我をする。

目に見えない技術、深すぎて追いつけないディープテック(Deep Tech)で勝負しなければならない。欧州の小さな国であるスイスと中東の小さな国であるイスラエルのように堂々と技術で成長したモデルが、まさに韓国が追求すべき対中国技術戦略だ。大きなものではなく、強いものがあってこそ、大国との関係で堂々となれる。
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