チリは世界1位のリチウム埋蔵国であり、世界リチウム生産量のうち30%を占める世界2位のリチウム生産国だ。昨年基準でチリの対韓国輸出約62億ドルが鉱物部門に集中していた。まず銅が約50%（約31億ドル）、リチウムが24%（約15億ドル）で、合金必須材のモリブデンがその次である。南米国家のチリは20年前の2003年、北東アジア国家である韓国と自由貿易協定（FTA）を締結して以来、互いに大きな影響を与えてきた。チリのワインは韓国で最も大衆的なワインとして定着し、チリ産ブドウとサムギョプサルは韓国の食生活の一部になった。またチリの家庭には韓国の家電が、街には韓国製自動車が並んでいる。FTA協定締結20年を契機に7月21日、ソウル中区退渓路（チュング・テゲロ）の駐韓チリ大使館でマティアス・フランケ駐韓チリ大使と会い、両国関係の過去と現在、未来に対して意見を聞いた。
「韓国とチリの貿易は昨年80億ドル以上の新記録を打ち立て、韓国はチリの第5位の貿易パートナーとなりました。」
マティアス・フランケ駐韓チリ大使は、昨年両国間の貿易規模が新記録を立てたという話からインタビューを始めた。昨年7月29日、駐韓チリ大使に信任状を受け取り、数日後には赴任1年になる彼は、「韓国としては初めてのFTA協定であり、チリもアジア諸国と締結した最初のFTAだった」と強調した。
「現在韓国はチリの銅、モリブデン、紙パルプ、リチウムカーボン酸塩、マスカット、ブルーベリー、リンゴジュースを輸入しています。一方、チリが韓国から輸入する製品は自動車や運送装備、一部の電子製品、化学製品が主です。」
特に「国際ワイン大会で92点以上を獲得したチリの高級ワインが全て韓国に輸出されていて驚いた」とし「それにもかかわらず、まだ貿易と投資バランスが必要な分野、両国間でお互いに紹介されていない良い商品があるという点が残念だ」と話した。例えば、「おいしくて品質の優れた韓牛、チリでは生産されない海藻類のような製品をチリ市場に紹介したい」と語った。
フランケ大使は、韓国企業の（チリへの）投資に対しても残念な気持ちを表した。「現在、チリに他国や地域内で行われる投資に対する韓国企業の投資は再生可能エネルギー、山林、サービス分野などに限定され小額にとどまっています。欧米で未来クリーンエネルギーとして挙げられているチリクリーン水素開発事業に韓国企業がもう少し参加すれば、韓国企業の未来競争力を高め、低炭素社会へと共に進むのに大きく貢献することになるでしょう」と期待した。
清浄水素とは水素製造過程で二酸化炭素（CO₂）排出をしなかったり顕著に少なく排出する水素のことだが、現在全世界的にチリが最も安く清浄水素を生産する国の一つに挙げられている。
「チリのエネルギー長官が今年初めにソウルと蔚山（ウルサン）を訪問し、チリのグリーン水素生態系開発について韓国企業に紹介する機会がありましたが、多くの韓国企業が関心を示しました。10月にはチリ経済相が訪韓し、チリのリチウム戦略を紹介する予定です。韓国はすでにチリのリチウム輸出量の15%を輸入する重要なパートナー国です。リチウム分野における相互協力のレベルを高め、韓国企業が該当分野でより下位産業に投資する案を模索したいと考えています」
最後に彼は、締結20年を過ぎている韓国とチリFTAが一種の「リニューアル」されることを望んだ。「2003年に締結された両国間FTAは両国に大きな経済的効果をもたらしました。国だけでなく企業、消費者ともに大きな恩恵を受けました。2020年に発刊された報告書によると、両国間の貿易は毎年2倍以上増加し、2004年から2020年まで年平均4%ずつ成長しました。」
韓国がチリから輸入するワインは20年前に比べて10倍に増え、冷凍フルーツはFTA締結当時の1万2000ドルから2022年には2000万ドルに急増した。フランケ大使は「最も重要な変化はチリの輸出が多様化した点」を挙げた。現在、チリはFTA締結前の193品目から現在は331品目を輸出しており、輸出企業数も354社から580社に増えた。20年前に締結したFTAが、もはや体に合わない服になってしまったのだ。これに対し両国は2018年FTAをアップデートして現代化することで合意し、今年5月に第8回会議を開き両国間の新しい市場接近条件を図っている。
「新たなFTAではデジタル貿易やエネルギー・自然資源分野に新しい規則を導入し、女性、中小企業、先住民そして若い革新家たちが海外市場進出を通じて繁栄を享受し主人公になれる新しい構造を作り出したいです。このように未来志向的な交渉が一日も早くできることを願っています。」
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