2026. 10. 10 (土)

ブラジル市場の真の機会を探る

  • 権準燮 コトラ サンパウロ貿易館 館長

権準燮 コトラ サンパウロ貿易館 館長の写真
権準燮 コトラ サンパウロ貿易館 館長 [写真=コトラ]

「いつも私が最後でなければならなかった。」これはブラジルの小説『私のライムオレンジの木』の主人公ゼゼの独白である。文脈は異なるが、ブラジルでも私だけが最後になるような待ち時間は珍しくない。道路は渋滞し、病院や銀行の窓口の前には長い列ができている。しかし、待つことに慣れているからといって、待つことを望んでいるわけではない。代替手段が生まれる瞬間、消費者は待つ代わりにコストを選んだ。

これまで我々の企業がブラジルを見つめる伝統的な軸は明確であった。産業財、消費財、公共需要を狙う方法である。この方法は今でも有効である。しかし、2億の内需市場をこの三つの軸だけで見ると、重要な結を見逃す可能性がある。普遍的な内需は、平凡な日常の中で何が不便で、何が消えていくかによって明らかになる。

まさにその点で、革新は需要となる。ここで言う革新は単なる速さではない。待機や遅延を減らす最初の接点の上に、コスト・行政・決済といった周辺の不便を軽減し、利用過程自体を再設計する力である。速さが扉を開いたなら、市場を拡大したのはその後のプロセス革新であった。その変化はすでにブラジルの日常の至る所で確認されている。

交通は接点拡張型の革新である。セムパラ(Sem Parar)は料金所の自動決済から始まったが、消費者が反応したのは単なる自動決済ではなかった。毎回停止し、決済手段を探し、領収書を受け取る時間を月額利用料を支払ってでも軽減したのである。この体験は駐車・給油、洗車やドライブスルーなど、車の生活の決済接点に広がった。公共駐車決済アプリのジュルプラス(Zul+)も本来の機能に加え、関連税金、違反金、保険など運転者が別途確認しなければならなかった手続きを一つの画面にまとめた。決済の簡素化を超え、車を動かし、停め、管理する手間を減らしたのである。

医療は運営構造の革新である。共有診療モデルは診療を取り巻く行政を変えた。予約はモバイルプラットフォームが担当し、現場での受付や決済、書類発行はキオスクが処理する。時間になると医師が直接患者を迎える。別途行政人員なしでも診療が回る構造である。個人開業していたなら抱え込まなければならなかったスペース・予約・受付・決済・書類発行の負担がプラットフォームに移ったのである。その結果、医師は自分の病院という物理的空間に縛られず、複数の地域を回りながら診療でき、患者はより近い場所でより早く医師に会える。単なる予約の簡素化を超え、医療人員と空間の活用方法を変えたのである。

民間だけが動いたわけではない。ピックス(Pix)は政府が決済の取引コストを下げて市場の選択肢を広げた例である。ブラジル中央銀行の決済システムであるピックスは送金や決済の遅延を数秒単位で減少させたが、成功の本質は速さだけではない。口座開設やクレジットカード発行が難しい消費者、小規模事業者にとって端末や手数料が負担であった取引が携帯電話の中に入ってきた。露店のスナック代、家事手伝いの報酬、取引先の代金精算までリアルタイム決済網の中で動き始めた。ピックスはすでに1億7000万人以上の利用者を確保しており、オンライン購入ではクレジットカードを上回る決済手段として浮上した。政府が構築した決済インフラが消費と販売の方法を共に変えたのである。

彼らが言うことは明確である。ブラジルの内需の機会は物そのものにだけ存在するのではない。利用過程で減少する時間・コスト・手続きの負担、その上に積み重なる付加価値にもある。ブラジルの2億内需は既存の三つの軸だけでは全てを捉えられない。産業財、消費財、公共需要という道は依然として有効だが、その道ではターゲットを絞らなければ市場が見えない。2億内需の価値を完全に活用するためには、その境界の外にある共通需要も読み取る必要がある。その需要は特定の産業に留まらず、消費者の日常の中でさまざまな接点で繰り返し現れる。不便を軽減し、より良い選択を可能にする第四の軸、すなわち便益の軸である。産業と品目は市場を分割する。しかし、不便を軽減する体験は散らばった消費者を一つにまとめる。その点で、2億内需は初めて一つの市場となる。

/権準燮 コトラ サンパウロ貿易館 館長




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